[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER(2006)#27

ゴーストライダーvsブラックアウト!

悠久の時を生き続けた男の意志を継ぎ、新たなケアテイカーが誕生する!

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

グレートスモーキー山脈に佇むコテージにて繰り広げられる死闘は熾烈なものとなった。世の理を監視・調和を担っていたケアテイカーの存在を障害とみなしたザドキエルは、自らの信徒にケアテイカーの排除の任務を与えたのだ。ケアテイカーも襲撃者たちを迎撃するものの力及ばず倒されてしまった。

ケアテイカーの身に起きた異変と天使が動いたことを察知したジョニー・ブレイズは、道中で出会ったシスター・サラと共にコテージに向かうが…。

修道女に狼藉を働いた男をぶちのめすサラは自らを「ケアテイカーの孫」だと語る。これを聞いたジョニーは彼女と共にケアテイカーの元へ急ぐ。そこで待ち受けるのが非情な結末だと知らずに…。

【Requiem for A CARETAKER】

前号にて遂に長年に渡って練り続けた計画を実行するために動き出したザドキエル。彼の天使は自らの計画に必要な駒と邪魔な障害を見定め、着々と力を蓄えてきた。そしてかつての同胞であったルシファーがジョニーの手で倒されたことを切っ掛けに、ダニー・ケッチをはじめとした信徒たちに神託を与えた。主の計画の成就のために邪魔となる存在を消す。それが信徒たちが成すべき「仕事」なのだ。

そうしてダニーが狙いを付けたのが化け物退治の専門家であり、かつての仲間であり師とも呼べるケアテイカーだった。ケアテイカーはゴーストライダー延いては“復讐の精霊”の動向を古代の時代から知る男。彼が抱える知識や記録は、それだけでザドキエルからすれば脅威となるものだったのだ。

ジョニーとサラがコテージに辿り着いた時には既にコテージは炎に包まれていた。遅かったのかと悲観に暮れるサラだが、ジョニーは血塗れで息も絶え絶えながらも孫娘の顔を見て笑みを浮かべるケアテイカーを発見する。ダニーたちの襲撃を受けながらも辛うじて生き残ったのか、いやさダニーの「甘さ」のために生き残れたのだろう。本当にケアテイカーを殺すつもりならジョニーたちが駆け付ける前に息の音を止められた筈だ。ケアテイカー自身もダニーの心情を察してか、襲撃者の正体をジョニーには伏せる。遠からずジョニーはダニーが豹変してしまったことを知るだろうが、辛い現実を知るにはそれを受け止められるだけの時間が必要だ。僅かでもその時間が稼げればいい。自分にも他者にも厳格な態度を崩さないケアテイカーだが、内面は家族や仲間を思いやる情はある。

だが、ダニーたちとの戦いはケアテイカーの体に致命的なダメージを与えていた。もう自分には時間が残されていないことを、ケアテイカーは悟っていた。ならば残った手段は若者たちが進む道を示すことだ。残される若者たちの道標を作るのは老人の役目。ジョニーには戦い続けることを、サラには自分が残してきた知識を受け継ぎケアテイカーの役目を果たして欲しいことを。ジョニーがやってきたことを察知して襲い掛かるブラックアウトの襲撃を受けた2人は、ケアテイカーから託された願いを胸に秘めてそれぞれの戦地へ走る。過酷な使命を否応なしに押しつけてしまう形となってしまったことを詫びるケアテイカーだが、その表情は穏やかだ。後は2人に任せれば大丈夫だ。必ずザドキエルの野望を挫き、ダニーの目を覚ます筈。永遠とも思える時間を戦いに費やした男は、静かに息を引き取るのだった。

最期の最期まで残される者たちの身を案じたケアテイカー。後は若者の意志次第だ。

 

ケアテイカーが倒れた。長年に渡って続いた戦いの人生に幕を下ろしたのは、弟子とも呼べる男の裏切りという非情なものだったが同時に跡を託すに値する後継者を得ることになったのは救いだろう。ケアテイカーとしてはサラをゴーストライダーの戦いに巻き込みたくは無かっただろうが、彼が築き上げた知識と記録は無駄にはならないのだから。それらはザドキエルを打倒するのに必要不可欠なものなのだ。

コテージの地下室に辿り着いたサラ。燃え盛る書斎のうちの一冊に触れると、脳裏に“復讐の精霊”たちの記録が過る。過去、現在、そして未来。あらゆる時空で罪なき人々を守るために復讐を果たすために悪を裁く“復讐の精霊”。これこそがザドキエルが恐れ、ケアテイカーが守り抜いた記録なのだ。

サラがライダーたちの記録の断片を見たのと同じ頃、ゴーストライダーへと変身したジョニーとブラックアウトとの戦いが始まった。ジョニーは人間の姿でブラックアウトと対峙したことはあれど、ライダーの姿で戦うことはこれが初めて。彼の男の能力にジョニーは何度も苦戦してきた。品定めするかのように挑発するブラックアウトに負けじと皮肉で応戦するジョニー。「うだうだ言ってねぇでかかってこいよ、クラッパー」

ブラックアウトの能力と戦法は昔から何も変わっていない。そんなものがゴーストライダーにいつまでも通じると思っていたのなら、とんだ大間抜けだぜ。

ブラックアウトを下し、燃え盛る地下書斎をバイクで駆けるジョニー。そしてジョニーはそこでこの襲撃事件の主犯の姿を捉える。炎の中に佇むダニーを見やるジョニーは信じられないものを見るかのように狼狽する。ダニーの目には僅かな情も残されていない、冷たい炎が渦巻いていたから。ジョニーを見るや否やダニーは、自分を呼ぶ兄の叫びを無視して書斎にある1つの扉に飛び込む。扉の先には「チベット」の冷たい氷の山脈が広がっていた。ケアテイカーのアジトの地下には、世界中のあらゆる場所に繋がるゲートが隠されていたのだ(文字通りのどこでもドアだ)。

事態が呑み込めないジョニーだが、そこにサラが駆け付ける。修道女の姿から祖父の遺品に身を包んだ彼女は「ケアテイカー」としてジョニーに同行することを強引に取り付ける。ジョニーが迷わず戦うために、そしてザドキエルを倒すために。決意を秘めたサラの目は鋭く、ジョニーもこれを了承する。バイクを走らせ、吹雪が舞う山脈に繋がるゲートを潜るジョニー。

ケアテイカーの意志を受け継いだジョニーとサラ。この先、2人に待ち受けるのはより過酷な未来だ。だが、それも乗り越えられる筈だ。例え血反吐を吐きながら進むロードだったとしても。

 

 

ダニウェル・ウェイからライターを引き継いだジェイソン・アーロンが描いた今シリーズ、そんなアーロン期のライダー誌の中でも大きな転換期となったのは間違いなく今号だろう。ダニー・ケッチが明確に敵役になったこと、ケアテイカーが死亡し新たな後継者が現れたこと。ジョニーとダニー、そしてサラ。この3人の動向を追うのが今後のシリーズの肝の1つとなるのだ。

若者たちの意志はケアテイカーへの鎮魂歌だ。ケアテイカーの望みを無駄にしないためにも戦い続けるのだから。

しかし、そのレクイエムは彼の男には届かない。天界へと昇った彼の魂は仇敵の手で惨めな最後を遂げたのだから。ザドキエルの治める新たな天界に鎮魂歌は響かない。あるのは闘争と殺戮に満ちたマーチだけだ。

自らの私兵部隊「ブラックホスト」を引き連れ、ケアテイカーの魂をズタズタに切り裂く大天使。ザドキエル、黒鉄の鎧に身を包んだ告死天使が剣を抜く時こそ天界と地上、そして地獄をも巻き込む異変を起こす号令なのだ。