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アメコミ:GHOST RIDER:DANNY KETCH(2008)#4

「同胞」が受けた痛みに対して報いを与えるべくヴァ―ミナス・レックスを追うダニー。

そんな彼を導くミスター・イレヴンに心境の変化が見え始め…?

 

 

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[あらすじ]

天使が見せたゴーストライダー誕生の秘密。何千年も前から続いてきた“復讐の精霊”の呪いに秘められたそれは、ダニーが想像もしていなかった戦いの歴史そのものだった。同時にそんな呪いを受けたことで、望む望まないを問わず暗闇を歩むことを強要された者たちや悲惨な最期を遂げた者たちをダニーは知ってしまった。彼らの中にはダニーが倒した悪魔ヴァ―ミナス・レックスの手で命を落とした者たちもいたのだ。

あの卑しいネズミの野望のために「同胞」が犠牲となっている。毒のために呪いを制御できず苦しむ「同胞」を介錯した時、ダニーの中の何かが変わった。心に再び宿した復讐の炎は赤く燃え上がり、仇敵の居所を突き止めるべく活動を開始するが…。

日が沈み、闇夜に包まれたブルックリンでダニーは毎晩のように地下へと足を運んでいた。「奴は何処だ!何処にいる!?」化け物たち相手に殺戮を繰り返すダニーだが、ヴァ―ミナス・レックスの居所を掴めずにいた。相棒に叱咤されながらも成果を出せず、意気消沈するダニー。そんな彼をマリーが物陰から様子を見ていた。

[天よりの祝福、呪いの真価]

ジョニー・ブレイズやケアテイカーたちを別れ、1人故郷のブルックリンへと帰ってきたダニー・ケッチ。“復讐の精霊”の呪いを捨てて平穏な生活に戻った男はゴーストライダーとして戦った毎日を忘れることが出来ず、自暴自棄も同然な醜態を晒し続けてきた。絶望に沈むダニーに救いの手を差し伸べたのは自らをレイヴンと名乗る天使ミスター・イレブン。彼は「神」の望みを叶えるべくダニーに接触した。「神」の望み、それは最強のライダーを創り上げること。数多の“復讐の精霊”の呪いを一身に宿した究極の力を持つ兵器こそがゴーストライダーの正体なのだ。

しかし、ミスター・イレブンは「神」の主張に疑問を抱いていた。“復讐の精霊”は本当に「そんなこと」のために存在するものなのか。復讐の意義とは「神」が机上で考えているような浅いものではない。そう考えたからこそ彼は単身下界に降り立ち、多くのヒトと交流を重ね、ジョニー・ブレイズをはじめとした悪魔憑きとも接触してきた。その中でヒトの脆弱さと醜さを知り、それ故に復讐の意義を学んできた。彼らは弱いからこそ群れ、大切な者を奪われた時に天使や悪魔をも凌駕しかねない凄まじい力を発揮する。

その事実を知っているミスター・イレブンは「神」の意志を半ば無視する形で、ダニーに試練を与える。ダニーの持つ「優しさ」が最強のライダーとなり得る鍵であることはかの天使も理解していたが、同時にその「優しさ」を奪いたくないとも思うようになっていたのだ。

落ち込むダニーを一方的に突き放し、休むよう宣告したミスター・イレブン。しかし、事態は天使の「優しさ」が介入する暇を与えない程に切迫していた。「神」からの警告を受けていたマリーは天界、延いては天使を信用するなとダニーを説得しようとするものの当の天使にそれを妨害されてしまう。

 

マリーと朝食を取っていたダニーを呼びつけたミスター・イレブンは、ダニーを彼の住むアパートへと連れていく。そこで2人が目にしたのは炎に燃える自室とその中心で苦悶の表情を浮かべるショバ・ミルザだった。ヴァ―ミナス・レックスの一派に「毒」を受けて以降、行方不明となっていた彼女は自力で悪魔たちの巣窟から逃げ出していたのだ。毒のために最早立ち上がることも出来ない程に疲弊していたミルザは、自力で変身を解くことも体の奥から湧き出てくるヘルファイアを抑えることも出来なくなっていた。このままでは彼女は永遠に苦しむことになるだろう。

助ける方法はたった1つだけだ。

勝ち気なミルザが涙を流してダニーに助けを求める。終わらせてくれ。絶叫を上げながら“復讐の精霊”の呪いと共に彼女を苦痛から解放したダニーにかけた最期の言葉。それがダニーの心に深い傷を残すことになる。

またしても「同胞」の最期を見届けたダニーは遂にミスター・イレブンに食ってかかる。こんなことを繰り返して一体何になるというのか、と。散っていった歴代たちの命をなんだと思っているんだと怒りを露わにするダニーは、ミスター・イレブンよりマリーの言うことが正しいのではないかと逡巡する。だが、天使はダニーに「神」ではなく「自ら」の計画を話す。来たる天界での戦いにて最大の戦力となり得るライダーを味方につけ、彼と共に犠牲となっていった者たちの魂を救いだす。天界に蔓延る「悪」を根絶やしにした時こそ、それが果たせるのだ、と。

優しい心を持つダニーは、その優しさのために人一倍感受性が強い。故に大切な者を奪った者への報復に躊躇いがない。どんな手段を使ってでも「悪」を滅ぼそうと躍起になる彼の姿に、かの天使は危機感を抱いていた。ミスター・イレブンが見込んだ通り、ダニーは実の兄に負けず劣らずの素質を持っている。“復讐の精霊”の力を引き出す素養もある。だが、だからこそ彼の優しさが彼自身の破滅を招いてしまうのではないかと感じていたのだ。優しいからこそ、報復するための「力」がもっと欲しい、そのためなら自分がどうなっても構わない、と。

そして、天使が危惧した通りダニーは「力」を求めた。ミルザを苦しめたヴァ―ミナス・レックスを必ず抹殺するための絶対的な力を。力への渇望か、仇敵への憎悪が示したのか、ヴァ―ミナス・レックスの居所を突き止めたダニー。対するヴァ―ミナス・レックスも懐かしき宿敵から“復讐の精霊”の呪いを奪うために襲いかかる。

 

ヴァ―ミナス・レックスはダニーが初めて戦った時より巨大な姿へと変貌していた。その体格はライダーの一撃をものともしない防御力を、片手でライダーを殴り飛ばす程の破壊力を秘めていた。このままでは勝てない。そう考えたダニーは戦闘中に関わらず、変身を解除してしまう。中途半端な「力」はいらない、完全な状態の「力」を寄越せ。かつてブルックリンの夜を駆け抜けたゴーストライダーとしての「力」を寄越せ。鬼気迫るダニーに狼狽するミスター・イレブンだが、もうこうなってはこの青年を止めることは出来ない。観念した天使はダニーに「祝福」を与える。強大なパワーを得て歓喜に震えるダニーに隠れ、天使は1人謝罪の言葉を贈るのだった…。

“復讐の精霊”の呪いの力を極限まで増幅させ、パワーアップしたダニー。その姿は地獄の底からやってきた騎士の如く。究極のライダーへと姿を変えたダニーの姿にミスター・イレブンは背を向けてしまうが…。

次号「ゴーストライダー:ダニー・ケッチ」完結!ダニー・ケッチとヴァ―ミナス・レックスの決着、そして「神」の正体が暴かれる!