[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER(2006)#29

宿命の対決!ゴーストライダーvsゴーストライダー!!





 

 

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【あらすじ】

ジョニー・ブレイズとダニー・ケッチ。生まれながらにして“復讐の精霊”の呪いを体に流れる血に宿し、それぞれの道を進んだ男たち。血を分け、生き別れとなりながらも再会を果たした男たち。しかし、その再会の舞台は2人にとってあまりにも残酷なものだった。

弟は天使に見初められ全ての罪人を救うために彼の天使の傀儡となった。兄は悪魔との戦いの果てに今度は天使への復讐を果たすために血を流す。それぞれのロードを駆け、再び道が交わる時に待ち受けるのは「衝突」のみ。互いの主張を譲らない2人は、己の意思を貫くために相手を踏み越える決意を固める。

ゴーストライダーゴーストライダー。禁断の戦いを邪魔することは何人たりとも叶わない。

弟の変わり様を目の当たりにした兄は、弟からの挑戦状に対して真っ向から受けて立つ姿勢を見せる。お前が新しく得た力がどれだけのものか、この俺に見せてみろ坊や!

【蒼炎のゴーストライダー

地獄王ルシファーとの戦いを制し、自身の運命を弄んだ黒幕の存在を知ったジョニー・ブレイズ。彼は“復讐の精霊”と共にザドキエルへの復讐を果たすために多くの「罪なき人々」の血を流し、そして自身もまた血を流し続けた。復讐のための戦い、怨嗟と憎悪に溢れた血みどろの戦いの中で何人もの人々が犠牲となりながらもジョニーと“復讐の精霊”は戦うことを止めなかった。彼らの生きる意思と奪われた未来に対する悲しみを背負うからこそ、「復讐の意義」を真っ当なものにできるから。悪魔や天使に弄ばれた彼らの命を無意味なものにはしない、一番の方法なのだから。

そんなジョニーの前に立ちはだかるのは、同じく“復讐の精霊”をその身に宿す実の弟であるダニー・ケッチ。これ程痛快で馬鹿馬鹿しく、哀しく、燃える演出はないだろう。ジョニーがザドキエルへの復讐を果たすためには、血を分けた弟を打ち倒さなければならないのだ。ザドキエルからすればこの展開はポップコーン片手に楽しむ娯楽映画のそれに近い喜劇だ。なんてヒトは愚かで、彼らが抱く復讐の炎の美しきことか、と。

だが、そんなザドキエルの思惑もダニーが彼の天使に抱く畏敬の念もジョニーには関係のないことだ。もう引き下がれない所まで来てしまったのだから、今更ダニーを打ち倒すことに躊躇いはない。ジョニーはまずダニーの、延いてはザドキエルの力量を測ろうとするが…。

ダニーに向かって本気でかかって来い、と挑発するジョニー。だが、ゴーストライダーの潜在能力を開放したダニーのパワーはジョニーのそれを軽く上回っていた。ライダーがパンチの一発で吹き飛ばされている、そんな馬鹿なことが!?

 

ダニーに取り憑いたノーブル・ケイルの魂はもうこの世にはいない。“復讐の精霊”の力を振るい、その能力をヒトの身で限界まで引き出す程の素質を持ったノーブルの魂はダニーの魂と混ざり合い、消えてしまった。しかし、彼の素質は彼の血を引くダニーに受け継がれた。怒りと哀しみの果てに、己の身に流れる“復讐の精霊”の呪いを覚醒させたダニーはこれまでの姿からまるで騎士を思わせる姿へと変えた。そこに加えて天使からの加護まで受けているのだから、その力の上限に限界はない。ダニーが「神」への信仰心が強くなる程に蒼き炎は輝きを増していき、ダニーの力も比例して強くなっていく。パンチの一発でジョニーを吹き飛ばし、キックを一撃入れれば山を抉る程の破壊力を見せる。

今のダニーにはジョニーでも敵わないのか、一方的に攻撃を受けるジョニーに向けて己の掲げる正当性を主張するダニー。だが、ダニーはジョニーが拳を受けながらも反撃の機会を狙っていたことに気付いていなかった。ダニーは昔から肝心な所でツメが甘かったが、その甘ちゃんぷりは今も変わっていなかったようだ。

勝ち誇るダニーの隙を突き、ここからはジョニーの反撃だ。まずは山脈をも吹き飛ばすヘルファイアの大爆発から受けてもらう!

猛吹雪が吹きすさぶチベットの山々を地獄の炎で抉り、燃え上がらせるジョニー。地獄の炎はザドキエルに対しての復讐心だけでなく、ケアテイカーを殺害したダニーへの哀しみと弟の凶行を止めることができなかった自身への怒りを乗せて勢いを増していく。だが、ジョニーは事ここに至るまで未だにダニーへの「情」を捨てることができなかった。だから大技を放っても尚、トドメを刺せなかった。ダニーを生かしたのは、彼に刻まれた苦しみの記憶を見るため。その記憶には弟を魔道に堕とした憎き天使の姿が映っているだろう。ペナンス・ステアを発動したジョニーはダニーの記憶を垣間見る。そこには、ダニーの苦しみだけでなく「罪」も映っていた。

ジョニーが見た記憶には「救世主」として“復讐の精霊”の呪いを受けた者たちに救済を与えるダニーの姿と、命を奪われていくゴーストライダーたちの姿が何人も映っていた。彼らの中にはニマの姿もあった。サラの推測は当たっていた。弟を人殺し、と力なく罵倒するジョニー。そんな兄に激高したようにダニーは自分は人殺しではないと叫ぶ。

「僕はみんなに呪いから解放されるチャンスを与えたんだ!あいつらがどんな思いを抱えて死んでいったか知ろうともしないで、勝手はことを言うな!」そう叫ぶダニーの姿こそ管理人には手前勝手なものにしか見えない。少なくともこの時点では。ジョニーは知る由もないが、ダニーがザドキエルに傅く決意を固めた日を思えばそう叫ぶのも無理はないだろう。兄は弟の苦しみを分かってやりたい一心でペナンス・ステアを発動した。ならばそのお礼はきっちり返してやらなければ。兄には一度、己の心に蓋をしていた苦しみに向き合ってもらわなければならない。そうしなければ、兄を「救う」ことなど叶わないのだから。

ダニーが見たジョニーの苦しみ、それは亡きロクサーヌとクレイグ、エマ2人の子供たちへの懺悔の想いだった。“復讐の精霊”の呪いから解放されたのに、ライダーを追ってしまったがために最愛の家族を巻き込み、犠牲にしてしまった。兄が抱える苦痛を取り除くことは容易ではない。だが、「救世主」であるダニーにはそれが可能だ。“復讐の精霊”の呪いを一身に引き受けることが、ダニーが与える「慈悲」なのだ。

しかし、ダニーの言う「慈悲」が紛い物に過ぎないことはケアテイカーと、そして彼の記録と意志を受け継いだサラにはよく分かっていた。“復讐の精霊”の呪いは宿主の魂と繋がっているのだから、その呪いを強引に引き剝がせば宿主は死んでしまう。ダニーはそうなることは承知の上で、彼らに「慈悲」を与えてきたのだ。もう気弱で優しい青年だったダニーは何処にもいないのか…。

ダニーの「慈悲」に間一髪の所で割り込んだサラは満身創痍のジョニーをバイクに乗せて、山を下りるために全速力で駆け抜ける。ジョニーはサラに連れられて行く中、ただダニーに叫ぶことしかできなかった。

 

こうして、ゴーストライダーvsゴーストライダー、呪われた宿命を背負った兄弟たちの「初戦」は幕を閉じた。パワーアップしたダニーの力は本物であり、生半可な覚悟ではダニーを止めることは不可能である事実をこの戦いを通じて、ダニーはジョニーとサラに突きつけたのだ。

対するジョニーはダニーとの戦いを経て、復讐のための戦いに虚しさを覚え塞ぎ込んでしまう。ジョニーはダニーに負けた。それは彼が抱える復讐心と背負ってきた命の重さを実の弟に否定されたことに他ならない。絶望に沈むジョニーにはサラの懸命な発破も意味をなさない。もうザドキエルとダニーを止める手段はないのか。

いや、そんなことはあってはならない。復讐のための戦いを否定することは、罪なき人々の命を蔑ろにするに等しい行為だ。彼らの鼻っ柱をへし折るために、今こそ団結すべき時だ。

隠れ家に潜むジョニーとサラの元に爆風と共に訪ねた男女2人組。彼らの姿はジョニーと同じく、赤き炎に包まれた髑髏のそれだった!