邪神と化したオリンポスの神々と共に、閃光の向こうへ消えたスター・ロード。
再びクイルが目にした時、その目に映るものとは…。
[あらすじ]
オリンポス・シティ再建を目論み、暴虐の限りを尽くすゼウス率いるオリンポスの神々。そんな堕ちた偉大な英雄たちの野望を阻止するべく立ち上がったガーディアンズだったが、力の差は歴然としていた。そうして、自分ひとり戦場に残って家族を逃がそうとしたスター・ロードは、ゼウスたち諸共に転移装置の暴走に巻き込まれて宇宙の藻屑となった。筈だった。
次にスター・ロードが目を覚ました時、目に映るのは見たこともない星とそこに暮らす人々の姿だった。彼らは異邦人であるスター・ロードを家族として迎え入れるが…。
何処か幻想的で、穏やかな時間が流れる未開の星。星の名はモリヌス。
「世界を超える太陽」を意味する星に飛ばされたのは、“マスター・オブ・サン”の差し金なのだろうか。
[I shall make you a Star-Lord]
ロケットやノヴァたち、残されたガーディアンズが宇宙の平和を護るために奮闘していたその頃、オリンポス・シティの消滅に巻き込まれたスター・ロードはモリヌスへと飛ばされていた。オリンポス・シティの転移装置の暴走が齎した膨大なエネルギーは、時空と空間を超えて過去の宇宙へとスター・ロードを送り込んだのだ。
突然の事態にも努めて冷静に、情報を収集しようとするスター・ロード。唯一の武器であるエレメント・ガンも機能不全に陥り、満足に戦うことができなくても足を止めることはできない。例え気絶している間に身ぐるみを剥がされ、全裸にされていようとも。だが、そんなスター・ロードの警戒を知ってか知らずか、モリヌスの原住民たるモースとアラディアの夫婦はスター・ロードを迎え入れる。困った時はお互い様だ、と手を差し伸べる彼らの姿にスター・ロードは言いようのない既視感を覚えるが…。
それから数年間を共に過ごすスター・ロードたち。持ち前のコミュニケーション能力と性格の良さからか、スター・ロードはすぐにモースたちと打ち解けた。命の恩人であるモースたちを守るために、そして生きる術を授けるべく奮闘するスター・ロードに呼応してかエレメント・ガンも少しずつ元の機能を取り戻し始める。そして、彼が与える知識はモースたちに芸術を愛でる感性と戦うための技術を齎していくのだった。
10年以上もの月日を共に過ごした彼らは固い絆で結ばれるようになった。しかし、クイルの脳裏には常に残してきた家族たちの姿が過っていた。
モリヌスは空を泳ぐ巨大な亀に大海に浮かぶ近未来的な都市が存在し、あふれんばかりの緑が生い茂る大自然が同居する異質な星だ。そのくせスター・ロードが訪れるまで科学的な武器はなかったのだから不思議なものだと管理人は思う。だが、その答えは至って単純なものだった。モリヌスの正体は平行世界に存在した過去のオリンポス。異質な様相もヒトの範疇に収まらない超常のものだと考えれば妥当だろう。
何故スター・ロードがこの星へ飛ばされたのか。それはカオスにのまれ悪神へと成り果てた神々と、暗闇という滅びに瀕する星の辿る末路を見せるためだ。太陽も届かない深淵の奥深くに蠢く悪意は、燦然と輝く星々やそこに住む人々や、神々も例外なく全てを吞み込んでしまう。そんな悪意を打ち払う使命を持って生まれたのが“マスター・オブ・サン”またの名を「スター・ロード」だ。クイルの前に度々現れたスター・ロードの幻影は、この事態を予見していた。故に現代に生きるスター・ロードに啓示を与えたのだ。ただ己の大切な者を守るために太陽の力を振るうべし。愛する者を奪われたことへの報復も、正義の心も、空虚な人生も全てを眩い光で照らすのだ。
モースたちと語らいながら、エレメントの力で家族の元へ帰る方法を模索するスター・ロードの前に現れたゼウスたち。神々の猛攻に抗うクイルだったが、アラディアの勧めで元の世界へ帰ることを優先する。「私たちと過ごした日々を忘れないで」彼女の想いに応えるかのように、エレメントは呼応する。
消息を絶ったスター・ロードが己のなすべきことを見つけて現代へと帰還する。今号の内容は、乱暴だがこの1文で纏められる。しかし、スター・ロードが未開の星で過ごした穏やかな10数年は無駄なものではない。モースとアラディア、そして「息子」のロクシ―。彼らの思いを無駄にしないためにも、スター・ロードは戦うのだ。
エレメントのパワーと“マスター・オブ・サン”の導きで現代へと帰ってきたスター・ロードを出迎えるのは、夥しい数の骸骨と懐かしき仲間たち。リーダーの帰還に驚きを隠せないロケットだが、今は再会を祝う時ではない。
次号、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvsヌル！光を憎む邪神の野望を阻止するためにスター・ロードの真の力が目覚める！
