[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GHOST RIDER:DANNY KETCH(2008)#5

自らの意思の元に究極のライダーへと覚醒したダニー・ケッチ。

しかし、それこそがヒトの思いを意のままに操ろうと画策する天使の罠だった…。

 

 

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[あらすじ】

「神」へ異議を唱えるミスター・イレブンが語った己の目的。毒のために制御不可能となった“復讐の精霊”の呪いに苦しむ「同胞」たちを、命を奪うことでしか救うことができない現実。背負いきれない程の重荷を抱えた時、ダニーは己に備わるゴーストライダーの「力」を極限まで引き出し、遂に天使が求めた最強の兵器へと姿を変える。

究極のライダーへと目覚めたダニーの力は“復讐の精霊”の紛い物でしかないヴァ―ミナス・レックスを圧倒。しかし、この有り様にミスター・イレブンは1人背を向けてしまう。

全てがザドキエルの描いた筋書き通りに事が運んだことを、天使は呪うしかできなかった…。

一瞬の油断か、ミスター・イレブンが依り代としていたカラスは悪魔の手で首を落とされる。相棒の死がダニーの怒りの炎をさらに激しく燃え上がらせる…。

[マリオネット・メサイア]

ダニー・ケッチ、ブルックリンに住む優しくも気弱な青年。悪党の手で倒れた姉を救うために、街中に蔓延る悪に復讐するためにゴーストライダーへと変身した彼はライダーの「力」の虜になりながらも、自身の優しさから時に苦悩する時もあった。自分が得た「力」が何のためにあるのか、本当にゴーストライダーの「力」で皆を救えるのか。血を流し、倒れながらも復讐のロードを駆け抜けていったダニーは常にこの悩みに苦しんでいった。罪なき者たちを守ることを願いながらも、ダニーが戦えば戦う程に犠牲が出る。そして遂には自分と同じ呪いを受けた者までも手にかけてしまった。彼らが死に際に流した涙がダニーを追い詰めてしまうのは当然だった。

死闘の末に仇敵を打ち倒したダニー。ヴァ―ミナス・レックスは己の持つ“復讐の呪い”をダニーに明け渡すが、甘さを捨てきれないダニーはそれを拒否しようとする。卑しい悪魔はダニーの優しさを嘲笑うが…。いい加減、黙って、死にやがれ!

 

ダニーは兄と同じく“復讐の精霊”の呪いを宿したノーブル・ケイルの子孫。彼らの血に刻まれた呪いは、感情の高ぶりによってその力を増幅する。怒り、悲しみ、そして復讐心。それら負の感情が極限まで高まった時に呪いの真価が発揮される。魂に宿った炎を熱く燃やし、眼前の敵を打ち倒す最強の戦士。今のダニーこそが有史以来、「神」が求めた駒に相応しい。

ライダーの力を目覚めさせるには、やはり大切な者を失った時なのだ。

戦って、戦って、戦い続けて。その果てに待ち受けるのは宿した復讐の炎に焼かれる自分自身。「力」を制御することが出来ないダニーはマリーに助けを求めるが、マリーは既に帰らぬ人となっていた。激昂するダニーの叫びは、復讐の炎をより激しく燃やす。

 

マリーの命を奪った犯人はレイヴンの首を落としたヴァ―ミナス・レックスの配下、正確に言えば彼の肉体を乗っ取ったミスター・イレブン本人だ。かの天使は死に際に他者へと自分の意識と記憶を移す能力を持つ。彼はこの能力を使い、ダニーの元を離れて「神」の計画の障害となり得るマリーを襲ったのだ。天使は彼女の命を奪うことを良しとはしなかった。優しいがために背負い込むダニーには、支えてくれる女が必要。ダニーの動向を傍で観察してきたミスター・イレブンはそう考えていたが、遅かれ早かれマリーは「神」の使者に殺され、地獄に落とされるだろう。ならば自分の手を血で染めてでも、マリーだけは救ってみせる。

天使であり同時に悪魔の姿を持つミスター・イレブンは「神」の手で弄ばれる者たちを救おうと足掻いてきた。こんな形でしか救うことが出来なかったことを悔やむミスター・イレブンを、当のマリーは責めはしなかったが。

しかし、「神」はミスター・イレブンの独断専行を見逃したりはしない。彼の行動は常に「神」の監視下にあるのだ。故にマリーに警告を告げ、天使の手にかかるのも計画通りなのだ。「神」、ザドキエルの狙いはダニー・ケッチを懐柔することのみ。彼にとってミスター・イレブンもマリーも、ヴァ―ミナス・レックスも己の野心を果たすための捨て石に過ぎないのだ。

暴走する呪いに苦しむダニーに降り立つザドキエル。ダニーは「神」が語る救済に賛同し、彼の「祝福」を受け入れてしまう。外界にいるミスター・イレブンとマリーには、ダニーを止めることはできなかった…。

 

ジョニー・ブレイズの敵となり、彼の前に現れたダニー・ケッチ。彼は実の兄と敵対してでも“復讐の精霊”の呪いを持つ者たちに「救い」を齎してきたが、その背景は当時の管理人の想像を絶するものだった。彼の持つ優しさという甘さは健在ながらも、その優しさが最悪の形で利用されてしまったのだから。

逃げることも出来ず、天使の傀儡となることでしか復讐を果たすことが出来ない。今シリーズはそんなダニー・ケッチの人柄と在り方を再認識させるのにピッタリだと言える。

「祝福」を受け入れたダニー・ケッチが宿す炎は地獄の赤き炎から、天界の蒼き炎へ。彼が往く復讐のロードの果てに待ち受けるのは、挫折と後悔、そして新たな復讐のロードへの分岐点だ。

アメコミ:REVENGE OF THE COSMIC GHOST RIDER(2019)#4

コズミック・ゴーストライダーが王を下したその頃、ブラックホールの向こうに消えたキャミは過去の世界へと飛ばされていた!

フランクの元へ戻ろうとするキャミだが、彼女に最大の危機が迫る!

 

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[あらすじ]

コズミック・ゴーストライダーとコズミック・キング、コズミック・パワーを操る2人の超人たちの戦いはコズミック・ゴーストライダーの勝利に終わった。キングたる自分をも圧倒したライダーに膝を付いた男は、ライダーの元に着くのと同時に地獄王から奪ったフランク・キャッスルの魂を献上すると言う。

これで少なくとも“復讐の精霊”の呪いからは解放される、一瞬の迷いもなく魂を手に取ったライダーの体はみるみるうちに崩れ、元のフランク・キャッスルへと戻っていく。しかし、これはコズミック・キングの罠だ。ライダーの力を失ったフランク・キャッスルなど恐れるに足らず。ほくそ笑むキングだが…。

その頃、ブラックホールに吸い込まれたキャミはというと時空を超えて過去の宇宙へと飛ばされていた。キャミが目にしたのは幼い子供たちとその親。わんぱくな子供たちの親は若き日のコズミック・キングだった。

[もう一度やり直せたら]

星1つを吹き飛ばし、多くの罪のない者たちを巻き添えにした熾烈な戦いを繰り広げたコズミック・ゴーストライダーとコズミック・キング。お前の望みには何の価値もないと、ライダーの戦いを嘲笑うキングもフランクの怒りの猛攻のために敗れることに。罪が永遠に消えないことなど当の昔から承知の上。それでもと血塗られたロードを奔ることが、フランク・キャッスルができる唯一の罪滅ぼしなのだから。

しかし、何故コズミック・キングはこうまでライダーを目の敵にしていたのか。自分のビジネスの邪魔をされたからという理由もあるだろうが、それと同時にキングもまたライダーと似た経験を重ねてきたのが最たる原因ではないだろうか。キングと呼ばれる彼にも護るべき者たちがいた。“マッドタイタン”サノスの後釜に座り、宇宙の覇権を握る野心を抱く巨悪であるコズミック・キング。しかし、裏では幼い子供たちを男手1つで育てる一面も持っていた。子供たちに危機が迫れば銃を以て単身で駆け付ける。その様はどこかフランク・キャッスルのそれと似ていると思う。

過去に飛ばされたことを察したキャミはコズミック・キングの子供たちと親交を深めながらも、元の時間軸に戻る前にキングの腹の内を探ろうとする。何か1つでも情報を持って帰ればフランクの助けになるかもしれない、と。だが、そこに宇宙を流離う「怪物」が襲い掛かってきた。この怪物は何年も前から生物のエネルギーを奪い、成長を重ねてきたのだ。

怪物の猛攻から子供たちを守ろうとするキャミだが、貪欲な化け物の攻撃を搔い潜ることは出来ず、触手に捕らわれてしまう。その時キャミの目に映るのは怪物が取り込んだ者たちが見せる未来だった。コズミック・キングはこの怪物に喰われ、彼の護るべきものも全て怪物の腹に収まる。だが、野心に燃えるキングは死してもなおこの怪物を内から支配し、宇宙に存在するあらゆる生命を喰らう。エネルギーを吸い取り、力を増していく怪物を止める手段はない。それはかの“宇宙魔人”ギャラクタスやフィン・ファン・フーム、そしてコズミック・ゴーストライダーでも不可能。ライダーはシーア帝国の監獄にて、この怪物に負けているのだから。

怪物がコズミック・ゴーストライダーを狙ったのは偶然ではない。コズミック・キングに支配された怪物は、ライダーが持つコズミック・パワーの力を狙っている。故にメフィストからフランク・キャッスルの魂を奪い、持ち主に魂を返却した。“復讐の精霊”の

呪いを失ったフランクを喰らい、強大なパワーを手に入れる。

そうと分かればもうこの時間軸に用はない。何としてでもフランクを止めなければ。単身宇宙に飛び出したキャミは「実の子供たちをも喰らったコズミック・キング」の追跡を振り切り、再びブラックホールに吸い込まれる。もう遅いことに気付かないまま…。

そして現在。数世紀ぶりの「自由」を得たフランクには笑みが浮かぶ。体を蝕む悪魔の呪いが消えたとあればさぞ気分爽快だろう。背後で邪悪な笑みを浮かべる矮小な王をぶっ殺せば、もっと気分も晴れる筈だ。

フランクにはコズミック・キングの考えなどお見通しだ。彼のような男が誰かに膝を付き、許しを請うなどあり得ない。そんな奴らをフランクは大昔から何度も見てきた。そして例外なく必ず生かしては帰さなかった。一度見逃せば、性懲りもなく悪さをするのは目に見えているからだ。何よりもこんなクズが生きていることをフランクが許せる筈もない。フランク・キャッスルはコズミック・ゴーストライダーであるのと同時に、最強の私刑執行人パニッシャーなのだから。

結局キャミの頑張りも虚しく無駄に終わってしまった。元の時間軸に何とか帰還できたキャミだったが、全て終わった後だったのだ。彼女が見た未来はあくまでも可能性の1つでしかなかったということか。それでもキャミの表情は明るい。フランクが生きていたことを純粋に嬉しかったから。そしてフランクも同様にキャミが帰ってきたことを喜んでいた。パニッシャーのシンボルマークを指差し、不敵に笑い合う2人はやはり似た者同士だ。

しかし、このまま綺麗な終わり方は許されない。コズミック・キングの独断で契約を破られた地獄王がフランクの元に現れたのだから。

コズミック・キングは執着していたコズミック・パワーで消し炭となった。何とも無様な最期だ。しかし、今度の相手はコズミック・キングのように甘くはない。メフィストは契約の不履行の罰として新たに魂を要求する。純粋な魂は地獄王の渇きを潤してくれるだろう。

アメコミ:GHOST RIDER:DANNY KETCH(2008)#4

「同胞」が受けた痛みに対して報いを与えるべくヴァ―ミナス・レックスを追うダニー。

そんな彼を導くミスター・イレヴンに心境の変化が見え始め…?

 

 

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[あらすじ]

天使が見せたゴーストライダー誕生の秘密。何千年も前から続いてきた“復讐の精霊”の呪いに秘められたそれは、ダニーが想像もしていなかった戦いの歴史そのものだった。同時にそんな呪いを受けたことで、望む望まないを問わず暗闇を歩むことを強要された者たちや悲惨な最期を遂げた者たちをダニーは知ってしまった。彼らの中にはダニーが倒した悪魔ヴァ―ミナス・レックスの手で命を落とした者たちもいたのだ。

あの卑しいネズミの野望のために「同胞」が犠牲となっている。毒のために呪いを制御できず苦しむ「同胞」を介錯した時、ダニーの中の何かが変わった。心に再び宿した復讐の炎は赤く燃え上がり、仇敵の居所を突き止めるべく活動を開始するが…。

日が沈み、闇夜に包まれたブルックリンでダニーは毎晩のように地下へと足を運んでいた。「奴は何処だ!何処にいる!?」化け物たち相手に殺戮を繰り返すダニーだが、ヴァ―ミナス・レックスの居所を掴めずにいた。相棒に叱咤されながらも成果を出せず、意気消沈するダニー。そんな彼をマリーが物陰から様子を見ていた。

[天よりの祝福、呪いの真価]

ジョニー・ブレイズやケアテイカーたちを別れ、1人故郷のブルックリンへと帰ってきたダニー・ケッチ。“復讐の精霊”の呪いを捨てて平穏な生活に戻った男はゴーストライダーとして戦った毎日を忘れることが出来ず、自暴自棄も同然な醜態を晒し続けてきた。絶望に沈むダニーに救いの手を差し伸べたのは自らをレイヴンと名乗る天使ミスター・イレブン。彼は「神」の望みを叶えるべくダニーに接触した。「神」の望み、それは最強のライダーを創り上げること。数多の“復讐の精霊”の呪いを一身に宿した究極の力を持つ兵器こそがゴーストライダーの正体なのだ。

しかし、ミスター・イレブンは「神」の主張に疑問を抱いていた。“復讐の精霊”は本当に「そんなこと」のために存在するものなのか。復讐の意義とは「神」が机上で考えているような浅いものではない。そう考えたからこそ彼は単身下界に降り立ち、多くのヒトと交流を重ね、ジョニー・ブレイズをはじめとした悪魔憑きとも接触してきた。その中でヒトの脆弱さと醜さを知り、それ故に復讐の意義を学んできた。彼らは弱いからこそ群れ、大切な者を奪われた時に天使や悪魔をも凌駕しかねない凄まじい力を発揮する。

その事実を知っているミスター・イレブンは「神」の意志を半ば無視する形で、ダニーに試練を与える。ダニーの持つ「優しさ」が最強のライダーとなり得る鍵であることはかの天使も理解していたが、同時にその「優しさ」を奪いたくないとも思うようになっていたのだ。

落ち込むダニーを一方的に突き放し、休むよう宣告したミスター・イレブン。しかし、事態は天使の「優しさ」が介入する暇を与えない程に切迫していた。「神」からの警告を受けていたマリーは天界、延いては天使を信用するなとダニーを説得しようとするものの当の天使にそれを妨害されてしまう。

 

マリーと朝食を取っていたダニーを呼びつけたミスター・イレブンは、ダニーを彼の住むアパートへと連れていく。そこで2人が目にしたのは炎に燃える自室とその中心で苦悶の表情を浮かべるショバ・ミルザだった。ヴァ―ミナス・レックスの一派に「毒」を受けて以降、行方不明となっていた彼女は自力で悪魔たちの巣窟から逃げ出していたのだ。毒のために最早立ち上がることも出来ない程に疲弊していたミルザは、自力で変身を解くことも体の奥から湧き出てくるヘルファイアを抑えることも出来なくなっていた。このままでは彼女は永遠に苦しむことになるだろう。

助ける方法はたった1つだけだ。

勝ち気なミルザが涙を流してダニーに助けを求める。終わらせてくれ。絶叫を上げながら“復讐の精霊”の呪いと共に彼女を苦痛から解放したダニーにかけた最期の言葉。それがダニーの心に深い傷を残すことになる。

またしても「同胞」の最期を見届けたダニーは遂にミスター・イレブンに食ってかかる。こんなことを繰り返して一体何になるというのか、と。散っていった歴代たちの命をなんだと思っているんだと怒りを露わにするダニーは、ミスター・イレブンよりマリーの言うことが正しいのではないかと逡巡する。だが、天使はダニーに「神」ではなく「自ら」の計画を話す。来たる天界での戦いにて最大の戦力となり得るライダーを味方につけ、彼と共に犠牲となっていった者たちの魂を救いだす。天界に蔓延る「悪」を根絶やしにした時こそ、それが果たせるのだ、と。

優しい心を持つダニーは、その優しさのために人一倍感受性が強い。故に大切な者を奪った者への報復に躊躇いがない。どんな手段を使ってでも「悪」を滅ぼそうと躍起になる彼の姿に、かの天使は危機感を抱いていた。ミスター・イレブンが見込んだ通り、ダニーは実の兄に負けず劣らずの素質を持っている。“復讐の精霊”の力を引き出す素養もある。だが、だからこそ彼の優しさが彼自身の破滅を招いてしまうのではないかと感じていたのだ。優しいからこそ、報復するための「力」がもっと欲しい、そのためなら自分がどうなっても構わない、と。

そして、天使が危惧した通りダニーは「力」を求めた。ミルザを苦しめたヴァ―ミナス・レックスを必ず抹殺するための絶対的な力を。力への渇望か、仇敵への憎悪が示したのか、ヴァ―ミナス・レックスの居所を突き止めたダニー。対するヴァ―ミナス・レックスも懐かしき宿敵から“復讐の精霊”の呪いを奪うために襲いかかる。

 

ヴァ―ミナス・レックスはダニーが初めて戦った時より巨大な姿へと変貌していた。その体格はライダーの一撃をものともしない防御力を、片手でライダーを殴り飛ばす程の破壊力を秘めていた。このままでは勝てない。そう考えたダニーは戦闘中に関わらず、変身を解除してしまう。中途半端な「力」はいらない、完全な状態の「力」を寄越せ。かつてブルックリンの夜を駆け抜けたゴーストライダーとしての「力」を寄越せ。鬼気迫るダニーに狼狽するミスター・イレブンだが、もうこうなってはこの青年を止めることは出来ない。観念した天使はダニーに「祝福」を与える。強大なパワーを得て歓喜に震えるダニーに隠れ、天使は1人謝罪の言葉を贈るのだった…。

“復讐の精霊”の呪いの力を極限まで増幅させ、パワーアップしたダニー。その姿は地獄の底からやってきた騎士の如く。究極のライダーへと姿を変えたダニーの姿にミスター・イレブンは背を向けてしまうが…。

次号「ゴーストライダー:ダニー・ケッチ」完結!ダニー・ケッチとヴァ―ミナス・レックスの決着、そして「神」の正体が暴かれる!

アメコミ:GUARDIANS OF THE GALAXY(2020)#5

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvsウェスト・スパイラル・アーム・ガーディアンズ

火花を散らす両チームだが、決着は思わぬ形でつくことになった!

 

 

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[あらすじ]

ロケットに恨みがあるカスター・グノーバーグ3世を利用し、遂にロケットの居場所を突き止めたガモーラたち。しかし、当のロケットはマーベルボーイたちと共にガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとしてグノーバーグ3世の野望を阻止しようと動き出していた。

2つのガーディアンズの実力は拮抗し、中々決着が付かない。だが、そんなバランスを崩すかのように動けないノヴァを守るために船に残っていたムーンドラゴンを襲撃する影が現れる。赤きオーラを纏う黒い龍、ドラゴン・オブ・ムーン。かの邪龍はヘザーと同じ「ムーンドラゴン」と共に、そしてガモーラたちの味方としてヘザーに襲いかかったのだ。

ガモーラたちと行動を共にしていたムーンドラゴンの正体は、アース616のヘザー・ダグラス。何もかも失った自分とは違って全てを持つ「平行世界」の自分に嫉妬の感情を持つ彼女は、ムーンドラゴンに復讐を企む邪龍と組んででも「力」を欲した。そうして戻るものが何もないことを分かっていながらも、止めることができなかったのだ。

[I'm in your head]

ロケットを連れ戻すために自分たちのガーディアンズを結成したガモーラたち。彼女たちはロケットたちの行動を先読みし、「Dタイプ・コンバーター」に網を張っていた。ガモーラは事前にグノーバーグ3世からロケットの暗殺と施設の護衛を依頼されていた。目論見通り、かの施設に現れたマーベルボーイをドラックスとプリンス・オブ・パワーの怪力コンビで迎え撃ち、マーベルボーイが“大英雄”ハーキュリーズと入れ替われば機動力で勝るガモーラが抑える。肝心のロケットはオヘアに任せ、そして現状のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーで最も強いムーンドラゴンには同じ能力も持つムーンドラゴンをぶつける。暗殺だけでなく知略にも長けたガモーラらしい、見事な戦略といえる。

だが、ちょっと待って欲しい。どうしてムーンドラゴンが2人もいるのかと疑問に思う読者も多いだろう。管理人も初読時は混乱したが答えは至極簡単。ガモーラたちの味方となっているムーンドラゴンはアース616のヘザー・ダグラス、そしてロケットたちの味方をしているムーンドラゴンは平行世界であるアース18897出身のヘザー・ダグラスなのだ。

アース18897は「インフィニティ・ウォーズ」にてレクイエムの手で滅ぼされた世界。その世界で宇宙を護っていたムーンドラゴンとフィラ・ベルの2人は、レクイエムの暴挙を食い止めるためにアース616へと転移してきたが、レクイエムへの復讐を果たすことは叶わなかった。そうして居場所を求めた彼女たちは、流浪の旅の果てにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに加入。サノスの復活を阻止し、ユニバーサル・チャーチ・オブ・トゥルースの野望を挫くために奔走してきた。ケイツ期の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」誌で登場したムーンドラゴンたちは平行世界の同一人物だったのだ。

2つの宇宙の危機に姿を現さなかったアース616のムーンドラゴンは、平行世界の自分に激しい怒りと憎悪の念をぶつける。その最たる理由がフィラ・ベルの存在だ。アース616のフィラ・ベルはもうこの世にはいないのに、平行世界のフィラ・ベルは元気に生きている。愛する女と全く同じ名前と姿をした女は自分を見てはくれない。その事実がアース616のムーンドラゴンの感情を逆なで、嫉妬の感情を爆発させたのだ。自分には「力」がなかったがためにフィラ・ベルを死なせてしまった。だから敵対関係にある邪龍と手を組んででも「力」を手に入れ、平行世界の自分を消そうとしたのだ。

今度こそ恋人を守るために、その想い自体は間違っていないと管理人も思うがそのやり方が正しいものだとは思えない。

邪龍の力を借りて憎き恋敵を始末したムーンドラゴン。しかし、相手もまたムーンドラゴン。彼女ができることは同じ自分にもできる。ただし、平行世界のムーンドラゴンは相手を殺そうとはしない。苦しむ自分を救えるのは、自分しかいないのだ。

ロケットたちそっちのけで始まったムーンドラゴン同士、女同士のガチンコバトルだが、この戦いは本シリーズにおいて必要なものだと思う。片や愛する者を奪われ、そしてもう一方は護るべき世界を失った2人のヘザー・ダグラス。アル・ユーイングが描くガーディアンズ誌では「道半ばで挫けても、己を見つめ直して立ち上がろうと奮闘する」者たちが多く登場する。その中にはヘザー・ダグラスたちも含まれている。

「闇」に囚われてしまったもう1人の自分を救うために、ムーンドラゴンは…。

 

ムーンドラゴンたちの戦いに決着がついたその頃、2つガーディアンズの戦いにも終わりが見え始めていた。ガモーラはハーキュリーズと事を構えるつもりはなく、ハーキュリーズもまた同様。2つのガーディアンズの共通する目的はグノーバーグ3世の事業の要たる「Dタイプ・コンバーター」の無力化なのだから。ガモーラたち「ウェスト・スパイラル・アーム・ガーディアンズ」は最初からグノーバーグ3世を裏切る算段だったのだ。途中、空気を読まないプリンス・オブ・パワーがハーキュリーズに喧嘩を吹っかけて施設の動力炉が爆発してしまうアクシデントはあったものの、マーベルボーイの機転のお陰で事なきを得るのだった。

最初から施設を破壊する気だったマーベルボーイは、単身グノーバーグ3世が指示を出していた衛星に潜入。小太りなビーバーが癇癪を起している隙をついて「ネガ・ガントレット」を付けてあげる。それと同時にハーキュリーズもガモーラたちと共にガントレットを起動。互いの場所を入れ替える装置はハーキュリーズたちを安全な場所へ移動させ、グノーバーグ3世は爆発間近の施設へ飛ばされる。自分が守りたかった施設と共に吹き飛びな。

こうして無事にロケットを確保し、序に悪党も倒すことに成功したガモーラたち。ロケットの首を狙っていたオヘアも背後に迫っていたグルートに気付かず拘束された。半ばギャグじみた作戦で解決してしまったが、これもガーディアンズらしいと思う(飲んでばっかなロケットはもう帰れよ)。

合流した2つのガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。彼らが往く場所は常に混乱と騒動で満ちているのだ。

 

事態が収束したことをムーンドラゴンにテレパスで伝えるフィラ・ベル。飲んだくれの護衛で身動きが取れなかった彼女にとって、恋人の声が聴けるのは至福の瞬間だっただろう。それは2人の精神が合わさったムーンドラゴンも同じだったようだ。

アメコミ:GHOST RIDER:FINAL VENGEANCE(2024)#1

新たなる“復讐の精霊”の宿主の誕生。それは「最後の復讐劇」の幕開けを意味していた!

 

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[あらすじ]

サウスダコタ州、ブラックヒルズ。街頭もない薄暗い山の中を、愛車のバイクで駆ける男の姿があった。ジョニー・ブレイズ。地獄王メフィストの策略により、古代の悪魔である“復讐の精霊”をその身に宿した男はとある噂を聞きつけて遥々ここまでやってきた。精霊への信仰が篤いこの山々を通るトンネルの1つで何人もの人間たちが行方不明になっているというのだ。

ジョニーと“復讐の精霊”はこの地からかの地獄王の気配を感じ取っていた。暗黒に包まれたトンネルの中を臆することなく進むジョニー。しかし、相棒の“復讐の精霊”はジョニーに対して不満を抱いていたことにジョニー当人は気付いていなかった。

“復讐の精霊”ザラソス、彼が真に己の使命を果たすことができる場所はここではないのかもしれない。一度抱いた疑念は「闇」の奥底に潜んでいる罠を絡め取り、地獄の炎は宿主を離れてしってしまう。

トンネルの奥では巨大な蜘蛛が幾重にも糸を張って待ち構えていた。この蜘蛛はメフィストが遣わした使者なのか。地獄王の力で体から“復讐の精霊”を強制排除されたジョニーは、たった独りでこの化け物と対峙することを強いられてしまうが…。

[ZARATHOS]

遂に幕を上げた「ゴーストライダー:ファイナル・ヴェンジェンス」。管理人最推しヒーローの1人であるゴーストライダー、本シリーズはそんな彼がマーベルユニバースに登場してから50周年を記念したアニバーサリーシリーズの続編だ。ライターは引き続きベンジャミン・パーシーが担当することもあり、氏が得意とするおどろおどろしくも、バイオレンスで燃える展開が描かれることを期待されていたことだろう。勿論本シリーズもそんな期待に応えるかの如く、前作にも負けないパワフルな作風となっている。

そんな記念すべき第1号の主役はジョニー・ブレイズではなく、なんと彼に憑依する“復讐の精霊”ザラソス。思えばここまで連綿と続いてきたゴーストライダー誌の中でザラソスの視点から物語を描くストーリーは殆どなかったと思う。少なくとも、かの悪魔が主役として描かれたことは非常に珍しいことだ。「ファイナル」の名に相応しい王道かつ意外性のある出だしだと言えるだろう。そんなザラソスだが長年の相棒だったジョニーの元を離れて「戦うに値する場所」を求め、火の玉となって世界中を飛び回る。正直いきなりの展開で管理人に衝撃が走ったものだが、元々ザラソスはジョニーを意のままに操ってでも己の使命を果たそうとする困った一面を持つ悪魔である。そう考えれば、メフィストの助けがあればジョニー・ブレイズという「器」に拘る必要もないのかもしれない。

タリア・ウォーロードとの別れを機にジョニーは“復讐の精霊”の力を積極的に利用するようになっていたようだが、その行動はザラソスには解釈違いだったようだ(本当面倒くさいなコイツ)。ジョニーも結局、メフィストと変わらない。ただ己の力を利用しているだけにしかザラソスの魔眼には映らなかったのだ。

何者の指図も受けず確固たる己の意志の元に、自由に「力」を振るえる場所を求めて世界中を駆けるザラソス。手当たり次第に様々な生物に憑依するものの、満足がいくものではなかったようだ。「我が関取やポールダンサー、ないな。耕運機やジェット機はヘルマシンとして使うには面白そうだが」

 

善も悪もなく、ただひたすらに生きとし生ける者の怒りと恐怖と不安、そして復讐心を求めるザラソス。その負の感情が強ければ強い程ザラソスにとって最高の狩りの場所となる。古代の悪魔はメフィストのように魂を選別することも、ザドキエルように魂を弄ぶこともしない。それらはザラソスからすれば無意味で無価値なものだから。復讐心は誰もが持つ原初の感情。その感情の起源はヒトによって様々だ。義憤や殺意、はたまた守護のため。ザラソスはそんな者たちの感情を大事にしていた。彼らの魂が抑えきれない程のどす黒い感情に染まった時こそが、ザラソスが「戦うに値する場所」なのだ。

養母に夫を奪われ、今度は娘たちを渡すよう迫られて悲痛な叫びを上げる女。己の意志を奪われ、ただの道具として扱われることを拒んだことで居場所を奪われたアンドロイド。はたまた同族と敵対してでも、心を通わせた者を守ろうとする宇宙生物。ザラソスはあらゆる者たちの復讐心を肯定する。その復讐心が正しいものかどうかは、“復讐の精霊”たるザラソスが決めること。ヒトの思惑など邪魔なだけだ。

 

地球だけでなくアスガルドや電子ネットワーク、果ては宇宙にまで飛び出して使命を果たそうと次の宿主を探して回るザラソス。彼のために多くの者が犠牲となったが、同時に守られた命もある。フロストジャイアントやデンジャー、ブルートといったヴィランにも手を貸すのが如何にも悪魔らしい。しかし、たった1人、孤独に飛び回るザラソスはどこか儚い印象を受ける。喉から手が出る程欲した自由を手に入れた筈なのに、次から次へと「戦うに値する場所」を求めて転々とするのは、心のどこかで虚無感を感じていたからに思える。かつてザラソスはロクサーヌから「貴方にはジョニーが必要」と言われたことがある。ザラソスも当初はそれを否定したものの、やはりザラソスがいるべき「場所」は最初から決まっているのかもしれない。

とはいえ、そうは問屋が卸さない。ザラソスを求める者はまだ世界中にいるからだ。そのうちの1人の感情にザラソスは宿主に値すると結論付けるが…。

“復讐の精霊”の新たな宿主として選ばれたのは、ジョニーとエルサたちに敗れて以降姿を消していたザ・フッドことパーカー・ロビンス。彼が求める復讐のターゲットはいったい誰なのか?そしてジョニーはどうなってしまったのか?

激動の幕開けとなった「ゴーストライダー:ファイナル・ヴェンジェンス」!次号を待て!

アメコミ:AMAZING SPIDER-MAN(2015)#6

ミスター・ネガティブ登場!

復讐に燃え、上海を暗黒に染め上げようと企む男をスパイダーマンは止められるか!?

 

 

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[あらすじ]

3週間前、太平洋を回航する一隻の船ストロングホールド1号の姿があった。その船は刑務所に収容された悪党を連行するために運用されていた。ただし、悪党は悪党でも超が付く程の危険人物なのが問題。鎖に繋がれ、厳重な警備に囲まれた悪党は己が何故ここにいるのか理解できず、力なく項垂れながら解放するよう要求しているが警備員は耳を貸さない。

囚われた男の名はマーテイン・リー。またの名をミスター・ネガティブ。光と闇を操る能力を持つ恐ろしき二重人格者。そんな男を牢から解放するべく、彼の配下たちがストロングホールド1号に襲撃をかける。

自分たちのリーダーを取り戻すべく姿を現したのは、クロークとダガー、そしてインナーデーモンズ。ヒーローとして活動していたクロークとダガーはミスター・ネガティブに洗脳されてヴィランと化していたのだった…。

[Dark Kingdom ]

テロ組織ゾディアックとの決戦を制し、束の間の安息を得たスパイダーマンことピーター・パーカー。まだまだ自社の発展とフラグシップたるウェブ・ウェアの改良と忙しい毎日を過ごしてはいるが、ヴィランとの戦いが無いだけでだいぶ気は楽というもの。マシンの整備に汗を流しながら、リーエンの差し入れに舌鼓をうつピーター。これまで眉間にしわを寄せながら戦ってばかりだったのだから、これくらいの贅沢を取ってもいいだろう。

しかし、ヒーローが安寧を享受する間にもヴィランは暗躍を重ねるもの。そしてスパイダーマンの敵はゾディアックやグリーンゴブリンだけではなく、こうしている間にも悪党はスパイダーマンを倒すための準備をすすめているのだ。冒頭から登場したミスター・ネガティブもその1人。チャイナタウンを牛耳るギャンググループ「デーモン」のリーダーとしてスパイダーマンをはじめ多くのクライムファイターと何度も死闘を繰り返してきたミスター・ネガティブだったが、戦いに敗れて刑務所に送られた。非道な人体実験の末に身につけた有機物・無機物を問わず万物に宿る「闇」エネルギーを操る男の存在は、まさに脅威と言える。

そんな男に忠誠を誓うインナーデーモンズと彼に洗脳されて忠実な私兵と化していたクローク&ダガーの手で、マーティンは解放されてしまった。突然現れた悪党たちに怯え、事態を呑み込めず狼狽えるマーティンも瞬時にミスター・ネガティブに人格を乗っ取られてしまう。再び外界に解放された男は、己の復讐を果たすために行動を起こす。

マーティン・リーとミスター・ネガティブはお互いの存在を認識していても記憶を共有していない別人格。善の人格たるマーティンからすればやられ役に過ぎないインナーデーモンズも恐ろしい存在だ。邪魔な表人格を押しのけて姿を現したミスター・ネガティブは配下たちを連れて一路上海を目指す。太極図が描かれた危険な「贈り物」を手土産にして…。

 

パーカー・インダストリーズはピーターの主導の元、上海にて地球環境の改善に取り組む事業に取り掛かっていた。だが、そこでも相も変わらず悪党たちがパーカー・インダストリーズの技術を奪おうと目を光らせている。ゾディアックの構成員だけでなくインナーデーモンズまで現れたという情報を耳にしたピーターにも緊張が走るが、今のピーターにできるのはミスター・ネガティブへの対抗手段を講じることぐらい。焦っても仕様がない。パーカー・インダストリーズが所有する工場で発生した爆破騒ぎを解決して犯人を捕らえたピーターは、犯人の首元に太極図が描かれたデバイスが取り付けられていることを見逃さない。

平穏から一転、ピーターの周囲は再び剣吞な空気に包まれることになった。

パーカー・インダストリーズの技術者に「デーモン」が開発した薬物シェイドの解析と反作用薬の開発を依頼したピーター。シェイドこそが先述したミスター・ネガティブが上海に持ち込んだ贈り物だ。これを服用した者の精神はミスター・ネガティブの意のままに操られてしまう。シェイドに描かれた太極図は「万物の陰と陽のバランス」を現してたものだが、ミスター・ネガティブの能力を鑑みればピッタリなシンボルだと言える。

奴の脅威がすぐそこまで迫っている。鼻歌交じりながらも確かな危機感を抱くピーターだったが、そこにかつての戦友たちの襲撃を受ける。ピーターはクローク&ダガーがミスター・ネガティブに操られていることを知らない。

いつもの軽いノリでいなそうとするピーターにスパイダー・センスが警鐘を鳴らすが…。

 

アメコミ:GHOST RIDER:DANNY KETCH(2008)#3

ミスター・イレブンの導きにより自分たち以外のライダーの存在を知ったダニー。

彼らが抱える痛みを知った時、ダニーに出来ることは…。

 

 

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[あらすじ]

レイヴンことミスター・イレブンの導きにより、雨が降りしきる夜のブルックリンを駆けるダニー。そこで2人が目にしたのはネズミのような怪物たち相手にゴーストライダーとして孤軍奮闘するショバ・ミルザの姿だった。自分とジョニーやマイケル以外のライダーを初めて目にしたダニーは、数の差から劣勢となっていたミルザを放ってはおけず加勢に出る。

5分間だけの短い時間だが、再び与えられた「祝福」を振るって怪物たちを襲うダニー。目に映る異形を残らず駆逐したことで笑顔を見せるダニーだが、そこにミルザの姿はなく…。

2人目のゴーストライダーの参戦に驚きを隠せない怪物たちだが、彼らは別に“復讐の精霊”を倒したい訳ではない。ただ「毒」を与え、弱らせ、主人の餌になってもらうだけ。ミルザは怪物たちのリーダー各の一撃を受けてしまい…。

[ADDICT]

謎のカラスやショバ・ミルザとの出会いを機に、一度は降りた筈の復讐のロードを再び奔ることになったダニー・ケッチ。絶望に沈み、焦燥に駆られていた情けないダニーはもういない。今のダニーには「力」がある。この力を以てすれば罪なき人々を傷付ける悪鬼羅刹をぶちのめすことができる。そして、運命的な出会いを果たしたミルザもまた自分と同じ“復讐の精霊”の呪いを受けた者だったという事実が、ダニーのボロボロのメンタルを癒すことになった。辛い思いをしてきたのは自分だけではないという「思い込み」があるからこそ、ダニーは心から安堵し、笑みが浮かんでいたのだろう。

悪夢のような日々に差し込んだ幸福の「炎」。ダニーにとってはまさに救いの光だったことだろう。しかし、その救いは5分間だけという一時的なのものに過ぎない。夜が明ける前に変身は解けてしまい、ミルザは姿を消してしまっていた。まるで夢を見ていたのではないか、と錯覚させる程の静けさに包まれるダニーにミスター・イレブンは「よくやった」と称えるのだった。

ダニーは“復讐の精霊”の力を扱う資格を持つと考えたミスター・イレブンは、翌日の早朝からダニーの元へ現れて“復讐の精霊”が誕生した真実を語る。

太古の時代、灼熱の如く燃え上がるような赤々とした空より降り注いだ無数の火球。「神」の御心のままに与えられた「祝福」は火球を浴びた者たち全てに分け隔てなく与えられた。その「祝福」はヒトの心のうち、1つの感情を激しく刺激するものだった。それこそが復讐の心。魂を燃やすような復讐の炎はやがて激しい怒りと憎悪を呼び寄せ、「神」が求めた最強の兵器へと姿を変えさせる。兵器の名はゴーストライダー。「神」も悪魔と同様に“復讐の精霊”の力を求め、ヒトを利用したのだ。

無数に生み出されたライダーたちは、それぞれの復讐を果たすために敵味方と分かれて殺し合った。脱落した者は資格なしの烙印を押されて地獄に堕ち、生き残った者は永遠に復讐のロードを奔ることを強要される。そして、宿主を失った“復讐の精霊”は再び体を得るために新たな宿主に憑依して宿主を戦わせる。まさに無限ループ。最強の兵士を造り出すにはうってつけの最悪な方法だ。

“復讐の精霊”ザラソスはそんな「神」が求めた最高傑作だっただろう。あれほどに強力で、しかも扱いやすいとくれば利用したくもなるだろうが、かの“復讐の精霊”はジョニー・ブレイズに憑依してしまっていた。だからジョニーに比例する素質を持つダニーに天使が接触するのは当然の帰結だ。ダニー・ケッチを最強のライダーへと目覚めさせる。そのためにミスター・イレブンは“復讐の精霊”が歩んできた歴史の負の一面を見せたのだ。

ミスター・イレブンは「神」の非道なやり方には反対していたが、この方法がヒトの潜在能力を解放させるに適していることは理解していた。だからレイヴンは“復讐の精霊”の良い一面もしっかりと示す。彼らの尽力によって救われた命が多いのも真実なのだ、と。

驚きを隠せず、思わず吐いてしまうダニーに尚も語りかけるミスター・イレブンは、そんな“復讐の精霊”の力を狙う存在がいることを伝える。その存在こそがミルザを襲った者たち、かつてダニーがゴーストライダーとして戦ったネズミの悪魔ヴァ―ミナス・レックスの一族だ。かの悪魔は地獄の王子ブラックハートが創り出した“復讐の精霊”の複製品、故に紛い物でしかない自分たちの力を完璧なものにするために本家の力を奪う計画を立てた。何百年も、何千年も前からヒトの目につかない地下で行われてきた地獄絵図。その光景にはダニーも啞然とする他なかった。

奴らはライダーを捕らえて意図的に“復讐の精霊”の呪いを暴走させることで宿主の心を壊し、発狂した所で喰らい、力を奪っていたのだ。

地下へと連れて来られたダニーが目にしたのは祭壇の奥で鎖に繋がれ、悲痛な叫びを上げることしかできないライダーの姿だった。「毒」のために暴走した力を制御出来ず、身も心も崩壊寸前となっていた彼は助けを求めていた。終わらせてくれ。涙を流す彼にダニーがしてやれることはただ1つ。彼の心を蝕む呪いを奪い、己の力とすることだけ。

 

一度は捨てたゴーストライダーの力を再び求め、醜態を晒してきたダニー。そんな彼が再びヒーローとして立ち上がろうとしていた。かつては罪なき人々のために戦っていたが、今回は「同胞」が味わってきた苦痛の報いを与えるために。これもまた、“復讐の精霊”の呪いを受けた者の征く定めか…。

ミスター・イレブンの計らいで、三度ゴーストライダーへと変身したダニーはヴァ―ミナス・レックスの一族を皆殺しにすべく地下を地獄の炎で燃え上がらせる。ここまではかの天使の筋書き通り。しかし、そんなヒトに与する天使の存在を快く思わない者が天界にはいた。「ブラックホスト」のリーダーがマリーに警告を送るが…。