[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GHOST RIDER(2006)#28

ダニー・ケッチを追ってゲートを潜るジョニー・ブレイズとサラ。

そこで2人を待ち受けるのは、新たなる“復讐の精霊”の戦いの舞台だった!

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

チベット某所、そこでは先住民を虐げる軍隊による虐殺が繰り広げられていた。些細な言い掛かりから始まり、やがては粛清という名の殺戮へと発展する無常さに罪なき人々は涙を流しながら許しを請い、そして「力」を傘に威張る悪漢は笑みを浮かべる毎日。

そんな日常を打ち破るために“復讐の精霊”は存在する。虐げられる罪なき人々のために立ち上がるのがゴーストライダーの使命なのだ。

軍隊の前に現れたラマに跨る老人は、彼らに一刻も早くこの場から立ち去れば見逃してやると忠告する。聞く耳を持たないのなら、地獄の炎で焼かれてもらうまでだ!

【Last Stand of Spirit of Vengeance】

前号にて描かれたダニー・ケッチの叛心、そしてケアテイカーの死。これらの事実はジョニー・ブレイズの肩に重くのしかかった。血を分けた兄弟が自身が復讐しようとする天使の手先となり、仲間の命を奪ったのだから。ジョニーはダニーと始めて会った時から彼のことを聞き分けの悪い坊主だと思っていたが、一線を越えることはあり得ないと信じていた。それがジョニーの預かり知らぬ所で弟は天使の毒牙にかかり、「神託」のままに殺人を犯してしまったのだ。祖父の跡を継ぎ、新たなケアテイカーとなったサラに現実を突き付けられダニーの後を追うジョニー。しかし、ジョニーは心の中ではダニーの心変わりを信じたくない想いが溢れていた。“復讐の精霊”をその身に宿し、多くの罪なき人々の無念を背負う復讐のロードを駆けるジョニーだが、人を想う心、ましてや肉親を想う心までは捨ててはいなかったのだ。

だが、ジョニーの希望は脆くも打ち砕かれてしまう。ダニーを追ってはるばるチベットまでやってきたジョニーたち。吹雪が吹きすさぶ雪山の中を駆け抜けるバイクはやがて炎に包まれる寺院へと辿り着く。人の立ち入りを妨げるように山の奥地に聳える寺院の中は不気味な程に静寂に包まれていたが、ジョニーたちはすぐさまにここの主を発見する。正確には主の「死体」だが。

サラはこの死体がジョニーやダニーと同じく、“復讐の精霊”を宿すゴーストライダーであることを直感で感じる。自分とダニー以外にライダーがいる訳がない、とサラの言葉に半信半疑なジョニーだが彼女の言うままに死体の記憶を読み取るためにペナンス・ステアを発動させる。死体から読み取れたのは、このライダーがチベットの先住民たちに慕われる老人ニマであることだった。

カン・トゥンの尊格を持つ彼は相棒のラマと共にチベットを守っていた。そんな彼が何者かに殺された。その犯人の正体を言外に語るサラだが、ジョニーは認めようとはしない。

ダニーがニマを殺したのならその理由は何なのか、一体ザドキエルにどんな利益があるのか。それは今のジョニーにもそしてサラにも分からないことだ。だが、ダニーの思惑が何であるにせよどんな手を使ってでも彼は止めなければならない。たとえ殺してでも、だ。自分たち兄弟以外にも現代にゴーストライダーが存在することに驚きを隠せないジョニーだが、今はそんなことはどうでもいいことだ。再び肉親を殺す、重すぎる十字架を背負わされるジョニーの表情は暗い。

日が暮れ、吹雪が強まる寺院で暖を取るジョニーたち。ここで待っていればダニーは姿を現す筈。そこをとっちめてやる。薄着のままダニーを探し、冷たくなった体を暖めようとするジョニーに絶句するサラだけが唯一の癒しだ。女ばかりの修道院で暮らしていたのもあるが、男がいきなり脱ぎ出せばドン引くのは無理もない。

ニマの死体に独り決意を語るジョニーの姿が切ない。

 

そうしてすっかり夜が更けた頃、遂にダニー・ケッチが現れた。ダニーはジョニーの元を離れて一人で眠るサラを襲ったのだ。サラはケアテイカーの名と記録を引き継いだ。ザドキエルからすればサラもまた、ケアテイカーと同様に優先的に抹殺すべき対象であることは想像に難くない。そんなサラを始末するのに最も適した人材がダニーだったというわけだ。勿論ダニーがサラの寝込みを襲うのは、ジョニーの考え通りだったので作戦は失敗してしまったのだが(当のサラはジョニーが別の意味で襲ってきたと勘違いしていたが)。

ダニーを組み伏せるジョニー。しかしジョニーは、ここに来てもまだダニーへの望みを捨てることができなかった。ダニーが理由もなく殺人を犯す訳がない。人を傷付けることを毛嫌いする程に優しい男が望んで人殺しをするなんてあり得ない。俺が助けてやる、と何度も叫ぶジョニーだがダニーは兄の手を振り払い吹雪の中へと走る。

追いすがるジョニーと逃げるダニー。この逃走劇は2人が初めて出会った時とは対照的だ。ジョニーがダニーを追う構図は同じだが、その背景は全く違う。ダニーの中にはあの時に抱いていた復讐心は欠片もない。あるのはザドキエルが与えた使命が齎す「慈悲」の心だけだ。その慈悲を齎すには、ジョニー・ブレイズの目の届かない必要があったから。見つかればきっと、今の自分が間違っていると叱咤するに決まっているから。初めて出会ったあの時と同じように。

しかし、本当に間違っているのは果たしてどちらだろうか。地獄の悪魔と契約を結んだ男と天界の天使に膝をついた男。2人の主張はどこまでも平行線を行くばかりだ。ならば答えを見つける方法は1つだけだろう。

間違っている者を叩きのめし、最後まで己の主張を通した者が「正義」だ。

ダニーに“復讐の精霊”の力を捨て、ザドキエルのことも全て忘れてブルックリンに帰るよう頼むジョニー。これがジョニーがダニーのことを許すことができる最大の譲歩だった。だが、そんな偽りの「慈悲」などダニーには必要ない。今のダニーには本当の「慈悲」が宿っているのだから。天界由来の蒼き炎が、紅き地獄の炎を塗り潰そうとしていた…。

次回、ゴーストライダーvsゴーストライダー!宿命の兄弟対決の幕が上がる!