[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER(2006)#32

ジョニー・ブレイズvsダニー・ケッチ、再び!

片や天使に復讐を誓う兄、片や天使に救いを求める弟。最後まで立っているのはどっちだ!

 

 

前回はこちらから↓

 

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[あらすじ]

“復讐の精霊”の力を己の野望を成就する駒として利用するべく、暗躍を重ねてきた天使ザドキエル。「神」に最も近く、強大な力を持つ天使の魔手を止められる者はおらずダニーは膝を付き、「神」の配下たる天使たちもまた屍を晒すのみ。

そして彼の天使の攻勢はジョニーをはじめとした地上のゴーストライダーたちにも及び始めた。これに対してライダーたちは団結してザドキエルの軍勢「ブラック・ホスト」を迎え撃つことに。

ライダーたちのリーダーとして先頭に立つジョニー・ブレイズ。自ら先頭に立ってブラック・ホストを指揮するダニー。今度こそそれぞれの意地を通すために、2人の男たちは激闘を演じることになる。それがザドキエルの描いたシナリオ通りであることに気付く者はいない…。

ライダーたちは宿主が死んでも“復讐の精霊”の呪いは死なず。これに対してダニーは自分と全く同じ姿・能力を持つ分身体を造り、ライダーたちに差し向ける。ジョニーはこの危機的状況を打開するために、ダニーに1対1で戦うよう挑戦状を叩きつける。

[Under Heaven Destruction]

遂に幕を上げた「ラスト・スタンド」編。文字通り最後の砦であるスカル・シティに集結したゴーストライダーたちとケアテイカーは、告死天使を従えて迫る「救世主」を迎え撃つ。この戦いが“復讐の精霊”の呪いをその身に宿した自分たちが往くロードを指し示す道標となる。ここで倒れば天使の思惑を止める手段はない。不退転の覚悟で臨むライダーたちは上位種である天使たちを相手に、一進一退の攻防を繰り広げる。だが、やはり相手の力はあまりにも強大。バロン・スカルファイアは倒れ、ダニーはヘルファイアで己の分身を造り上げ一気に片を付けようとする。“復讐の精霊”の力を限界まで引き出し、「神」の加護を受けたダニーにできないことはない。猛威を振るう弟の姿に兄も悪態をつくしかないだろう。ダニー「分身てのはこうやるんだー!!」

だが、救世主を気取る弟にいつまでも好き放題させておく道理はない。そして弟の方も最初から狙いは兄のみだ。相棒たるヘルサイクルに跨る2人はそれぞれの道理を通すために、ライダーならではのルールで決着を付けることにする。即ち、時間無制限のレース対決。ぶっ倒れた奴が負けのシンプルな勝負、この一大事にそんなことをやっている場合かと突っ込みたくなるが、ジョニーとダニーにとってはそれが全てなのだ。

アフリカ大陸から始まり世界中を駆け巡りながら熾烈なデッドヒートの応酬を繰り広げる兄弟たち。誰にも2人の「戦い」を邪魔できない。

 

レースの最中でもダニーは頻りに自らの行いの正当性を叫ぶ。こうしている間にも分身体は残ったライダーたちを追い詰めて呪いから解放している、と。アンタに一体何ができたのかと叫ぶ姿には、管理人は先代のケアテイカーを詰問している様を重ねる。ダニーは“復讐の精霊”の呪いを受けた者たちに救いを齎している、と思っているがその実は真逆だ。ライダーたちの中には呪いを不幸と捉えて目を背ける者もいれば、それに抗い立ち向かう者や受け入れる者もいる。ダニーはそんな彼らの思いを無視して、救いを「押し付けて」いる。その結果が「死」という名の救済なのだから、ジョニーが敵意を向けるのも当然だろう。彼らから取り上げた呪いを一身に引き受け、力を高めていく弟に兄は啖呵を切る。お前は所詮ザドキエルのいい様に動く駒、操り人形に過ぎない、と。ザドキエルの悪辣さを身をもって知るジョニーはダニーの目を覚まさせるためにアクセルを吹かす。いくらライダーたちからパワーを奪おうが負ける気はしない。

以前戦った時とは違い、本気で勝ちにいくジョニーはダニーを突き放すが…。

先頭を走っていたジョニーは突如放たれたヘルファイアの一撃で吹き飛ばされ、クラッシュ。撃ったのはザドキエルが「保険」として取っておいた手駒であるコワルスキー。ゴーストライダーに復讐を誓った男の一撃は、見事にライダーの体を穿ったのだ。

ジョニーは倒れ、残ったのは歓喜に震えるコワルスキーと突然の事態に驚きと怒りを隠せないダニーだけ。ダニーはコワルスキーの存在を聞かされておらず、折角の勝負に水を差されてしまった。これでは激怒するのも無理はない。コワルスキーを地獄の炎で「制裁」し、虫の息のジョニーに歩み寄るダニー。彼はジョニーを救うために呪いを奪った。こんな勝ち方は望んでいなかったが、兎も角「使命」を果たすことができる。もう二度と“復讐の精霊”の呪いを受ける者は現れない。血と怨嗟の感情に塗れた地獄の炎は青き炎で浄化され、天界に昇る。

禍々しくも神々しい炎の翼をはためかせ、ダニー・ケッチは稲妻と共に天上へと消えていった。その様をジョニーには止めることができなかった。

ダニー・ケッチは青き稲妻と共に姿を消した。その衝撃は地球上のあらゆる地だけでなく、遠く離れたアスガルドや地獄にも届いていた…。

 

 

ゴーストライダーが負けた。古代の悪魔をその身に宿し、地獄の炎を以て罪なき人々を傷つける悪党や怪物たちに裁きを与えてきた彼らの力も天使には届かなかった。この展開は当時リアルタイムで読んでいた読者に大きな衝撃を与えたのは間違いないだろう。管理人もゴーストライダーは並みいる超人たちの中でも最強だと思っていた時期があったが、そのライダーが完膚なきまでに敗北を喫してしまったのだから。そして敗北から来るやるせなさと絶望の感情は生き残ったジョニーやサラにも重くのしかかっていく。

しかし、彼らに待ち受ける悲劇はこれからだった。

曇天の空が突如赤黒く染まり、無数の炎が雨あられのように降り注ぐ。その炎は天界へと昇ったダニーが、天界へのゲートを突破する際に生じたもの。そして、当のダニーもまた炎と共に地上へと堕ちていく。吸収したパワーを全てザドキエルに奪われてしまったのだ。

炎の直撃を受けながらも無傷で済んだジョニーと瀕死の状態ながらも生還を果たしたダニー。ジョニーは炎に残っていた“復讐の精霊”の呪いを再び身に宿し、ダニーも僅かながらもパワーを残していた。しかし、これだけで状況が好転する訳がない。むしろ悪化しただけだ。半狂乱になりながらも自らの過ちを認めるダニーだが、彼との絆を断ち切ってしまったジョニーは冷たく見下すのみ。そんな2人にサラはケアテイカーとして声をかけることはできなかった。

ザドキエルの勝利は揺るがない。

無数の屍とその中でうずくまるダニーの姿には哀愁が漂う。ここで諦める訳にはいかない、そう思っていてもどうすればいいか見当も付かない。悲観に暮れるジョニーたちだが、その一方で新たに“復讐の精霊”の呪いを受けた者が誕生した。“復讐の精霊”に復讐を果たしたコワルスキーは、「神」の手でアンチゴーストライダーヴェンジェンス」へと生まれ変わらされたのだ。