“復讐”の炎に焼かれるのはどいつだ!?
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【あらすじ】
ジョニー・ブレイズに軟禁され、身動きを封じられたダニー・ケッチ。ダニーは仇敵であるブラックアウトが動き出したことを察知し、ゴーストライダーに変身。拘束を解き、ジョニーからの攻撃を無防備で受け、傷だらけになりながらもブラックアウトを追うゴーストライダー。しかし、ダメージは無視できるものではなく力尽き、変身を解除してしまう。
ダニーとゴーストライダーへの復讐に燃えるブラックアウトとデスウォッチ、ザラソスを追うジョニー、そして変身が解除されながらもブラックアウトを追うことを止めないダニー。果たして、ブルックリンに最後に立っているのは誰だ?
ジョニーのショットガンから放たれた炎はライダーの体の多くを吹き飛ばしていた。
肩や腕、脚を失いながらもヘルサイクルを操ったライダーだったが…。
【復讐するは我にあり】
ダニー・ケッチとゴーストライダー、ブラックアウト、そしてジョニー・ブレイズ。それぞれの復讐を果たさんと男たちが夜のブルックリンに集い、戦う。彼らの戦いの炎は警察やブラックアウトの暴走を利用してヘルサイクルを手中に収め、ライダーの弱体化を図ろうと企むデスウォッチを巻き込み、激しさを増していく。
ブルックリンに鳴り響くサイレンと、ブラックアウトの手で命を失う街の住人の断末魔の叫びがこだまするブルックリン。その街の中で先述した通り、ライダーの変身が解除してしまったダニーが1人、懸命にブラックアウトと罪なき人々が流した血の匂いを追い続けていた。
バイクもデスウォッチの息がかかった警察組織に奪われてしまったために、ひたすらに走り続けていた。ダニーもライダー同様にボロボロだった。ライダーは受けた傷を瞬時に再生することはできるが、痛みは残る。ライダーがジョニーから受けたダメージの痛みはそのままダニーにも伝導していたのだ。普通なら立っていることもできない程の痛みの筈だ。それでもダニーは走る、犠牲者が受けた痛みは自分が受けたものとは比べ物にならないから。姉をはじめ彼らの受けた痛みをそのまま奴にも返してやるという、揺るぎないケツイが限界を迎えていたダニーを突き動かす。
そしてダニーがブラックアウトを追うように、ジョニーもまたダニーを追い続けていた。ダニーに憑依した“復讐の精霊”ザラソスを今度こそ始末するために。しかし、今のジョニーは悩んでいた。ライダーは追い詰められながらも、自分に反撃をしなかった。ダニーはこの街にはゴーストライダーが必要だと言っていた。罪人を罰する悪魔の強大な力が、犯罪が横行する街には救いとなる。この事実を突き付けられたジョニーのケツイは揺らぎつつあった。
傷を押してでも殺人鬼を倒すべく行動を起こすダニー。
彼の戦い様を顧みるジョニーには、当初抱いた復讐心よりもダニーを危惧する心が大半を占めていた。
マフィアが支配し、ギャングやゴロツキが蔓延り、ヴィランがのさばる、犯罪が横行この街で生きる者にとってゴーストライダーはまさに地獄の中に現れた天使だろう。街の人々は、彼を恐れながらもライダーが自分たちのために戦っていることを薄々は理解していただろう。無論、警察組織もそれは同様だった。マフィアの首領であるデスウォッチは人々を傷つけることに何とも思わない、むしろ楽しむような男だ。ブラックアウトの暴走を止めず、利用し、犠牲者が増えるよう仕向けるデスウォッチのやり方に遂に警察組織も反旗を翻す。この街に必要なのはオマエたちではない。
奪われていたヘルサイクルはデスウォッチの元を飛び出し、主の元へ駆けつける。ブラックアウトに追い付いたダニーは生身のままで戦いを挑む。そんなダニーを嘲り、もっと多くの人間の命を奪おうとダニーを挑発するブラックアウト。こんな卑劣漢どもには絶対負けない。例え戦う力がなくても最後まで抗い、必ず復讐する。どす黒く、しかし確かな強さを持った負の感情がダニーに再び戦う力を与える。
ダニーの強い意志に触発されるかのように、再び立ち上がるゴーストライダー。未だ傷は癒えないが眼前の殺人鬼を仕留めるには十分な休息はとれた。チェーンを取り出し、ブラックアウトへの抹殺を宣言をするが、そこにジョニーの横槍がとびこむ。ショットガンの一撃が再びライダーの体を抉り、ブラックアウトは逃亡を図ってしまう。この事態に激怒するゴーストライダー。その怒りはもっともだ。だが、ジョニーにはそうしなければならない理由があった。いまだにダニーに憑依しているゴーストライダーが魔人ザラソスなのではないかと疑っているジョニーは、敢えてライダーを怒らせて彼の真意を暴こうとしていたのだ。ライダーが望む復讐は、罰を与えることなのか、それとも殺人なのか、と。
逃亡するブラックアウトは子供を人質に取り、追ってきたライダーの動きをけん制する。そのどこまでも卑劣な行為に、遂にライダーの怒りは頂点に達する。ブラックアウトが人質に取ったのはまだ子供、それも少女だ。姉の死を思い浮かべたライダーは警察の援護射撃に合わせて、子供を救おうと飛び出す。その姿は残虐なザラソスのものではない、悩みに悩み抜いたジョニーは…。
ジョニーのショットガンの一撃が穿ったのは、ゴーストライダーではなくブラックアウトだった。ブラックアウトの醜く焼け爛れた顔は、更に歪み、醜悪なモノになった。まるでブラックアウト自身の醜い本性がそのまま浮かんでいるかのようだ。
激しい苦痛に悲鳴を上げるブラックアウトにライダーは追撃の拳をこれでもかと浴びせる。犠牲者が受けた痛みはこんなものではない、顔の1つや2つが何だというのだと言わんばかりだ。だが、その明らかに殺すつもりで振り下ろされる拳は、裁きの一撃にしては度が過ぎていた。銃を突きつけ、ライダーを制したジョニーの目にはやはりライダーがあの悪魔の顔がちらついていただろう。
しかし、ゴーストライダーが戦ったことでブラックアウトは虫の息、人質に取られた子供は無事に助け出すことができた。男たちがそれぞれ抱いた復讐の炎、その炎に自分が焼かれるかが決まるのは、罪なき者のために戦う意思があるかどうかなのだ。
ブラックアウトとの戦いは一先ずは終わった。
だが、ゴーストライダーとジョニーの戦いはまだ終わらない。