[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GUARDIANS OF THE GALAXY(2020)#4

ロケットを捕らえるため、自分たちのガーディアンズを結成したガモーラたち。

その頃、ロケットたちはもう仕事を始めてしまっていた!

 

 

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[あらすじ]

自分たちに黙って再び消息を絶ったスター・ロードとロケット・ラクーン。そんな2人の居場所を見つけ出し、連れ帰るために自分たちのガーディアンズ「ウェスト・スパイラル・アーム・ガーディアンズ」を結成したガモーラ。彼女たちはまずはロケットの捜索から始めた。ガーディアンズのメンバーを宇宙中に公表したガモーラの理由は、ガーディアンズの肩書を失ったロケットを捕らえようと躍起になる連中がいると踏んだから。そうして彼女の目論見通り、ロケットに恨みを持つカスター・グノーバーグ3世が彼女に協力を申し出た。

ここまでは予定通り。後は小太りなビーバーの目を盗んでロケットを連れ帰るだけだが、そうは問屋が卸さないようで…?

カスター・グノーバーグ3世に雇われたガモーラたちはオヘアとパワー・プリンスと共にロケットがいる星へと向かうことに。彼らは既にロケットの居場所を突き止めていた。オヘアは兎も角こんな「如何にも」な奴と組まされることにガモーラは顔をしかめるしかない。

[We’re not Friends]

ドニー・ケイツからライターを引き継ぎ、新たなガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの物語を作り上げたアル・ユーイング。ケイツのストーリーの続編である今シリーズは最初こそシリアスでハードな展開が続いたが、今号から一気に空気が変わっていく。アルの持ち味の1つである重いバックボーンを背負いながらも明るく振る舞い、バカやりながらも決める所はキッチリ決める、そんな作風へとシフトした。アルのガーディアンズの方が「らしい」と管理人は思うので、この変化は嬉しいところだ(同時に、アル・ユーイングはキャラクターの設定や過去を細かくストーリーに組み込むライターなので租借が大変なのが玉に瑕)。

ガーディアンズから姿を消したロケットを追うガーディアンズ、という構図もどこかケイツ期のガーディアンズ誌を彷彿させながらも何処かあっけらかんとした雰囲気が漂う。ガモーラたちはオヘアとプリンス・オブ・パワーと共にグノーバーグ3世が所有する星へと向かった。グノーバーグは宇宙でも有数の企業家の一族であり、個人で幾つもの星を有する大富豪。彼が言うにはロケットはそんなグノーバーグのプライベートリゾートがある星にいるという。ロケットは仲間たちと共に、グノーバーグの資産を盗み出そうとしていたのだ。

家族から離れたロケットは、マーベルボーイたちやノヴァとフィラ・ベルと共に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を名乗って活動をしていた。今度の仕事は泥棒。動けないノヴァは再生カプセルに閉じ込めて、自分は酒を呷りながら「囮」を演じるロケット。ちゃっかり楽しんでないかこのゴミパンダ。

いつまでも傷心のまま塞ぎこんでいるのもロケットらしくないが、あまりの変わりようだ。スーツを着て、陽気に鼻歌まで歌いながらウェイターにオーダーを出す彼を止める者は誰もいない。もしくはサングラスで涙を隠しているだけなのをみんな分かっているだけなのかもしれない…、いや単純に閉口しているだけかも。

ロケットの居所を掴み刺客を送り込んだグノーバーグ3世だが、ロケットも自分の居場所がバレていることにはとっくに気付いていた。そして彼が自分の真の目的を伝えずに、刺客を放つことも。グノーバーグ3世はガモーラたちに嘘をついた。彼の真の目的、それはリゾート地がある星に建造した施設「Dタイプ・コンバーター」を使って宇宙に在るエネルギーを吸い上げ、独占しようというもの。ロケットは彼の野望を阻止するために動いたのだ。

自分が矢面に立ち、「Dタイプ・コンバーター」の機能を停止する役割をマーベルボーイに、情報伝達係にムーンドラゴンを、そしてボディガードにフィラ・ベルを配した。オヘアが自分を遠方から狙撃しようとしていることも折り込み済みなのは、流石と言える。

自身の身体能力を駆使して施設に乗り込むマーベルボーイ。マーベルボーイことノー・ヴォアはどんな閉所にも忍び込めるゴキ…、由来の能力を持つのだ。だが、彼が来ることを分かっていたのかドラックスとプリンス・オブ・パワー、そしてガモーラの3人が立ちはだかる。マーベルボーイからすればガモーラたちと敵対する理由はないが、任務をこなさないわけにもいかない。体格と力で勝るドラックスたちを装備で無効化し、奇襲を仕掛けるガモーラには圧倒的なタフネスを誇る“大英雄”と交代する。社名の「マーベル」を名乗るのは伊達ではないのだ。

マーベルボーイ1人に手玉に取られてしまうガーディアンズだが、ガモーラたちもここで引き下がる訳にはいかない。手を引いてくれないか、と穏便に事を収めたいハーキュリーズに銃を向けるガモーラ。「剛力」と「技巧」、強いのはどっちかな?

 

一進一退の攻防を繰り広げる2つのガーディアンズ。スナイパーライフルの狙いを定めるオヘアとそれを知ってか知らずか酒をせびるロケット。果たして、この戦いはどんな決着を迎えることになるのだろうか…。

仲間たちが交戦している中、テレパスが遮断され状況を確認できないでいるムーンドラゴンに迫る巨大な龍。「彼女」はウェスト・スパイラル・アーム・ガーディアンズのムーンドラゴン。ムーンドラゴン、ヘザー・ダグラスは同一の世界に2人存在していたのだ。

アメコミ:BLADE(2023)#3

悪鬼を撃つ術を求めて、ローサと共にヤクザに囚われたチュリップの救出に征くブレイド

しかし、ブレイドが手をこまねいているうちにアダナの脅威は広がりつつあった…。

 

 

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[あらすじ]

「始祖」アダナを取り逃がし、そればかりか彼女を崇拝する教団に囚われて拷問を受けてしまったブレイドは、アダナを敵視するローサに救出された。アダナの脅威を知ったブレイドは彼女の弱点を知る女チュリップに協力を求めるが、チュリップもまたニンジャを首領としたヤクザに命を狙われている身。件の女と接触できたブレイドだったが、ヤクザの一派の妨害に逢い、チュリップを奪われてしまう。

ローサと共にヤクザの屋敷に乗り込み、チュリップの救出に臨むブレイド。だが、彼らが日本で剣戟を繰り広げている間にも遠く離れた異国の地で、「始祖」は次々に血を飲み干していたのだった…。

ルーマニアの長閑な野山に現れたアダナを取り囲む魔術師たち。彼女たちもまたアダナを討伐すべく行動を起こした。だが、相手が悪すぎた。“至高の魔術師”に比類する力がなければアダナは倒せない。不敵な笑みを浮かべるアダナは、例外なく彼女たちを焼き尽くしてしまった。

[LIGHT BRINGER]

日本に住む女を狙うヴァンパイアを狩るところから始まった今シリーズも、思いもよらない展開へと発展していった。ブレイドがヴァンパイアの魔手から救った女は5千年もの時間を生きてきた化け物であり、その化け物を討つことを使命とする女の登場によりブレイドはまたしても苦難の道を歩むことになってしまう。元々ブレイドことエリック・ブルックスには少々「女難の相」があったが、今シリーズでも遺憾なくそのジンクスが働いているようだ。

アダナを倒す術を求めてヤクザの屋敷に乗り込んだのはいいが、敵の首領であるニンジャに成す術なく囚われてしまったのは少し、いやかなり情けないがその実は敵の能力を看破しているからこその捨て身の作戦。敵はブレイドを捕らえて精神を操ろうとしたが、ブレイド自身の強靭な精神力が邪な術を跳ね除ける。そのままカウンターで打ち込まれた炸裂弾で哀れニンジャは悲鳴を上げる間もなく爆発するのだった。

同じ手が何度も通用するか、と意識を取り戻したブレイドの怒りの反撃を受けたニンジャはしめやかに爆発四散。外道にはハイクを読ませる暇は与えない。チュリップとローサを連れて屋敷を後にするのだった。

 

こうして無事に「情報源」を手に入れることに成功したブレイドは、繁華街へと移動してチュリップからアダナの弱点を聞き出す(ローサが知っているというのはブレイドの追求から逃れるための嘘だったようだ)。アダナを倒すことができる唯一の方法、それは神の元に鍛造された聖剣。サタンと化す以前の、神の僕たる天使として活動していたルシファーが所持していた「ライト・ブリンガー」と呼ばれる数多の怪物たちを切り裂いた剣こそが「始祖」を打倒する鍵となるというのだ。

ライト・ブリンガーを以て神の支配を脅かす魔物を討伐するルシファー。精練された姿がカッコいいだけに悪魔へと堕ちた未来がなぁ…。

だが、神話の時代に鍛えられた聖剣など早々見つかる筈もない。そう思う読者も多いだろうが、こういった聖遺物を探し求める好事家は少なからず存在し、既に見つけ出した者がいたのだ。信憑性の薄い噂や伝承を元に、科学技術を駆使して探し当てる者がいるとは人間の探求心とはつくづく恐れ入る。だが、その聖剣を発見したのはブレイドと同じくヴァンパイアの血を引く異形だというのだから話が変わってくる。「アキレス・インダストリーズ」と名乗る彼らは聖剣を手にし、日本にある拠点へ貨物列車を使って運搬されている。ライト・ブリンガーを奪うなら、列車を襲うしかない。そう息巻くローサを諫めながらも、作戦を練るブレイド。しかし、チュリップは列車強盗には協力はしないと言い出すしてブレイドたちから去ろうとする。峰不〇子かお前は。

チュリップに食ってかかるローサをよそに事態が急転したことを察知したブレイドは、彼女たちを守るべく咄嗟にバリケードを作って襲撃を躱す。襲撃者はローサが所属する教団の先兵たち。彼らはローサを連れ戻すため、そして「反逆者」であるブレイドを捕らえるためにやってきたのだ。

 

ローサが所属する教団はアダナを排除する勢力と迎合する勢力とで二分されていた。襲撃者たちはそんなアダナを与しようと目論む者たち。彼女を崇拝しながらも、裏では利用しようと企んでいたのだ。大勢の弓兵に取り囲まれながらも応戦しようと刀を抜くブレイド。しかし、そこに“至高の魔術師”ドクター・ストレンジが現れ、彼らの戦いに割って入る。

ブレイドを見下ろすストレンジはどこか不機嫌そうに、嫌味を言いながらも危機に陥っていた友を救う。失望した、と語るストレンジの真意はいったい…。

アメコミ:REVENGE OF THE COSMIC GHOST RIDER(2019)#3

コズミック・ゴーストライダーvsコズミック・キング!

邪知暴虐の王を打ち倒すべく拳を振るライダー。しかし、彼らの戦いの裏で底知れぬ悪意が蠢いていた!

 

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[あらすじ]

キャミと共に宇宙を駆け抜けるコズミック・ゴーストライダーことフランク・キャッスル。生意気で好戦的、それでいて血で染めながらも魂は純粋なままの少女。彼女の在り方はフランクにとって余りにも眩しく、懐かしい未来を現していた。幼くして殺された実の娘とキャミを重ねていたフランクは、キャミの同行を許しながらも決して彼女に銃を撃たせなかった。今度こそ「彼女」を守ってみせると決めたのだから。

だが、悪魔に魅入られた男の希望など簡単についばまれてしまうものだ。フランクが守ると決めた少女はコズミック・キングの手でブラックホールの向こうへと消えていった。激昂するフランクはどす黒い殺意を燃料とし、地獄の炎を熱く燃え上がらせる。お前をぶち殺してキャミを追う、そう宣言するフランクだが相手の力はフランクが思っていた以上に強大だった…。

「放浪者」の力など「王」の足元にも及ばない。猛威を振るうキングをフランクには止めることができず、彼らの戦いでまた犠牲となる者たちが。コズミック・パワーを操る者たちの戦いは「災害」と変わらない。

[Guilty]

遂に幕を上げたコズミック・ゴーストライダーとコズミック・キングの戦い。2人は宇宙の中でも有数の「脅威」。そんな2人が本気で本気で殺し合えば周囲に及ぼす被害は計り知れない。コズミック・ゴーストライダーは“復讐の精霊”の力とギャラクタス由来のコズミック・パワーを持つが、これに対するキングもまた数多の生命を喰らい糧とした化け物。ライダーよりも巨大な姿へと姿を変えたキングの一撃は必殺の威力を誇る。

しかし、コズミック・キングの真の恐ろしさはライダーを上回る戦闘力ではない。勝つためならば相手の情報を把握して弱点を握るしたたかさこそが、キングの真骨頂なのだ。彼はライダーの正体が地球出身のフランク・キャッスルであること、彼がライダーへと姿を変える前に何をしていたのかを知っていた。その上でフランクを嘲笑する。

血塗られたその手で誰を守ろうとも、その全ては無駄に過ぎない。お前の罪は永遠に消えることはない、と。

ライダーは初登場した「サノス・ウィンズ」の頃から、己の運命と生き方を変えようともがき続けてきた。海兵隊として戦果を上げ、妻子を殺された復讐心から最強の私刑執行人パニッシャーとなり、その後も地獄王に魂を売ったり宇宙魔人と取り引きしたりとフランクの人生は激動どころの話ではい過酷なものだった。その道の果てに命を落としたフランクは、今度は「良いこと」をしようとした。巨悪の誕生や妻子の死を無かったことにしようと歴史に介入したのも、フランクが考える良いことだから。フランクにとっての良いことは己の罪を消すことなのだ。

阿鼻叫喚の地獄絵図のような戦争の中で、闘争心の赴くままに戦い続けてきたフランク。その歪んだ感情は妻子が目の前で殺された時も、悪党を処刑する時も常に抱いていた。そんな己のあり方をフランク自身は心底嫌っていた。常に薄ら笑いを浮かべて斜に構える姿勢もそんな感情を表しているよう。これで無かったことにできる訳ではない、と分かっていながらも止めることはできなかった。

重なる過去と未来。圧倒的な力で蹂躙され助けを求める声を聞き、フランクの胸に湧き上がる感情は怒りと殺意。やはりこの男は狂っている。

 

そんなフランクに興味を持ち、“復讐の精霊”の力を授けたのがメフィストだ。コズミック・キングに苦戦するフランクに幻影として現れた彼は、フランクに何故自分がフランクを選んだのかを語る。フランクこそが「この世界で最もその手を血で染めた男」だから。純粋なまでの殺意と狂気を持つ魂は地獄王のコレクションの1つに相応しい。メフィストも現在のフランクの行動には難色を示していたようだ。

パニッシャー時代に抱いていた殺意を以てすればコズミック・キング如き敵ではない、そう激励するメフィストにフランクは啖呵を切る。そんなご高説は聞き飽きた。テメーらなんぞに俺が歩んできた道の何が分かる。

メフィストやコズミック・キングに否定される前から、フランクは己の行動が間違っていることは理解していた。いくら罪を消そうとも決して消えやしないことは重々分かっている。それでも戦い続けなければならない。フランク・キャッスルの戦いは妻子に対する罪滅ぼしなのだから。「良いこと」が叶わないのなら、せめて己の手を血で染め続けよう。それで守れる者がいるのなら儲けものだ。

地獄王の発破で怒りを爆発させたフランクは満身創痍の身ながらも、コズミック・キングへの反撃に出る。対するキングは尚もフランクの行動を無意味と罵倒するが、もうフランクの耳には届かない。いくら嵐のような攻撃を受けようがフランクは止まらない。少なくとも驕る愚王の息の根を止めるその時までは。

ヘルファイアの大爆発を間近で受け、吹き飛ばされるコズミック・キング。この一撃で決着がついたようなものだったが、フランクの怒りは収まらない。どいつもこいつも知ったような口をききやがって。まずはお前から血祭りにあげてやる。

 

一転攻勢。王はライダーに敗れて膝を付いたのだ。最早キングに勝算はない、直接対決に於いては。彼はここで切り札を切る。フランクを倒す最善の方法、それはフランクを人間に戻すこと。自分を倒した男に仕えると嘯き、報酬としてメフィストから強奪したフランクの魂を渡すことでライダーの力の無力化を図ったのだ。

己の魂に手を伸ばすフランクもコズミック・キングが裏で考えていることはお見通しだ。フランク・キャッスルの戦いはなにもゴーストライダーの姿でないとできない訳ではない。彼の最強の武器は、地獄王が認めた純粋な殺意なのだから。

フランクを蝕む「呪い」から解放させたキングの口元には勝利を確信した笑みが。しかし、キングはフランクの本当の強さを真に理解していなかった。

アメコミ:GHOST RIDER:DANNY KETCH(2008)#2

「神」からの贈り物を扱う資格、“復讐の精霊”の力を御するに足る資格。

果たしてダニーにそれはあるのだろうか…。

 

 

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[あらすじ]

かつて超常の力を身に着けた男がいた。男は喧騒の中倒れた姉を救うべく“復讐の精霊”をその身に宿し、頭を垂れる母を救うために闇に包まれた街を駆け抜けた。

しかし、酒に溺れ、涙を流す今現在のかの男には以前の面影は微塵もない。男は一度は捨てた「力」を求め、半ば自暴自棄と化していた。そんな男に近づき、男が求めた「力」を授けた一羽のカラス。レイヴンを名乗るこのカラスは、ダニーにとって敵か味方か。今一度復讐のロードを駆け抜けんとするダニーは、己が様々な思惑に取り囲まれていることに気付いていなかった…。

求めていたライダーの力を再び手にしたダニーは歓喜のままに悪党たちを襲った。しかし、その変身は一時のものに過ぎなかった。レイヴンに助けを求めるダニーだが、彼はダニーに興味を無くしたのか飛び立っていく。絶望に沈むダニーが残されるが、そこに駆け付けるのは…。

[I want an Explanation]

2代目ゴーストライダー、ダニー・ケッチ。犯罪が謳歌するブルックリンにて優しい母と勝気な姉や恋人に囲まれて育った弱気な青年。そんな彼がゴーストライダーへと変身し、大切な者たちを悪党の手から守るために戦ってきた。復讐のための戦いこそが、彼女らを救うことに繋がるのだと信じてきたダニー。だが、現実は非情なもの。姉はブラックアウトの手で殺され、母はヴィランとの戦いに巻き込まれ病死。そして恋人ともライダーの正体が自身であることを黙っていたことを機に疎遠となってしまった。彼女たちを守るための戦いが、結果的に傷つけるだけとなっていた。この事実は性根は臆病なダニーに暗い影を落としてしまったことは想像に難くない。だから彼は「力」を捨てた。二度と同じ過ちを繰り返さないために。

しかし、その果てにいくら強気に振る舞おうとも、酒を呷ろうとも、悪漢相手に拳を無双しようとも全ては虚勢に過ぎない。それはダニー自身がよく分かっていた筈だ。分かっていながらも自分を止めることが出来ない。忌むべき「力」を捨てても、それを求めてしまう自分がいることをダニーは嫌悪する。相反する感情を処理しきれないダニーは、マリーに涙を流しながら「力」を返してくれと懇願するし、助けてくれた彼女に向かって余計な真似をするなと怒りを露わにしてしまう。そんな彼にマリーができることはない…。

ダニーにお礼参りをしようとするチンピラたちを「科学的」な呪術で一蹴するマリー。ダニーに好意を持つ彼女だが、その想いを知ってか知らずか彼を追い詰めてしまっていた。

取り戻した筈の地獄の炎は、闇に潜んでいたダニーの歪んだ感情を妖しく照らす。もうこうなってはダニーはひたすらに「力」を求めてしまう。あの歓喜をもう一度味わいたい、再びゴーストライダーへと姿を変えて悪党どもに裁きを与えたい。そんな邪念があるためにダニーのヘルファイアは「赤」から「黒」へと変わってしまったのだろう。復讐の意義を見失った者に待つのは破滅のみ。その掟はライダーにも例外ではない。

だからこそショバ・ミルザは再びダニーの前に姿を現して警告する。そんな覚悟で復讐のロードを走れば取り返しのつかないことになる、と。

バーで出会った女はダニーに何かを求め、同時に遠ざけようとしていた。自らの過ちに気付いて欲しいと願うミルザの眼光は鋭く、地獄の炎で照らされていた。だが、「力」を持つ彼女の存在はダニーの「渇き」を強くしてしまう。

 

そんなダニーに再びレイヴンが接触する。一度はダニーを見放した彼だったが、ダニーの望みを確認したことでもう一度見極めることにしたのだ。自らの真の名である「ミスター・イレブン」を明かしたカラスは、迷える子羊を導くためにダニーを連れ出す。ミスター・イレブンはかつてのルシファーの盟友、そしてジョニー・ブレイズとの出会いをきっかけに“復讐の精霊”の真価を見定めようとする堕天使。かの天使はダニーに真実を見せるべく、ある場所へと案内するという。

そんな事情を知らされず、雨が降りしきる夜のブルックリンを愛車と共に駆けるダニー。やがてダニーたちは裏路地に1人で足を踏み入れるショバ・ミルザを発見。後を追うと彼女は無数の化け物たちを相手に、たった1人で戦いを挑むではないか。多勢に無勢、すぐさまに助けるためにライダーの「力」を求めるダニーをレイブンは諫める。ダニーに見せたかった真実。それは“復讐の精霊”の力を御する資格を持つのは、ダニーだけではないという事実だった。

化け物たちに取り囲まれるミルザだが、眩い閃光に包まれた一瞬のうちに巨大な象に跨る異形の戦士へと姿を変えて猛攻を浴びせる。彼女もまた“復讐の精霊”の呪いを受けた者の1人だったのだ…。

アメコミ:AMAZING SPIDER-MAN(2015)#5

スパイダーマンvsゾディアック!

仲間たちと共にテロリストたちの野望を打ち砕け!

 

 

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[あらすじ]

世界中で頻発するゾディアックのテロ活動。これを事前に阻止することが未だできず、後手に回ってきたスパイダーマンとS.H.I.E.L.D.。そこに行方知れずだったグリーンゴブリンの脅威までもが迫っていたことを知り、スパイダーマンたちは事態を一刻も早く打開すべく作戦会議を行う。しかし、現実は非情なもので超人たちやエージェントががん首を揃えても有力な解決案は浮かばない。

ヒーローたちが手をこまねいている間にもヴィランの暗躍は続いている。果たしてスパイダーマンはゾディアックとゴブリンを打倒できるのだろうか。

フューリーにコールソンたちエージェントにスパイダーマンやヒューマン・トーチをはじめとしたヒーローたちは、作戦会議のためにパーカー・インダストリーズのロンドン支部に集合。彼らを出迎えるアナ・マリアたちの中にはオットー・オクタビアスの意識を宿すロボットの姿もあった…。

[Set in Stone]

ゾディアック。黄道13星座の名と姿を持つ彼らは日常社会に紛れ込み、日夜暗躍を続けていた。彼らの組織力と行動力、そして危険性はヒドラやザ・ハンドにも勝るに劣らず。S.H.I.E.L.D.の追跡をも容易く振り切る神出鬼没さを持つスコーピオを筆頭に、彼らの存在はスパイダーマンたちにとっては頭の痛い存在だった。故に、一気に叩き潰すべく網を張る。彼らの持つウェブ・ウェアが最後に発信された地点を突き止めたピーターの主導で、一同はイギリスはロンドンに集結する。奴らがロンドンで何をするつもりなのか、ゾディアックが抱える戦力はどの程度なのか、ピーターたちは何も分からない。それでもこのまま野放しにはできないことだけは確かだ。

逸る気持ちを抑え、努めて冷静に振る舞おうとするピーターのことを、ジョニー・ストームは「変わったように見えて変わってない」とどこか安心したような面持ちで見ていた。大企業の社長となり、雲の上のような男となったピーターだが根っ子の部分は変わってはいないのだ。彼はどこまでも優しく、甘い。だからこそ「親愛なる隣人」でいられるのだ。

ピーターたちにできるのはゾディアックが姿を現すのを待つことだけ。そして、奴らが姿を現した。場所は大英博物館。出動だ!

 

スコーピオたちがわざわざコスチュームの上に厚手のコートを着てまでイギリスにやって来たのは、決して観光をするためではない。彼らが求めるものがこの歴史ある博物館にあるから。イギリスが大英帝国時代に接収した歴史的価値のある遺品の数々の中には、スコーピオの持つ「ゾディアック・キー」と対になるアイテムが隠されている。スコーピオは奪ったウェブ・ウェアの機能を活用し、求めていた遺品を手に入れようとしていた。彼にとっては構成員が起こすテロ活動も自分の目的を果たすための手段でしかなかったのだ。

館内に押し入ったスコーピオたちは破壊活動を開始。従業員や民間人を襲い、暴虐の限りを尽くす。そこにゾディアックを捕らえるべくスパイダーマンたちが現れる。頼むから暴れるなら博物館の外でやってくれ。従業員も超人たちの戦いで壊される展示物にはため息をつくことしかできなかった。

スパイダーマンとヒューマン・トーチにプロウラー。さらにモッキンバードやフューリーをはじめとしたエージェントたちまで揃ったヒーローたちの猛攻の前に、ゾディアックの面々も太刀打ちできない。いくら彼らの持つ組織力や行動力が優れていようが所詮は新参者、本気で潰そうと思えば容易いものだ。だが、そんなことはスコーピオも理解していた。スコーピオには最初からスパイダーマンたちと真っ向から戦うつもりはない。目的のアイテムを手に入れたらスパイダーマンにも、そして構成員たちにも用はない。「精々使えない部下を助ける慈善事業でもしていな、親愛なる隣人サマよ」

スコーピオを追い詰めたスパイダーマンが、かの蠍の毒が構成員たちを襲う様を見過ごせる筈もなかった。ウェブ・ウェアで同時に発動した毒をワクチンの早打ちで無効化することに成功するものの、スコーピオにはまんまと逃げられてしまった…。

 

部下を容易く裏切るスコーピオの非情さと、未だに甘さを捨てきれない自分に怒りを隠せないピーター。どんな悪党でも死なせない。その覚悟を以て戦うピーターだが、巨悪の首領を取り逃がせば怒りたくなるのも無理はない。同時に、自社で開発されたウェブ・ウェアの危険性からも無視できなくなる。ウェブ・ウェアに備えられた高度な情報処理システムは他機種の端末の情報すらも遠隔で操作できてしまう。博物館内にある監視カメラにはスコーピオの動向は記録されておらず、全て抹消されていたのだ。

ここに至ってピーターは社長として決断を迫られることになる。自社のフラグシップであるウェブ・ウェアを生かすためには、この端末の杜撰なセキュリティを強固なものにできる優秀な技術者に任せるべき。そのためには信頼に値する者で自身の回りを固めなければならない。開発部の責任者で旧知の仲だったサジャーニを一方的に首にし、アナ・マリアを新たな部長に据える冷徹な判断をしなければならないのも、社長としてスパイダーマンとして戦うのに必要なのだ。想い人が高く評価されてこの場でただ一人、オットーは嬉しそうだったが。

ゾディアックとの一戦を経て、少しずつ経営に陰りが見え始めたパーカー・インダストリーズ。ここで踏ん張らなければ全てが台無しになる。どんなに非情な手段に打ってでも会社を守るピーターだが、そんな彼を嘲笑うかのように「悪」は常にピーターの傍で機会を待ち続ける。ピーターが事業の協力を申し出た男、ヴァ―ノン・ジェイコブの裏の顔こそがスコーピオだった…。

アメコミ:REVENGE OF THE COSMIC GHOST RIDER(2019)#2

新たな相棒と共に宇宙を駆けるコズミック・ゴーストライダー

だが、ライダーはキャミに戦わせるつもりはないようで…?

 

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[あらすじ]

再び宇宙に上がり、悪党との終わりなき戦いに身を投じたコズミック・ゴーストライダー。ライダーの目下の標的はサノスに取って代わって宇宙の厄災たらんとするコズミック・キングとその一派だ。身の程知らずの若造など取るに足らない、そう挑発するかのように1人、また1人と確実に構成員を皆殺しにしていったフランク・キャッスル。しかし、その道中で出会ったコズミック・キングの傘下にあった海賊船の船員キャミと出会ったライダーは彼女を「罪無し」と断じて見逃してしまう。

船員を皆殺しにされただけでなく、宇宙船まで破壊しておきながら手前勝手な判断で殺さなかったライダーに腹を立てたキャミは自分も連れていけ、と半ば強引にライダーの旅路に同行することになった。

その一方で、ライダーの進撃に頭を悩まされていたコズミック・キングは、ライダーを無力化する術を得るべく地獄王メフィストの元を訪ねるが…。

ホテル・インフェルノに幽閉されていたメフィストにコズミック・キングが求めた術とは、即ちフランク・キャッスルの魂を「人質」に取ること。自身のコレクションを取られまいとメフィストも抵抗したようだが、某戦闘民族の王子よろしく岩盤に叩きつけられてしまったようだ(?「所詮クズはクズなのだぁ」)。奪われてしまったフランクの魂がコズミック・キングに勝機を齎すのか。

[Not Guilty]

前号にて描かれたコズミック・ゴーストライダーとキャミの出会い。2人の出会いは運命に導かれたものだったのか、それとも必然だったのか。生きるためならば己の手を血で染めることも厭わない危険人物な2人が手を組めば、宇宙に蔓延る悪党共はさぞ震えることだろう。ライダーことフランク・キャッスルは言わずもがな、キャミはあの悪名高き「アベンジャーズ・アリーナ」といった死地を潜り抜けて生き残った強者。そんな彼女が海賊船の船員として生活していたのも、全ては生き残るため。天涯孤独な身、しかも女でありながら男所帯の中で頭角を現してこれたのも彼女のバイタリティの高さ故か。

しかし、ライダーにはキャミを戦わせるつもりは毛頭なかった。彼女が銃を持ち出せばこれを取り上げ、飛び出そうとすれば鎖で縛り上げて拘束する。キャミの望みを無視し、ひたすらに押さえつけようとする姿はひどく独善的に見える。

宇宙の果てで巨大なモンスターに襲われ、迎え撃とうとするキャミを制して自分の力で打破するライダー。ゴーストライダーにワーム砲など不要。体当たりで十分だ。

 

キャミの中でどんどん溜まっていく戦えないことに対する不満とフラストレーション。だが、それを見越したかのようにフランクのメンタルケアが入るのだから、キャミとしてもフランクを嫌いにはなれずにいた。圧倒的な戦闘力を以て悪党を根絶やしにせんとしながらも善人は殺さないと豪語するお人よし、かと思えばパートナーの意志を無視しながらも気遣う姿勢は崩さない。これ程傍にいて飽きない面白い男もそういないだろう。

ライダーは兎に角強い。彼がひとたび暴れたら、その猛威を止めることは誰にもできない。その強さはコズミック・キングも認めざるを得ないだろう。それはそれとして人を小馬鹿にしたような言動は癪に障るか。

 

フランクの強さを傍で見てきたキャミもまたコズミック・キングと同様にその強さは認めている。しかし、それはそれとして戦わずにはいられないのがキャミという女だ。抑えれば抑える程に強まる戦闘欲は遂にライダーの鎖「ミスティカル・プロジェクション」の拘束を破ってしまった。このガキ、タフすぎるぞ。

コズミック・キングの配下たちを襲撃するライダーの目を盗み、単身で別の配下たちの船を強襲するキャミ。敵を前に不敵に笑う姿は似た者同士。

こんな極悪な笑みを浮かべる女が「罪無し」とはどういうことかと疑問に思う読者は多いだろう。管理人も当時は同じ疑問を抱いたし、ライダーの魔眼が耄碌したのかと冗談交じりに思ったものだ。ライダーが視たキャミの魂に刻まれていたのは、己と他者の血に塗れた凄惨で刺激的な闘争の記憶。そんな地獄のような日々の連続の中でキャミは生きてきた。己の在り方を曲げず、真っ直ぐに己の意志を貫き通してきた。

ライダーはそんなキャミの心構えを「純粋」と捉えた。フランクも生前から続けている闘争の日々がどれだけ心を病むものなのかは、フランク自身がよく知っていた。キャミはそんな生活を送りながらも無垢なままだった。その純粋さは、フランクにとってはあまりにも眩しくまた守らなければならないものだった。

「どうして放っておいてくれないの!?」と叫ぶキャミに真剣な面持ちで語るフランク。一度でも引き金を引けば折角の純粋さが失われる。だから俺が代わりに引き金を引く。そう語るフランクだが、キャミは既に何度もその引き金を引いているのだが…。

やはり耄碌したのか、それとも言葉の中に真実を隠しているのか。フランクの目に怪訝な様子を見せるキャミだったが、それでもフランクなりに自身のことを思っていることは伝わった筈。でなければ、2人を襲うコズミック・キングの脅威を退けることは叶わないから。

ライダーたちの前に姿を現したコズミック・キングは巨大化し、醜悪な戦闘形態へと姿を変えた。その力はライダーを正面から圧倒してしまう程。キングは自身のビジネスを台無しにしてきた怨敵ライダーを苦しめるために、キャミをブラックホールへと放り投げる。フランクに助けを求めるキャミだが、ライダーには手を伸ばすことはできずただ彼女の名を叫ぶことしかできなかった…。

アメコミ:GHOST RIDER: DANNY KETCH(2008)#1

蒼炎のゴーストライダーが如何にして生まれたのか。そのベールが暴かれる!

 

 

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[あらすじ]

ブルックリン。かつてのこの街の治安は悲惨なものだった。悪党がしのぎを削り、怒号と銃声が飛び交う街。そんな街で暮らす人々は悲痛の涙を流す者や、傍観の感情から頭を垂れる者に血を流す者と様々だった。

そんな無法地帯に彗星の如く現れた髑髏のバイカー、ゴーストライダー。地獄の炎を纏い、鎖を振るい、並みいる悪党共を血祭りに上げてきた彼は永き旅路の果てに己の出生の秘密を知り、そして故郷に帰ってきた。そこで彼を待ち受けていたのは、相も変わらず終わりの見えない復讐の戦い。

そんな毎日に疲れを感じていたダニー・ケッチは、己を注視する存在に気付いていなかった…。

夜が訪れたブルックリンは未だに危険な街だ。そんな街にある一件のバーで起きた乱闘騒ぎ。その騒動の渦中にダニーはいた。そして、その様子を一羽のカラスが覗いていた。この鳥はダニーの過去を知っている様子だが、果たして敵か味方か…。

[How Mighty Are Fallen]

“復讐の精霊”ゴーストライダー。地獄の悪魔と契約し、魂を明け渡したことで誕生した異色のダークヒーロー。彼の存在は多種多様の超人たちが跋扈するマーベルユニバースにおいて、唯一無二といって差し支えない強大なインパクトを残した。そして、彼は歴史上において1人だけではなく無数に存在した。そのうちの1人が二代目ゴーストライダー、ダニー・ケッチだ。

今シリーズはそんなダニーを主役としたミニシリーズ。ジェイソン・アーロンが描いたジョニー・ブレイズとザドキエルの先兵と化したダニーとの戦いにおいて、ダニーが何故ザドキエルに傅いたのかの理由と背景は明かされなかったが、今シリーズにて漸く明かされる。時系列はダニーが己に憑依していた“復讐の精霊”の正体がノーブル・ケイルだと知り、彼の力を利用しようと企む地獄王ブラックハートを撃退、ジョニーをはじめとした仲間たちと別れた後となる。

先述のバーでの騒動は酔いつぶれた荒くれものたちとダニーが起こしたもの、正確に言えばダニーが喧嘩を吹っ掛けたものだった。元々は気の弱い臆病な青年だったダニーだが、復讐のロードを駆け抜けているうちに何時しか好戦的な様子を見せるようになっていた。悪党が拳を振り上げれば返す刀で蹴りを入れ、ナイフを見せればギラギラした目で笑みを浮かべる。こういった危うい一面はジョニーにも似たところがあるが、やはり似た者兄弟。しかし、ダニーが粗暴な振る舞いを見せる裏で抱える思いはその様とは真逆の弱い感情だった。

終わりの見えない復讐のロードを奔る切っ掛けとなった姉バーバラや母との死別。自分が救いを見出した“復讐の精霊”の正体と己の血に刻まれた忌まわしき呪い。それらは重い十字架となって容赦なくダニーを圧し潰そうとしていた。こんなことをいつまで繰り返すのか、もう逃げ出してしまいたい。その一心でダニーは自身の血に流れる悪魔の呪いを浄化すべく、超常現象の専門家であるマリー・レボウに救いの手を伸ばした。しかし、今度は今までとは逆に、彼女に「力」を取り戻したいと泣きながら懇願してしまう。一度でも「復讐」の虜となれば簡単には抜け出せない。自らの意志で捨てながらも、再び求めてしまうのも無理もない。どこか自分と似た「もの」を感じさせる女と出会えば尚更だろう。

ダニーがバーで出会った女、ショバ・ミルザはダニーの心の奥にしまっていた葛藤を見抜いた。彼女に己の浅はかさを指摘されたダニーは、子供のようにマリーに泣きついてしまう。このダメ男め。そんな男だからこそ惹かれる女もいるんだよな、ステイシー婦警?

 

姿を消したミルザを追って夜の街並みを愛車を走らせるダニー。だが、彼は気付いていなかった。自分に救いを齎すのは女たちではないことを。「贈り物」をくれたのは人語を解する一羽のカラス、レイヴンだ。

レイヴンが授けたのはダニーが求めた「力」。再びライダーへ変身できたことに喜ぶダニーだが、纏う炎の色は「赤」ではなく「黒」。これはいったい…。

その炎はダニーが変身したゴーストライダーが不完全であることを如実に表している。常人を遥かに超える耐久力と戦闘力はあるものの、ペナンス・ステアといった必殺技を発動できないのだ。おまけにライダーの姿を維持できる時間も短いときた。ギャングに絡まれ、迎え撃つライダーをレイヴンはじっと見つめていた。

彼が自身の計画に必要な「駒」足りうるのか、“復讐の精霊”の真価と共に見極めるために。

歓喜に震え、「力」を振るうダニー。そんな彼をレイヴンはあくまでも冷静にかつ尊大に観察していた。ダニーは新たに得た「力」を使いこなすことができるのか。