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アメコミ:AMAZING SPIDER-MAN(2015)#3

ゾディアックの真の首領スコーピオ登場!

一方、ピーターは自身の事業を拡大すべく一手を打つ。それはバクスター・ビルディングを改装して自社オフィスとすることだった。

 

 

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【あらすじ】

奪われたウェブウェアを取り戻し、序にゾディアックも叩き潰さんとプロウラーと共にアジトに乗り込んだスパイダーマン。しかし、敵の非情な作戦のために捨て石にされたゾディアックの構成員たちを見殺しにすることができなかったスパイダーマンは、装置の奪還よりも人命の救助を優先。その結果ゾディアックの幹部陣を取り逃がしてしまう。

しかし、これでへこたれるピーター・パーカーではない。ヒーロー業も勿論のこと企業の力を拡大するべく動き出す。その足掛かりがニューヨークでの事業の要となるオフィスを構えること。そのオフィスの場所は盟友であるファンタスティック・フォーの拠点バクスター・ビルディング。

大々的な報道をすることでゾディアックへの牽制をも狙うピーター。しかし、これを快く思わない者が1人いた

自身の報道会社を立ち上げたジェイムソンの力を利用し、友の「家」も利用する。社長としてはご立派だが、せめて「家」の家主(一応)に一言相談すべきだった。報道の内容に耳を疑い、怒り心頭となったヒューマントーチことジョニー・ストームがピーターの元に襲撃を掛ける事態になってしまう…。

【Friendry Fire】

「あなたの親愛なる隣人」スパイダーマン、彼は街の人々に時に愛嬌を振るい、時に困っている人々の問題を解決したり、軽口を叩きながら悪党を捕らえてきた。住人たちはそんなスパイダーマンを受け入れ、彼の活躍を応援してきた(一部の人々はその限りではなかったが)。しかし、その実スパイダーマンの本性を知っている人は殆どいないだろう。「親愛なる隣人」と自称する彼だが、その別名と裏腹にスパイダーマンことピーター・パーカーは誰よりも負けず嫌いで喧嘩早く、かつ他人、特に親しい関係の者に対して横柄な物言いをする悪癖がある。その傾向はヒーローやヴィランを問わずスパイダーマンの正体を知る者や、長年の付き合いの者に対して顕著だ。

そして、今回もそんなピーターの悪癖のために一杯食わされてしまった哀れな男がいる。ジョニー・ストーム。ファンタスティック・フォーのメンバーであり、炎を操り空を飛ぶヒューマントーチの名を持つ彼は、ピーターとは軽口を叩き煽りあうのが日常な俗にいう悪友と言える関係にあった。彼は「シークレット・ウォーズ」にて行方不明となったリード・リチャーズとスーザン・リチャーズの処遇を巡って「家族」の実質的な解散を受けて、当時は単独で行動し、バクスター・ビルディングを守ってきた。いつの日か「家族」が再び集結するその時まで。しかし、守る家を少しの間留守にしていたら、いつの間にかピーターの手で大改装されてしまったのだ。

バクスター・ビルディングを勝手に「買収」してしまったのは明らかにピーターが悪く、ピーター自身もその非は認めている。彼がこのアジトを狙ったのはニューヨークのど真ん中にある立地的な意味でも、知名度の意味でも最適なのが理由。しかし、そんな上っ面な理由を説明されたジョニーは怒りの炎を燃え上がらせてピーターに食ってかかる。直情的で口よりも先に手が出る男の攻撃を「パーカー・インダストリー」の科学技術でいなし、落ち着かせようと社内を案内するピーター。だが、ジョニーの不信感は簡単に消える筈もなく…。

パーカー・インダストリーズの上役にはハリー・オズボーン改めハリー・ライマンの姿が。ジョニーはハリーがグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンの息子であることを知っていた。どうしてピーターは不俱戴天の敵の息子を雇い、あまつさえバクスター・ビルディングに招いているのか、ジョニーがそう思うのも無理はないだろう。

 

ピーターの無神経な振る舞いのためにジョニーとの友情に亀裂が入ってしまった。今回のピーターの振る舞いは(この時点では)擁護することはできないだろう。スパイダーマンは変わってしまった、ジョニーが不機嫌な様子を隠せないのは当全だ。今やバクスター・ビルディングは卑しい蜘蛛と彼を慕う者たちの巣窟と化しているのだから。その中にはかつて敵対した者たちまでいるのだから尚更だ。

しかし、ピーターもジョニーの気持ちが分からないような冷血漢でも卑劣漢でもない。バクスター・ビルディングを拠点に据えたのも、ハリーを雇っているのもちゃんと理由がある。それは偏に自分の大事な者たちの「家」を守るため。バクスター・ビルディングを狙っているのはピーターだけではない。アルケマックスやロクソン、ハマー・インダストリーズとヴィランと繋がりのある悪徳企業が、バクスター・ビルディングの家主であるリード・リチャーズの技術を利用しようと虎視眈々と狙っているのだ。ゾディアックの対処だけでも大変なのに、アルケマックスたちとも争うのはリスクが多き過ぎる。だから先手を打つ形で友の「家」を買い取った。自社のシンボルマークをでかでかと掲げているのも、ニュースで大々的に報道させたのも敵への睨みを効かせるため。

そしてハリーを雇っているのも彼が親友だからという私情だけでなく、彼自身が「家族」の不始末を望んだから。今のハリーには超人として戦う術はないが、大企業の社長とスパイダーマンの2つの顔を使って戦う親友のサポートはできる。亡き母の旧姓を使っているのはオズボーン家との繋がりを断つためではなく、禊を果たして「家族」を取り戻すため。

ピーターとハリーの真意を聞いたジョニーも納得したように拳を下ろす。そして自分もまたピーターと共に戦うことを決意する。バクスター・ビルディングの一応の家主は自分なのだから好きにさせておけない、と軽口を叩く姿はピーターがよく知るジョニー・ストームのそれだっただろう。

ファンタスティック・フォーは消えてしまったのでない、ちゃんと此処にいる。「家族」の再会を願うジョニーとハリーの決意を受けてピーターの戦意もさらに昂る。大切な者たちのために戦うのが「親愛なる隣人」の使命であり本懐なのだ。

 

こうして(主にピーターのせいで始まった)すれ違いも解決し、躍進していくパーカー・インダストリーズ。しかし、彼らの前に立ちはだかる悪党共の勢いは衰えることはない。時に大胆に、時に水面下で進められていく彼らの野心はピーターの「夢」を砕こうと躍起になっているのだから。

表舞台に姿を現したゾディアックの首領スコーピオは、S.H.I.E.L.D.のヘリキャリアを襲撃。船を乗っ取り、拘束されていた配下を殺害する様はまさに悪逆非道なテロリスト集団のリーダーのそれだ。そして別の場所では、スパイダーマンへの復讐心に燃えるノーマン・オズボーンが策略を巡らせていた…。