[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GUARDIANS OF THE GALAXY(2020)#3

家族を失い、悲しみに沈むガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

だが、ここで塞ぎ込んでいてはアウトローは名乗れない。リーダーの帰還を信じて、仕事の再開だ!

 

 

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【あらすじ】

惑星ハーフワールド。緑豊かな自然に溢れた星で家族の帰りを待つガモーラたち。ガモーラとドラックス、そしてグルートの3人にはスター・ロードたちの帰りを待つことしかできなかった。

そうして帰ってきたのはムーンドラゴンとハーキュリーズとロケットの3人だけ。スター・ロードの姿はどこにもなかった。激昂に駆られるガモーラ、項垂れるロケット。取り戻した家族の絆は、再び崩壊してしまうのか…。

グルートの視点から描かれる家族の一面。何を言っているのかは、彼らの表情を見れば一目瞭然だろう。

[Foever.If we Wanted]

前号ラストにて悪神と成り果てたオリンポスの神々と共に、宇宙の藻屑と消えたスター・ロード。彼は愛する女と友に必ず帰ると宣言した。だが、現実は決して甘くはないことをスター・ロード自身がよく分かっていただろう。ブラックホールの向こうに消えた者が生還できる可能性は極めて低く、これが今生の別れとなる可能性の方が高い。それでも笑顔で伝えることができたのは、家族が自分の帰りを待ってくれると信じていたからか。「神」や「幻」、全てのしがらみにケリを付けて帰るとスター・ロードは誓ったのだろう。

そして、残された家族は今後どうするべきか、各々で答えを模索することとなった。いや、もう答えは出ているのに一歩踏み出す勇気が持てずにいたのだ。家族に黙って出撃した末に親友を失った責に対して、ただ頭を垂れ罰を受けることしかできないロケット。怒りと悲しみの感情に駆られるガモーラに、事実は事実と受け入れるドラックス。そんな危うい状況にあるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの中で、グルートだけは自分たちのリーダーの帰還を信じていた。こんなことでくたばるタマではない、と。

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは世間に居場所のないアウトローたちで構成されたチーム。故に彼らはアベンジャーズX-MEN以上にチームの結束を大事にしてきた。少数精鋭ながらも「宇宙の守護者」であってこれたのも、各々のメンバーをリスペクトし、支える意思があってこそだった。ぶつかり合ったことは数知れず、心を通わせたのもまた無限にある。その心の在り方をまとめてきたスター・ロードはいない。自分たちがどうすべきかは、自分たちで決めるしかない。家族の元から再び姿を消したロケットを思えば尚更だろう。

家族の未来を見据えるためには、自分たちの確固たる姿勢が大事。そのためにはバラバラなままではダメなのを彼らはよく知っている。己のあるべき姿を見定め、家族において自分とは何者なのかを考え、何ができるのかを模索する。リーダーを欠いたチームは、導いた答えを実践すべく行動を起こす。

自分は何者なのか、ただの「デストロイヤー」なのかと悩むドラックスに父への「愛」で支えるムーンドラゴン。愛する男がかけてくれた言葉と血塗られた己の半生を思い起こし、彼の意志を継ぐガモーラ。彼らが「家族」であり続けるのは、ただの傷の舐めあいなどではない。

 

ガーディアンズのリーダーたるスター・ロードとその相棒たるロケットは、家族から姿を消した。ならば残されたガモーラたちにできることはただ一つ。自分たちに黙っていなくなった家族を見つけ出して、首根っこひっつかんでも連れ帰ること。最初の標的はロケットからだ。

ガモーラはロケットの居所を探るために、自分たちのチームを結成したことを全宇宙に発信する。そうすれば「ロケットを忌み嫌う者たち」の存在が、ロケットを探すための手助けになるから。どうやら早速、餌に釣られたカモいやさウサギとビーバーが見つかったようだ。

ロケットのライバル格であるブラックジャック・オヘアとその相棒たるプリンス・オブ・パワーは、彼のアライグマためにビジネスを台無しにされたカスター・グノーバークから依頼を受ける。依頼内容はロケットの暗殺。オヘア自身はガーディアンズと争うことに乗り気ではないようだが…。

ゲーム:MARVEL FUTURE FIGHT:THE ANNIHILATORS

宇宙を護るもう一つのガーディアンズ

ということで今回は2/21に実装されたマーベルフューチャーファイトのアップデートテーマ「アニヒレーターズ」と、アップデートで追加された2種のユニフォームの元ネタについて解説する。

まずはアニヒレーターズについて。

アニヒレーターズがマーベルユニバースにおいて始めて登場したのは2011年に刊行された「Thanos Imprerative:Devastation」誌。チームの名から往年のコズミックヒーローたちのクロスオーバーイベント「アニヒレーション」を思い起こす人が多いだろう。アニヒレーターズはアニヒレーション・ウェーブの指導者アニヒラスに対抗するために結成されたヒーローチーム「ユナイテッド・フロント」とは少々結成経緯が異なる。

宇宙の消滅を危惧したスター・ロードの遺志を継いだ宇宙犬コスモの訴えに応えたシルバーサーファーにベータ・レイ・ビル、グラディエーター、ロナン・ジ・アキューザー、そしてクェーサーは一同ノーウェアへ合流。彼らが顔を合わせたのは共通の脅威を打倒し、殲滅するため。コスモが見出した5人の超人たちと彼らと出会った女性騎士アイコンは宇宙の平和を守るために、広大な宇宙を冒険していくことになる。

[GLADIATOR:THANOS:INFINITY REVELATION]

次は実装されたユニフォームについて。まずはグラディエーター
特徴的なモヒカン頭はそのままに全身が漆黒に包まれ、印象がガラリと変わったグラディエーターことカラーク。このユニフォームの元ネタは2014年に刊行された「サノス:インフィニティ・リベレーション」。

ハルク、そしてアニヒラスとの死闘を経たサノスは偶然発見した瀕死のアダム・ウォーロックを懐柔。彼の協力を得て平行世界に存在するあらゆる障害を排除するべく行動を起こすが、そこに待ったをかけたのがグラディエーターが所属する平行世界のアナイアレイターズだった。黒く染まったボディと変わらぬ義侠心と戦闘力は、サノスが最も警戒する力の1つだった。

辺境の星を守るアイコンを追い詰めるサノスとアダムに割って入るアニヒレーターズ。だが、かのマッドタイタンにはグラディエーターと正面から戦うつもりはなく…。

[BETA RAY Bill:BETA RAY BILL(2021)]

最後はベータ・レイ・ビル。雷神ソーの義兄弟であり、かの雷神の得物であるムジョルニアに所有者として選ばれたこともあるマーベル・ユニバース屈指の「良いやつ」。そんな彼のユニフォームの元ネタは2021年に刊行された「ベータ・レイ・ビル」誌。

ギャラクタスのヘラルドとなったソーの暴走を止めようとした末に相棒のストームブレイカーを破壊された喪失感と元の姿に戻ることが出来なくなってしまった焦燥感、醜い異形の顔からくる劣等感を払拭するためにアスガルドから広大な宇宙へと飛びだしたビル。彼はオーディンの教えに従い、ムスペルヘイムに安置された魔剣「トワイライト・ソード」を求めて炎の魔人サーターとの戦いに赴く。魔剣ならばストームブレイカーの代わって、胸の中の負の感情を癒してくれると信じるビルだが…。

彼の持つ斧や鎧は外見や強さに関係なく戦士として、そして兄弟として迎え入れられた何よりの証拠。それが逆にビルの心を傷つけていたのは皮肉と言えるだろう。

ビルにとってサーターは故郷を滅ぼした忌まわしき「神」。そんな神に挑む男を戦艦スカットパルトとアスガルド人であるスカージ、トロール族のピッピら俗に言う「はみだし者」たちが支える。仲間たちの助けを借りて魔剣の前に立つビルは、見事に魔剣を手に入れることができるのか?

 

管理人はゴーストライダー誌をはじめとした超常現象やオカルト系を題材にした作品や、パニッシャー誌のような情け容赦のないバイオレンスな展開を取り扱う作品が大好きだ。そして、それらと同じくらいに宇宙を舞台にした超人たち、特にアウトローに属するキャラクターたちにスポットが置かれた作品が大好きだ。戦う舞台が違えど、戦う目的も異なれど、彼らが目指すものはたった1つ。

平和な世界を守るために、彼らは宇宙を駆けるのだ。

アニヒラスの参戦、お待ちしています(アイコンが参戦できるならコイツもいけるだろネマブ?)。

 

さて、ここからは中間アップデートで追加された2種のユニフォームについても解説していこう。アップデートテーマはメインアプデ同様「アニヒレーターズ」。告発者ロナンとギャラクタスのヘラルドことシルバー・サーファーがパワーアップして帰ってきた。

[RONAN:ANNIHILATORS]

まずはロナン・ジ・アキューザー。

ユニフォームの元ネタはアニヒレーターズが初登場した「THE THANOS INPERATIVE:DEVASTATION」。インヒューマンズの本拠地であるアティランを妻クリスタルと共に防衛していたロナンは、宇宙犬コスモの招集に応じてヒーローたちと共闘することを決意。ヴィランとしての姿の方が有名なロナンだが、宇宙の延いては祖国の平和を求める武人気質な男故にヒーローたちと手を結ぶことも多いのだ。

実はアニヒレーターズのロナンは既に実装されているが、今回のアニヒレーターズ本編での姿をイメージしたもの。インフレの波に負けないロナンさん流石っす。

仲間たちと共にアニヒレーターズの初任務に赴くロナン。チームの中では最も好戦的な男だからか、敵の総大将目掛けて前へ前へと前進するロナンは少々かませな扱いをされることも。それでもロナンの行動力が事態を好転させるのだから侮れない。

[SILVER SURFER:VOID KNIGHT]

2人目はシルバー・サーファー

ユニフォームの元ネタはシルバー・サーファーを主役に描いた「SILVER SURFER:BLACK」。ブラックなシルバー・サーファーは既に実装済みだが、この姿はそれよりも前に一瞬だけ登場したシルバー・サーファーの強化・悪堕ち形態なのだ。

2019年度のガーディアンズ・オブ・ギャラクシー誌にて、自身もブラックホールに飲み込まれながらも仲間たちを救うためにコズミック・パワーを以て活路を切り開いたシルバー・サーファーことノリン・ラッド。やがて彼は時空を越え、宇宙が誕生したばかりの過去の宇宙へと飛ばされ、そこでシンビオートの神「ヌル」と交戦。「光」を憎むヌルにとってシルバー・サーファーの存在は目障りでしかなく、叩きのめしたシルバー・サーファーにシンビオートを纏わせて傀儡へと変えてしまった。幸いにもノリン・ラッドはある人物の助けもあってヌルの呪縛から解放されたが、この戦いは「闇」を恐れる彼の心に更に暗い影を落としてしまうのだが、それはまた別のお話。

ヌルとその眷属たちとの連戦の末に敗北したシルバー・サーファーはヌルの騎士へと変えられてしまう。しかし、この姿の登場シーンは僅か数ページ。しかも戦闘シーンは一切ないという何とも言えない結果に。ノリン・ラッドがヌルの手下はちょっとやり過ぎな展開なので英断だったと言える。

 

宇宙を戦いの舞台としたヒーローたちにスポットを置いたアップデートテーマは、良くも悪くもガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが大半を占めてきた。そんな中で唐突に実装されたアニヒレーターズは世界中のユーザーに衝撃を与えたのは言うまでもない(管理人も久しぶりにフューチャーファイトで記事作ろうと思ったよ)。初代クェーサーことウェンデル・ヴォーンやアイコンが参戦したのも嬉しいところ。

今後実装されるアップデートもこういった痒い所に手が届く良アプデを望む。そろそろヤング・アベンジャーズにも救済をですね。あとアニヒラスの実装も(しつこい)。

アメコミ:AMAZING SPIDER-MAN(2015)#4

メイ叔母さんに迫るゴブリンの脅威!

「母」を助けるため、人々の笑顔を守るためにスパイダーマンが飛ぶ!

 

 

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[あらすじ]

ピーター・パーカーがスパイダーマンとして世界中を駆け回り、ゾディアックとの死闘を演じていたその頃。ピーターの育ての親であり、母親でもあったメイ叔母さんはジェイ・ジェイムソンと共にニューヨークから遠く離れたマダガスカル島にいた。彼女たちはパーカー・インダストリーズの事業の要の1つであるボランティア活動のために、離島まで足を運んだのだ。

モニター越しに久しぶりの会話を楽しむピーターとメイ。だが、メイが映っている画面から突如として何かの爆発音と「あの」笑い声が響いた。ただ事ではないと判断したピーターはウェブジェットで急行しようとするが…。

久しぶりの親子の会話で和んだのも束の間、まるで狙っていたかのようなタイミングで雨あられと降り注ぐパンプキンボム。犯人はジャック・オー・ランタンか、ホブゴブリンか、それとも…。

[High Priorty]

世界中の経済を破綻させ、混乱に貶めるべく暗躍を重ねてきたテロ組織ゾディアック。スパイダーマンやS.H.I.E.L.D.からの警戒も一層強まってきた中、表舞台に姿を現したゾディアックの真の首領たるスコーピオは自分たちの脅威をヒーローたちに知らしめるべくヘリキャリアの一隻を強襲。脱出できたフューリーやモッキンバードとごく一部の乗組員を除いた全ての搭乗員を殺害し、本格的な攻勢に打って出た。

そして、スコーピオの動きに乗じるかのように飛来したパンプキンボム。ピーターは爆発音だけで、メイたちを襲ったのがパンプキンボムであることを察知した。今回の騒動の裏で行方知れずのノーマン・オズボーンが企んでいることを、ピーターは直感したのだろう。

ピーターにとってメイ叔母さんは育ての親であるのと同時に、最後に残った肉親。何が何でも助けなければ。ウェブジェットで急行しようとするピーターだが、同乗していたモッキンバードがピーターを静止する。メイの元にはパーカー・インダストリーズの護衛がついている、今はゾディアックとの戦闘に備えるべきだ。実にエージェントらしい合理的な考えに基づく理論武装でピーターを止めようとする彼女だが、逸るピーターには寧ろ火に油を注ぐだけだ。船を乗っ取ってでも言う事を聞かせようとする彼女を強制脱出させ、ピーターは1人でメイの元へ向かう。これがS.H.I.E.L.D.と協力関係にある自分にとってまずい選択であることはピーターには百も承知だが、そんな些細なことはどうでもいいのだ。一応口では誤っているだけマシかな。

貧しくも平和な島に襲来したゴブリンたち。小鬼たちは自分たとの力を誇示するかのように建物を爆破し、逃げ惑う人々を襲う。そんな真似がいつまでも許されるとは思わないことだ、最初から許してないが。怒りに燃えるスパイダーマンが到着だ!

ゴブリンたちへの猛攻を加えるスパイダーマン。しかし、空中戦に関していえば小回りが効き、かつ高威力のボムを持つゴブリンの方に分がある。いつもの軽口が出た瞬間に撃墜されてしまうあたり、ピーターの悪い所が出てしまったようだ。

 

スパイダーマンの助けが得られず、スコーピオの足取りを掴むことができないフューリー。ウェブ・ジェットは撃墜され、メイたちが建設したソーラーパネルもゴブリンたちの手で破壊されようとしている。スパイダーマンが頑張れば頑張るほどに状況が泥沼の事態に発展していく。スパイダーマン誌ならではの「ドS」な展開に黒い笑みを浮かべてしまう管理人だが、同時にヒーローの奮起にも期待を寄せている。当然、スパイダーマンもやられっぱなしでは終わらない。どん底の状況から這い上がるの根性がウェブ・スリンガーの強みだ。遅れて援護に駆け付けたモッキンバードの助けも借りつつ、爆発の嵐から逃げ場を失い孤立する地元の子供たちを助け、崩壊したソーラーパネルに蜘蛛糸から流し込み、暴発させることでゴブリンたちのグライダーの電力を麻痺させて機動力を奪う。うっかりモッキンバードのウイングスーツの機能も麻痺させてしまうポカをやらかしてしまうものの、鮮やかな手腕は流石だと言える。

ゴブリンたちは全員捕らえ、メイやジェイムソンの無事を確認。これで事態は一先ず収束に向かうだろう。しかし、ピーターはどこか不吉な胸騒ぎを感じていた。オズボーンの姿はなかったから。今回の戦闘はほんの前哨戦に過ぎないのだ。

 

ゾディアックにグリーンゴブリン。ピーターを取り巻く脅威は未だ消えず、勢いは増しているのに首謀者の足取りを掴めずにいる。このままでは取り返しのつかない惨事になりかねない。急いで奴らを捕まえなければ!

その頃、ニューヨークのとある刑務所に自らの意思で収容されたリザードことカーティス・コナーズを訪ねた男がいた。男の顔は影で隠れていて見えないが、その赤いスーツはライノに接触した男と同じもの。男はアレクセイと同様に、コナーズにも「もう会う事ができない大切な人」と再会させる。彼らとの在りし日の生活を取り戻す、その代わりに自分に手を貸すよう迫る。

ピーターの敵はゾディアックやゴブリンだけではないようだ。

アメコミ:GHOST RIDER(2006)#32

ジョニー・ブレイズvsダニー・ケッチ、再び!

片や天使に復讐を誓う兄、片や天使に救いを求める弟。最後まで立っているのはどっちだ!

 

 

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[あらすじ]

“復讐の精霊”の力を己の野望を成就する駒として利用するべく、暗躍を重ねてきた天使ザドキエル。「神」に最も近く、強大な力を持つ天使の魔手を止められる者はおらずダニーは膝を付き、「神」の配下たる天使たちもまた屍を晒すのみ。

そして彼の天使の攻勢はジョニーをはじめとした地上のゴーストライダーたちにも及び始めた。これに対してライダーたちは団結してザドキエルの軍勢「ブラック・ホスト」を迎え撃つことに。

ライダーたちのリーダーとして先頭に立つジョニー・ブレイズ。自ら先頭に立ってブラック・ホストを指揮するダニー。今度こそそれぞれの意地を通すために、2人の男たちは激闘を演じることになる。それがザドキエルの描いたシナリオ通りであることに気付く者はいない…。

ライダーたちは宿主が死んでも“復讐の精霊”の呪いは死なず。これに対してダニーは自分と全く同じ姿・能力を持つ分身体を造り、ライダーたちに差し向ける。ジョニーはこの危機的状況を打開するために、ダニーに1対1で戦うよう挑戦状を叩きつける。

[Under Heaven Destruction]

遂に幕を上げた「ラスト・スタンド」編。文字通り最後の砦であるスカル・シティに集結したゴーストライダーたちとケアテイカーは、告死天使を従えて迫る「救世主」を迎え撃つ。この戦いが“復讐の精霊”の呪いをその身に宿した自分たちが往くロードを指し示す道標となる。ここで倒れば天使の思惑を止める手段はない。不退転の覚悟で臨むライダーたちは上位種である天使たちを相手に、一進一退の攻防を繰り広げる。だが、やはり相手の力はあまりにも強大。バロン・スカルファイアは倒れ、ダニーはヘルファイアで己の分身を造り上げ一気に片を付けようとする。“復讐の精霊”の力を限界まで引き出し、「神」の加護を受けたダニーにできないことはない。猛威を振るう弟の姿に兄も悪態をつくしかないだろう。ダニー「分身てのはこうやるんだー!!」

だが、救世主を気取る弟にいつまでも好き放題させておく道理はない。そして弟の方も最初から狙いは兄のみだ。相棒たるヘルサイクルに跨る2人はそれぞれの道理を通すために、ライダーならではのルールで決着を付けることにする。即ち、時間無制限のレース対決。ぶっ倒れた奴が負けのシンプルな勝負、この一大事にそんなことをやっている場合かと突っ込みたくなるが、ジョニーとダニーにとってはそれが全てなのだ。

アフリカ大陸から始まり世界中を駆け巡りながら熾烈なデッドヒートの応酬を繰り広げる兄弟たち。誰にも2人の「戦い」を邪魔できない。

 

レースの最中でもダニーは頻りに自らの行いの正当性を叫ぶ。こうしている間にも分身体は残ったライダーたちを追い詰めて呪いから解放している、と。アンタに一体何ができたのかと叫ぶ姿には、管理人は先代のケアテイカーを詰問している様を重ねる。ダニーは“復讐の精霊”の呪いを受けた者たちに救いを齎している、と思っているがその実は真逆だ。ライダーたちの中には呪いを不幸と捉えて目を背ける者もいれば、それに抗い立ち向かう者や受け入れる者もいる。ダニーはそんな彼らの思いを無視して、救いを「押し付けて」いる。その結果が「死」という名の救済なのだから、ジョニーが敵意を向けるのも当然だろう。彼らから取り上げた呪いを一身に引き受け、力を高めていく弟に兄は啖呵を切る。お前は所詮ザドキエルのいい様に動く駒、操り人形に過ぎない、と。ザドキエルの悪辣さを身をもって知るジョニーはダニーの目を覚まさせるためにアクセルを吹かす。いくらライダーたちからパワーを奪おうが負ける気はしない。

以前戦った時とは違い、本気で勝ちにいくジョニーはダニーを突き放すが…。

先頭を走っていたジョニーは突如放たれたヘルファイアの一撃で吹き飛ばされ、クラッシュ。撃ったのはザドキエルが「保険」として取っておいた手駒であるコワルスキー。ゴーストライダーに復讐を誓った男の一撃は、見事にライダーの体を穿ったのだ。

ジョニーは倒れ、残ったのは歓喜に震えるコワルスキーと突然の事態に驚きと怒りを隠せないダニーだけ。ダニーはコワルスキーの存在を聞かされておらず、折角の勝負に水を差されてしまった。これでは激怒するのも無理はない。コワルスキーを地獄の炎で「制裁」し、虫の息のジョニーに歩み寄るダニー。彼はジョニーを救うために呪いを奪った。こんな勝ち方は望んでいなかったが、兎も角「使命」を果たすことができる。もう二度と“復讐の精霊”の呪いを受ける者は現れない。血と怨嗟の感情に塗れた地獄の炎は青き炎で浄化され、天界に昇る。

禍々しくも神々しい炎の翼をはためかせ、ダニー・ケッチは稲妻と共に天上へと消えていった。その様をジョニーには止めることができなかった。

ダニー・ケッチは青き稲妻と共に姿を消した。その衝撃は地球上のあらゆる地だけでなく、遠く離れたアスガルドや地獄にも届いていた…。

 

 

ゴーストライダーが負けた。古代の悪魔をその身に宿し、地獄の炎を以て罪なき人々を傷つける悪党や怪物たちに裁きを与えてきた彼らの力も天使には届かなかった。この展開は当時リアルタイムで読んでいた読者に大きな衝撃を与えたのは間違いないだろう。管理人もゴーストライダーは並みいる超人たちの中でも最強だと思っていた時期があったが、そのライダーが完膚なきまでに敗北を喫してしまったのだから。そして敗北から来るやるせなさと絶望の感情は生き残ったジョニーやサラにも重くのしかかっていく。

しかし、彼らに待ち受ける悲劇はこれからだった。

曇天の空が突如赤黒く染まり、無数の炎が雨あられのように降り注ぐ。その炎は天界へと昇ったダニーが、天界へのゲートを突破する際に生じたもの。そして、当のダニーもまた炎と共に地上へと堕ちていく。吸収したパワーを全てザドキエルに奪われてしまったのだ。

炎の直撃を受けながらも無傷で済んだジョニーと瀕死の状態ながらも生還を果たしたダニー。ジョニーは炎に残っていた“復讐の精霊”の呪いを再び身に宿し、ダニーも僅かながらもパワーを残していた。しかし、これだけで状況が好転する訳がない。むしろ悪化しただけだ。半狂乱になりながらも自らの過ちを認めるダニーだが、彼との絆を断ち切ってしまったジョニーは冷たく見下すのみ。そんな2人にサラはケアテイカーとして声をかけることはできなかった。

ザドキエルの勝利は揺るがない。

無数の屍とその中でうずくまるダニーの姿には哀愁が漂う。ここで諦める訳にはいかない、そう思っていてもどうすればいいか見当も付かない。悲観に暮れるジョニーたちだが、その一方で新たに“復讐の精霊”の呪いを受けた者が誕生した。“復讐の精霊”に復讐を果たしたコワルスキーは、「神」の手でアンチゴーストライダーヴェンジェンス」へと生まれ変わらされたのだ。

アメコミ:AMAZING SPIDER-MAN(2015)#3

ゾディアックの真の首領スコーピオ登場!

一方、ピーターは自身の事業を拡大すべく一手を打つ。それはバクスター・ビルディングを改装して自社オフィスとすることだった。

 

 

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【あらすじ】

奪われたウェブウェアを取り戻し、序にゾディアックも叩き潰さんとプロウラーと共にアジトに乗り込んだスパイダーマン。しかし、敵の非情な作戦のために捨て石にされたゾディアックの構成員たちを見殺しにすることができなかったスパイダーマンは、装置の奪還よりも人命の救助を優先。その結果ゾディアックの幹部陣を取り逃がしてしまう。

しかし、これでへこたれるピーター・パーカーではない。ヒーロー業も勿論のこと企業の力を拡大するべく動き出す。その足掛かりがニューヨークでの事業の要となるオフィスを構えること。そのオフィスの場所は盟友であるファンタスティック・フォーの拠点バクスター・ビルディング。

大々的な報道をすることでゾディアックへの牽制をも狙うピーター。しかし、これを快く思わない者が1人いた

自身の報道会社を立ち上げたジェイムソンの力を利用し、友の「家」も利用する。社長としてはご立派だが、せめて「家」の家主(一応)に一言相談すべきだった。報道の内容に耳を疑い、怒り心頭となったヒューマントーチことジョニー・ストームがピーターの元に襲撃を掛ける事態になってしまう…。

【Friendry Fire】

「あなたの親愛なる隣人」スパイダーマン、彼は街の人々に時に愛嬌を振るい、時に困っている人々の問題を解決したり、軽口を叩きながら悪党を捕らえてきた。住人たちはそんなスパイダーマンを受け入れ、彼の活躍を応援してきた(一部の人々はその限りではなかったが)。しかし、その実スパイダーマンの本性を知っている人は殆どいないだろう。「親愛なる隣人」と自称する彼だが、その別名と裏腹にスパイダーマンことピーター・パーカーは誰よりも負けず嫌いで喧嘩早く、かつ他人、特に親しい関係の者に対して横柄な物言いをする悪癖がある。その傾向はヒーローやヴィランを問わずスパイダーマンの正体を知る者や、長年の付き合いの者に対して顕著だ。

そして、今回もそんなピーターの悪癖のために一杯食わされてしまった哀れな男がいる。ジョニー・ストーム。ファンタスティック・フォーのメンバーであり、炎を操り空を飛ぶヒューマントーチの名を持つ彼は、ピーターとは軽口を叩き煽りあうのが日常な俗にいう悪友と言える関係にあった。彼は「シークレット・ウォーズ」にて行方不明となったリード・リチャーズとスーザン・リチャーズの処遇を巡って「家族」の実質的な解散を受けて、当時は単独で行動し、バクスター・ビルディングを守ってきた。いつの日か「家族」が再び集結するその時まで。しかし、守る家を少しの間留守にしていたら、いつの間にかピーターの手で大改装されてしまったのだ。

バクスター・ビルディングを勝手に「買収」してしまったのは明らかにピーターが悪く、ピーター自身もその非は認めている。彼がこのアジトを狙ったのはニューヨークのど真ん中にある立地的な意味でも、知名度の意味でも最適なのが理由。しかし、そんな上っ面な理由を説明されたジョニーは怒りの炎を燃え上がらせてピーターに食ってかかる。直情的で口よりも先に手が出る男の攻撃を「パーカー・インダストリー」の科学技術でいなし、落ち着かせようと社内を案内するピーター。だが、ジョニーの不信感は簡単に消える筈もなく…。

パーカー・インダストリーズの上役にはハリー・オズボーン改めハリー・ライマンの姿が。ジョニーはハリーがグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンの息子であることを知っていた。どうしてピーターは不俱戴天の敵の息子を雇い、あまつさえバクスター・ビルディングに招いているのか、ジョニーがそう思うのも無理はないだろう。

 

ピーターの無神経な振る舞いのためにジョニーとの友情に亀裂が入ってしまった。今回のピーターの振る舞いは(この時点では)擁護することはできないだろう。スパイダーマンは変わってしまった、ジョニーが不機嫌な様子を隠せないのは当全だ。今やバクスター・ビルディングは卑しい蜘蛛と彼を慕う者たちの巣窟と化しているのだから。その中にはかつて敵対した者たちまでいるのだから尚更だ。

しかし、ピーターもジョニーの気持ちが分からないような冷血漢でも卑劣漢でもない。バクスター・ビルディングを拠点に据えたのも、ハリーを雇っているのもちゃんと理由がある。それは偏に自分の大事な者たちの「家」を守るため。バクスター・ビルディングを狙っているのはピーターだけではない。アルケマックスやロクソン、ハマー・インダストリーズとヴィランと繋がりのある悪徳企業が、バクスター・ビルディングの家主であるリード・リチャーズの技術を利用しようと虎視眈々と狙っているのだ。ゾディアックの対処だけでも大変なのに、アルケマックスたちとも争うのはリスクが多き過ぎる。だから先手を打つ形で友の「家」を買い取った。自社のシンボルマークをでかでかと掲げているのも、ニュースで大々的に報道させたのも敵への睨みを効かせるため。

そしてハリーを雇っているのも彼が親友だからという私情だけでなく、彼自身が「家族」の不始末を望んだから。今のハリーには超人として戦う術はないが、大企業の社長とスパイダーマンの2つの顔を使って戦う親友のサポートはできる。亡き母の旧姓を使っているのはオズボーン家との繋がりを断つためではなく、禊を果たして「家族」を取り戻すため。

ピーターとハリーの真意を聞いたジョニーも納得したように拳を下ろす。そして自分もまたピーターと共に戦うことを決意する。バクスター・ビルディングの一応の家主は自分なのだから好きにさせておけない、と軽口を叩く姿はピーターがよく知るジョニー・ストームのそれだっただろう。

ファンタスティック・フォーは消えてしまったのでない、ちゃんと此処にいる。「家族」の再会を願うジョニーとハリーの決意を受けてピーターの戦意もさらに昂る。大切な者たちのために戦うのが「親愛なる隣人」の使命であり本懐なのだ。

 

こうして(主にピーターのせいで始まった)すれ違いも解決し、躍進していくパーカー・インダストリーズ。しかし、彼らの前に立ちはだかる悪党共の勢いは衰えることはない。時に大胆に、時に水面下で進められていく彼らの野心はピーターの「夢」を砕こうと躍起になっているのだから。

表舞台に姿を現したゾディアックの首領スコーピオは、S.H.I.E.L.D.のヘリキャリアを襲撃。船を乗っ取り、拘束されていた配下を殺害する様はまさに悪逆非道なテロリスト集団のリーダーのそれだ。そして別の場所では、スパイダーマンへの復讐心に燃えるノーマン・オズボーンが策略を巡らせていた…。

アメコミ:REVENGE OF THE COSMIC GHOST RIDER(2019)#1

コズミック・ゴーストライダーの逆襲!

再び宇宙に上がったフランク・キャッスルが監獄で、海賊船で大暴れ!

 

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【あらすじ】

地球から遠く離れた宇宙の向こう、幾億もの星々の輝きが照らす暗闇にポツリと浮かぶ機械仕掛けの衛星があった。この衛星はシャイア帝国が管理する監獄であり、ここに収監されるのは帝国領土の星々で狼藉を働いた無法者ばかり。

そんな悪鬼悪党が顔を並べる地で、1人の男が収容された。男は地球出身の人間であり、ドクロのシンボルマークが描かれたシャツを着用した老人だ。男の罪状は殺人、それも多くの帝国の民を殺したこと。牢の中には身内を男に殺された者もおり、早速お礼参りと言わんばかりに暴行を働く。しかし、こんな目に遭いながらも男の口元には常に笑みが浮かんでいた。次の獲物が見つかった、と。

悪党に全身の骨をぐしゃぐしゃに曲げられたにもかかわらず、何事もなかったかのように立ち上がった男は地獄の炎を燃え上がらせて殺意をぶつける。男の名はフランク・キャッスル、またの名をコズミック・ゴーストライダー。地獄から蘇った彼は、再び悪党を狩る旅を始めていたのだ。

【Revenge】

さて、今号の内容を語る前にここに至るまでのあらましを簡潔に述べていこう。

「サノス・ウィンズ」で初登場以降、2つのミニシリーズで主役を張り、遂には「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーとなったコズミック・ゴーストライダー。しかし、ライダーはサノス復活を企てる死の女神ヘラに服従するよう強要され、スター・ロードに引導を渡された末にその魂は地獄へと落ちていった。しかし、ライダーの魂は当時の地獄王「キング・オブ・ヘル」ジョニー・ブレイズに救われる。だが、今度はジョニーの目的を果たすための駒として利用するために地上へと送られ、結果的に生き返ることになった(そこでライダーはアベンジャーズと戦わされ、話の流れでジョニーに反旗を翻すのだがそれは別の機会に語ろう)。

数奇な事件を経験し、ライダーは再び宇宙へと帰っていった。今号はそんなライダーが活躍する様子を描いたミニシリーズ。歴史を歪め、大切な者が生きる未来を掴むことができなかった男は、誰かのためではなく自分の意志で戦うことを決めた。ライダーがターゲットに見据えたのはサノスが死んで以降、宇宙の裏社会で勢力を広めていた「コズミック・キング」とその一派。コズミック・キングは宇宙のあちこちでシンパを増やし、彼の影響はクリー帝国とスクラル帝国に並ぶ力を持つシャイア帝国にも及んでいた。ライダーがシャイア帝国の領土で殺した者たちはそのシンパたち。しかし、法と規律に厳しい帝国内で大量殺戮をしてしまったためにグラディエーター率いる「インペリアル・ガード」に捕まり、連行されてしまったのだ。

ライダーに変身せずとも火炎放射器ガトリングガンでゴミ共を掃除していくフランク。彼は元々は最強の私刑執行人「パニッシャー」なのだから当然の結果と言えるが。…事前に彼らがコズミック・キングの手先だとグラディエーターに報告すれば捕まることもなかったような気がするが。

自身の犯した「悪行」を悪びれもせず、喜々として殺戮を繰り広げるライダー。てめえらのようなゴミ共が生きて良いわきゃねえだろ、と監獄で大暴れするライダーを止める手段は悪党たちにも、そして看守たちにもない。“復讐の精霊”の鎖で罪人の体を引き裂き、ギャラクタス由来のコズミックパワーで衛星に穴をぶち開ける様は実に豪快で管理人の心を震わせてくれる。だが、少々やり過ぎたようだ。ライダーの暴走は銀河系を行き交う「怪物」を招き寄せてしまったのだ。

「怪物」は衛星内の全ての生物に襲い掛かり、生命力を奪う。その対象はライダーも例外ではない。また死んでる、と思っていたら非常事態を察知した看守の手で衛星は「怪物」を巻き込んで自爆してしまう。?「脱出できなかった人、残念でした」

折角蘇り、久しぶりの個人誌が始まったのに早々に死んでしまったコズミック・ゴーストライダー。しかし、あまりにも死に過ぎて「死」そのものに耐性が付いたのか、体のパーツが残っていればそこから再生できる異常な程の生命力を獲得していた。ますます化け物じみてきたと引きそうになるが、ライダー自身は全く気にする様子はない。悠久の時を生き、気が触れてしまった男にはこんなものは些末な問題なのかもしれない。

衛星跡地で資源とライダーの「頭部」を回収した海賊船内で蘇ったライダーは、船員たちを1人ずつ抹殺していく。彼らもまたコズミック・キングの配下たち。宇宙のゴミ処理も楽じゃないのだ。

海賊船には知る人ぞ知るキャラクターであるキャミも乗船していた。彼女もまた、数奇な運命を経て地球から宇宙に上がっていた。普段通りの日常を送る彼女の裏で繰り広げられる殺戮劇は完全にホラー作品のそれ。

キャミ以外の船員たちを抹殺したライダーの魔手は、遂に彼女にも降りかかる。暗い閉鎖空間で現れた髑髏の怪人に恐怖するキャミは脱出艇に急ぐものの、それらは全てライダーの手で破壊されていた後。キャミの目の前で宇宙船そのものをバラバラに破壊することで、追い打ちをかけるライダーのなんと恐ろしいことか。悪党にかける慈悲など持ち合わせていない、逃げ出すキャミを鎖で縛り上げてペナンス・ステアを発動させるライダー。しかし、ライダーは彼女を「善人」だと判断して開放してしまう。

ライダーの魔眼で見たキャミの記憶は多くの者たちの血で濡れているものの。その魂の本質は汚れてはいなかった。ライダーにキャミは殺せない。汚れなき者の命を奪うのは主義に反するから。鎖の拘束から彼女を解放して立ち去ろうとするライダーだが、そこにキャミが喰ってかかる。突然やってきて好き放題暴れた末に宇宙空間に1人置き去りにするつもりか、と。

自分も連れていけとせがむキャミにライダーが断れる筈もない。暴力的ながらも確かな芯の強さを持つ少女との旅路がライダーに齎すものは…。一方、ライダーの挑戦を受けてコズミック・キングも動き出していた。

宇宙を統べるために暗躍するコズミック・キングは障害となるライダーを始末すべく、メフィストの元を訪ねる。キングの要件はただ1つ、フランク・キャッスルの魂を寄越すこと。

 

 

無法振りと無軌道さに磨きがかかり、パワーアップして帰ってきたコズミック・ゴーストライダー。彼の命を狙うコズミック・キングと、彼の所有者であるメフィストと強大な力を持つ巨悪の登場とフランク・キャッスルの物語は勢いを増していった。だが、ライダーの前に最初に立ちはだかったのはそんな悪党たちではない。それは同じ名を持つ、もう一人の自分。

今号のライダーから見て「過去」の自分との対峙で締めとなる。

ジョニーに反旗を翻して自由を取り戻したライダーは、宇宙に戻る前にある場所に立ち寄っていた。マリア・キャッスル、最愛の妻の眠る墓地。ライダーがまだパニッシャーだった頃、戦う原動力となった愛する者が眠る地は、ライダーにとっては忘れることはできない場所だ。

風が吹きすさび雨が降りしきる真夜中の墓地、妻の墓標の前で崩れ落ちる悪魔憑きというにくいシチュエーション。そこで現れたのはライダーがアベンジャーズと交戦した情報を嗅ぎ付けたパニッシャー。これほど喜劇であり、同時に悲劇の言葉が当てはまる場面もそうないだろう。

ライダーはパニッシャーが自分を覚えていることに驚きを隠せない様子だが、冷静に考えればこれは当然の帰結だ。マーベルユニバースの歴史を改変したライダーだが、ウォッチャーが介入したのはフランクの妻子が殺される一瞬だけ。それ以外の歪められた歴史は全て「正史」となったのだから。そしてライダーと対峙するパニッシャーは、抑えきれない殺意を漲らせながら武器を向ける。

パニッシャーはこれまでに何度もゴーストライダーと対峙し、彼の悪魔憑きの恐ろしさを身をもって体感してきた。肉体的にはただの人間であるフランク・キャッスルがライダーに勝てるとすれば、「神」の祝福を受けた遺物か対悪魔用のマジックアイテムだけだ。にもかかわらずフランクは敢えてそれらを使わずに、ライダーに戦いを挑んだ。

パニッシャーとしてこれまで使ってきた「普通」の武器を使ってライダーを襲うフランクだが、いずれもライダーの致命傷には至らない。それどころかライダーには戦うつもりはなく、頻りにフランクに手を引くよう叫ぶだけだ。ライダーからすれば「過去」の自分と戦う理由はない、それどころか顔を合わせようとも思っていなかっただろうだから。

万が一にもフランクが自分を覚えていたら間違いなく突きつけられる疑問から、ライダーは逃げたかった。だから戦おうとはしなかった。しかし、そんな中途半端な在り方を「過去」の自分が許す筈もない。だからフランクは「未来」の自分に問う。何故、俺たちの妻子を救わなかったのか、と。

「未来」の自分から見れば「過去」の自分のなんと愚かなことか。「過去」の自分から見れば「未来」の自分は卑怯者としか思えない。お前は知らない。変えようと足掻いても変えられない運命もあることを。お前は忘れてしまった。俺たちが何のために戦っているのかを。

コズミック・ゴーストライダーパニッシャーゴーストライダーの要素を足して2で割らなずに誕生したキャラクター。しかしながら、その実2人の復讐鬼の「復讐の意義」は異なると管理人は思う。ゴーストライダーは罪なき人々が流した血の重さを贖うために戦うが、パニッシャーは殺された妻子の血の代償を払わせるために戦う。ライダーは「過去」の自分からの叫びに対して俺たちもまた罰せられる存在だからと答えたが、その答えがライダーが抱える業の重さを現していると思う。妻子を救いたくてもできない、邪魔をしたウォッチャーに報復しても何の解決にもならない。それを知ってか知らずかフランクは激高し、「未来」の自分に向けて言い放つ。2度とここへ近寄るな、と。

俺とお前は違うし、お前は俺とは違う。「未来」のフランクは「過去」の自分の言いつけ通り、2度とマリアの元に現れない決意を秘めて宇宙へと帰っていった。「過去」のフランクには「未来」の自分の姿は宇宙の闇に消えるのを見送ることしかできなかった。これが今生の別れとなる、そうなって欲しいと管理人は願う。

家族を救うことを諦めたライダーは、新しい相棒を迎えて宇宙を旅する。一方で、残されたフランクは家族を救うチャンスを与えられた時、どうするのか。それは当ブログを読んでくれている読者には語るに及ばずだろう。「過去」のフランクが魔道に堕ちたのも、「未来」の自分との対峙があってこそだったのかもしれない…。

 

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アメコミ:GHOST RIDER(2006)#31

刻一刻と迫る天使たちとの全面戦争の時。

巨大な力の襲来の前にサラ、そしてジョニーはどうする?

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

“復讐の精霊”ゴーストライダー、罪なき人々を虐げる者たちに罰を与える悪魔。彼が纏う地獄の炎は罪人の体を焼き、そして彼の魔眼は悪しき魂を焼き尽くし、無限の苦痛を与える。それが“復讐の精霊”の呪いを受けた者の定めなのだ。

だが、人間すぐに更生ができるような物分かりのいい者ばかりではない。ライダーの恐ろしさをその身で味わいながらも、逆襲を企てる者もいる。己の矮小な野心のために片手と地位を失い、酒を呷る毎日を送るコワルスキー元警部もまたその1人だ。そんな男に天使は復讐のためのチャンスを与える。

そして、対する“復讐の精霊”たちもまた、自分たちに課せられた使命を果たすために共同作戦を展開する。世界中から集まったゴーストライダーの生き残りたち、その中にジョニー・ブレイズの姿もあった…。

アフリカ大陸はコンゴ、緑豊かなジャングルの奥にある“復讐の精霊”が治める都市。ようこそ同胞たちよ。ザドキエルの野望を挫く我々の「最後の砦」がこのスカル・シティだ!

Sign of Vengeance】

“復讐の精霊”の呪いをその身で受けた者たち。ジョニーとダニー、マイケル以外にもゴーストライダーは世界中のあちこちで存在していた。今号にて登場した王族のライダーたち、バロン・スカルファイアとマリネッティ・ブーワチェチもまたモレックたちと同様にジョニーのような同胞を探し求めていた。天使の邪な野望を阻止するべく、一丸となって立ち向かうために。ザドキエルとダニー・ケッチのために地上にいる“復讐の精霊”たちは残り僅かとなっていたが、各々の復讐を果たすために辛抱強く捜索を続けてきた。そして遂にケアテイカーの名前と記録を受け継いだサラと、ジョニー・ブレイズを見つけることに成功した。来る天使たちとの決戦を勝利するには2人の協力が必要不可欠。

しかし、本当にこの戦力で勝てるのか。ケアテイカーたるサラは不安を隠せなかった。相手は“復讐の精霊”の中でも強力な力を持つダニーを擁しているだけでなく、ブラックホストの力も未知数なのだ。それに加えて肝心のジョニーの心は戦いから遠ざかりたい一心のまま。広大なアフリカ大陸を照らす夕日を前に黄昏るサラにモレックが眠るよう促すが、ここで彼女の不安が爆発してしまう。祖父からゴーストライダーたちの戦いの記録を受け継ぎ、戦うためのスキルを持っているとはいえ、つい数日前までは普通の修道女見習いだったのだ。ケアテイカーとしてジョニーに何をしてやれるのかが分からないと嘆くサラだが、モレックは「ただ傍でいるだけでいい」と優しく諭すように言う。

“復讐の精霊”の力は人間の範疇を越えた悪魔の力。この力を得た者は自ずと外界から距離を置き、孤独な人生を歩む者が多かった。大切な者を奪われた怒りと悲しみの感情から来る復讐心、または彼らを救うために抱いた復讐心、悪政を働く為政者や侵略者に裁きを下すために抱いた復讐心。みんな形は違えど、それぞれの復讐を果たすために悪魔に魂を売り渡し、そうして胸に抱えた悪意と共に暗闇の世界を生きる末路を辿った。それはとても不幸なことだ。

だが、そんな彼らの思いを決して無かったことにはしない。故に“復讐の精霊”の戦い様を記録した。彼らの慟哭と怒りと共に。それができるのはケアテイカーだけなのだ。

サラにできることは、モレックをはじめとしたゴーストライダーたちの意志を繋ぎ止めること。あるがままに記憶することが、ライダーたちへの「手向け」となるのだから。

モレックの出来た人格者ぷりに当時の管理人は驚いたものだが(ジョニーやダニーたちはこんなナイスシルバーにはなれないだろうし)、同時にライダーたちの抱える「闇」の深さを儚く思わずにはいられない。モレックやバイ・グ・ジン、バロン・スカルファイアたちにもジョニーと同じく、やむにやまれぬ事情から悪魔憑きとなった者たち。彼らの生きるロードは常に暗闇に満ちているが、進む先を孤独な地獄の炎で照らすのか、それとも人の想いで照らすのか。モレックたちがサラに託した願いは、サラの不安を払拭させる。そして、ジョニーもまた戦地へと向かう「同胞」たちを前に戦う覚悟を固める。

年端もいかぬ子供たちも、天使たちとの戦いに身を投じる。これを見て自分1人だけくさっているようでは、あの世の息子と娘に顔向けできる筈もない。

 

管理人は物語で描かれる決戦において重要なのは、そこに至るまでに描かれる過程だと思う。ジョニーとサラが出会った“復讐の精霊”たちが抱える「闇」と思いの強さは素晴らしいものだ。そしてジョニーたちと対峙する天使もまた、彼らだけの復讐心を果たすために手段を選ばずに犯行分子を消そうと躍起になる様もまた素敵だ。“復讐の精霊”への復讐心から正気を失っていくコワルスキーに接触したのも、計画を成就するために必要な鍵となる。そして、彼が抱いた「闇」は己の往くロードもまた暗闇で染めていくことになるが、それはまた別のお話。

マイケル・バディリーノの所在を掴んでいたザドキエルはコワルスキーに情報をリークし、ヘルファイアを放つショットガンを奪わせた。そして、「約束の地」で時を待つように啓示を与える。何もない広大な地で1人獲物が来るのを待つコワルスキーだが…。

 

さあ、舞台は整った!告死天使を従えてスカル・シティに向けて進軍するダニー・ケッチ。そんな天使たちを迎え討つために集うジョニー・ブレイズたち。悪魔と天使に運命を弄ばれた兄弟たちの死闘の第2ラウンドの幕が上がる!

次号「ラストスタンド」編、完結。勝つのはどっちだ!