[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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キャラクター:スパイダーマン:オクトパスガールのあれこれ その2

↑同族嫌悪の極み

 

※オクトパスガール最新話のネタバレを含みます

ということで、今回はジャンプ+で配信されている「スパイダーマン:オクトパスガール」にて描かれた原作ネタを幾つか取り上げていく。

以前にもスパイダーマン:オクトパスガールがどんな作品なのかをざっくりと解説したが、ここでも簡単なあらましを書いていこう。

前回はこちらから↓

 

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アニメ映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のタイアップ企画として連載中の本作は、ドクターオクトパスことオットー・オクタビアスと奥田宮乙葉の2人を主人公に描いた漫画作品。スパイダーマンとの戦いで敗れたオットーは自身の装置を駆使して「転生」を目論むものの、装置の誤作動か、オットーの精神はニューヨークから遠く離れた日本の女子中学生に転移。

交通事故に逢って意識不明となっていた乙葉の体に同居することになったオットーは、さっさと装置を正常に起動させてニューヨークに戻ろうとするものの、装置を何者かに奪われただけでなく学校内で虐めを受けていた乙葉を見過ごすことができなかった。「より優れた者が世界を正しく導くのは当然」と考えるオットーは乙羽と彼女を取り巻く問題を解決しようと奔走していく。

もはやタイアップ企画とは何だったのか(これを書いている管理人もそういえばそうだったと再確認した)と思わずにはいられないが、この作品の原作リスペクトが功を奏したのかアメコミファンやそうでない者たちからも評価は高い。

単なる猿真似ではなく、より日本向けにされどアメコミらしさは決して忘れない作風を貫くのが、管理人は大好きだ。

シニスター・シックス

ドクターオクトパスを語る上で外せないのがヴィラン連合「シニスター・シックス」だ。打倒スパイダーマンを掲げ、ドクターオクトパスをリーダーとして結成された6人のチームは大きな話題を呼んだ。結果的にチームは我の強いメンバーの統率にオットーが失敗したことでまとめてスパイダーマンに倒されたものの、その影響は大きく以降もメンバーを変えてシニスター・シックスは登場し続けている。

オクトパスガール作中ではシニスター・シックスのメンバーはオットー以外には現状登場していないが、オットーを取り巻く者たちの多くはシニスター・シックスのオリジナルメンバーを意識したキャラ付けが行われている。

乙葉を虐めていた当麻多華はヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスに、常識人だが斜に構えた丸児真里加はサンドマンことフリント・マルコ。身内にはいい子だが周囲に弱みを見せることができない泥路木ギンコはエレクトロことマックス・ディロン。いまいち頼りにならない先生な別久美波鈴はミステリオことクエンティン・ベック。脅威的な身体能力を持つ転校生の倉辺桐香はクレイヴン・ザ・ハンターことセルゲイ・クラヴィノフ。彼女らの名前と性格は元ネタの人物の要素を引き継ぎ、あるいは反転させたもの。多すぎて詳しくは省くが、興味があればそれぞれのキャラクターが登場するコミックを読むことをお勧めする。

スパイダーマンとは何度もぶつかり合ったシニスター・シックスだが、2022年から刊行中の「Amazing Spider-man」誌にて共通の敵を打倒すべく手を組んだ。この展開に沸き立ったファンは多かっただろう。

・奥田宮乙葉

オットーの精神が宿った乙葉もまたシニスター・シックスのオリジナルメンバーがベースとなっている。言わずもがな、元ネタはドクターオクトパスだ。しかし、乙葉とオットーは性格や境遇が多少異なる。乙葉の性格や境遇のベースとなっているのはオットーの宿敵スパイダーマンことピーター・パーカーだ。

乙葉のバックボーンは多くは語られていないが、彼女と暮らす女性は乙葉の叔母にあたる。叔父は交通事故で亡くなり、以降は優しくも体が弱い叔母を気遣う乙葉は虐めを受けていることを明かさず、気丈に隠し続けた。同時に同級生にも一切の危害を加えようとはせず、逆に彼女たちの問題を解決しようと奮闘する。「小さな力でも小さな親切を」、叔母の言葉を守り続ける乙葉の姿にオットーが何を思ったのか。

オットーは彼女の生き方は否定しないが、それがどんな結末を迎えるのかを知っているからこそ、世話を焼きたがるのだろう。

・ドクターオクトパスvsスーペリア・オクトパス

作中でも登場したもう1人のオットー・オクタビアス。自らをスーペリア(より優れている)と自負する彼はスーペリア・オクトパスを名乗り、ドクターオクトパスに戦いを挑んだ。自らをヒーローと称するスーペリア・オクトパスにとってヴィランであるドクターオクトパスは過去の自分自身であり、忌むべき過ち、排除すべき障害でしかないからだ。いたいけな子供の肉体を乗っ取っているのだから、恥の上塗りもいいとこだ。

だが、それはスーペリア・オクトパス本人にも充てはまる。当のスーペリア・オクトパスの正体こそ「過去のオットー・オクタビアス」なのだから。神経スキャナーの誤作動から再びピーター・パーカーのクローンボディーに自身の人格と記憶のデータをダウンロードされ、ヒーロー活動を開始したスーペリア・オクトパス。彼の持つ記憶は「スパイダーゲドン」および「アメイジングスパイダーマン(2015)」誌、そして2期の「スーペリア・スパイダーマン(2018)」誌まで。

現代のドクターオクトパスがスーペリア・オクトパスを過去の亡霊、インフェリア(劣っている)オクトパス、ヒーローの夢と称したのも頷ける。全身全霊でヒーローたらんと努力した自分が最後にどんな「選択」をしたかを彼は知らない、或いは「今度こそ間違えない」と息巻いているのだから。

そんなスーペリア・オクトパスは当麻多華と組み、彼女が抱える問題を解決すべく行動を起こした。お互いの存在を決して認めようとしない2人のオットーがどんな決着を迎えるのか。今後に注目だ。

ドクターオクトパスがスーペリア・オクトパスを敵視する最大の理由は、自分が選んだ選択によって失うものが余りにも多すぎたことを認めないからだろう。「偽物」のヒーローでは助けを求める子供1人、悪党から守ることができないのだから。

・アクロス・カンパニー

作中で登場した企業アクロス・カンパニー。ニューヨークを拠点としたこの会社は、他企業の買収や株式操作を行う悪徳企業だ。その存在はスパイダーマンやドクターオクトパスにも知られており、特にエンジニアでもあるオットーからすれば決して許すことができないものだ。奥田宮乙葉と当麻多華の過去にも多く関係しているこの企業は、目下の倒すべき巨悪として登場している。

管理人の知る範囲ではコミックでは登場しない企業だが、マーベル・ユニバースにはこういった悪徳企業が多く登場する。アルケマックスやハマー・インダストリーズ、ロクソン、そしてオズコープ社。彼らもまたアクロス・カンパニーと同様に、己の利益を得るためにあくどい商売を行い、必要とあらばヴィランとも手を組む連中だ。

アクロス・カンパニーの詳細は未だ謎に包まれているが、この企業の長は先述の企業のそれと同じく一筋縄ではいかない強敵として登場するだろう。

 

父の無念を晴らすべくアクロス・カンパニーへの報復を目論む当麻多華は、巨大なウイングスーツを造りだし、スーペリア・オクトパスの協力を得て作戦を決行。これに対して多華を止めるべく、ドクターオクトパスと共に妨害に乗り出す奥田宮乙葉。偏に親友が誤った道を進むのを止めるために乙葉は行動するが、これに協力するのがヒーローであることを辞めたドクターオクトパスだと言うのが何とも。

だが、乙葉たちの問題を解決できるのはヴィランであるドクターオクトパスしかいないと管理人は思う。思春期の子供たちにとって、「悪党である自分はこうあるべき」と言い放つオットーの存在は救いであり、道しるべとなっているだろう。

乙葉が丸児や泥路木、倉辺の問題を解決して和解できたのも、多華との友情を再生しようと奮闘する原動力も全てはオットーとの出会いに始まる。同時にそんな乙葉たちを「救えない悪餓鬼」と称しながらも、何処か誇らしげに協力するオットー・オクタビアス

オットーがスーペリア・スパイダーマンと呼ばれる所以が垣間見える良作、今後も追い続けていきたい(タイアップ関係なしに続いて欲しいな~)。