復讐の精霊の生誕50周年を祝うサバトの第11幕!
内なる自分の影を具現化した暴走バイクをジョニーは制御できるか!?
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【あらすじ】
ブラックハートの打倒を果たしたジョニーとタリア。2人はあれから共に行動し、地上に残る地獄の瘴気が齎す怪異を狩り続けていた。罪なき人々を傷つけるモノの存在を“復讐の精霊”は許さない。
だが、そんな日々を送る中でジョニーはある悩みを抱えていた。それは自分とゴーストライダーの影であるエキゾースト、この異形の悪魔が変化したヘルサイクルをどう扱うか、ということだった。
【EXHAUST】
前号にてブラックハートを倒してひと段落着いた本シリーズは、今回から新章スタート。カバーにも描かれている“ゴーストライダー”ダニー・ケッチがキーパーソンとなる。が、ダニーの登場の前にまずはジョニーの身辺整理をする、というパートが今回の内容だ。前号では結末が描かれなかったエキゾーストとの戦いの決着、そしてタリアとの関係の変化が描かれる。
まずは元FBI捜査官であるタリアだが、彼女はジョニーと共にブラックハートが残していった地獄の瘴気を悪用する者たちの存在を排除すべく、遠くサバンナまで旅を続けていた。その中でタリアはジョニーとの距離を縮める。ジョニーにとっては、現状の自分の問題を共有できる一番身近の存在なだけに、こうなるのは必然だったと言えるのかもしれない。…ロクサーヌと2人の子供たちはどうした、ジョニー!
そして次が問題のエキゾーストだ。
前号にてエキゾーストはジョニーとタリアの前に敗れはしたが消滅はしておらず、この悪魔はヘルサイクルの姿に封じ込められていた。ジョニー・ブレイズとゴーストライダー、2人のコピーであるエキゾーストを完全に消滅させることはジョニーとタリアには難しかったようだ。エキゾーストはバイクの姿に閉じ込めることはできても、存在するだけでも周囲の人間を傷つける恐ろしい悪魔だ。劇中でもエキゾーストに跨ったチンピラは指を食いちぎられてしまっており、実害が発生している。
この厄介すぎる呪われたバイクは今すぐ処分すべきだとタリアはジョニーに詰め寄るが、ジョニーはこれを拒否。エキゾーストが自分をコピーした存在ならば、エキゾーストを捨てることは己を捨てることに等しい。いくら邪悪な存在でも簡単にはできない。ジョニーはゴーストライダーという制御不可能の恐ろしく理不尽な力に付き合ううちに、悪魔たちが存在していられるのは自分がいるからなのではと考えるようになっていた。悪魔を身に宿すジョニーらしい発想と言えるが…。
何とかこの暴れ馬を乗りこなそうと奮闘するジョニー。だが、彼の意志に抗うかのようにエキゾーストの暴走は激しさを増していく。ジョニーがエキゾーストをコントロールしようとすればする程、このヘルサイクルのギアは上がり続け、怒りの噴煙を上げるのだ。そうして、遂にエキゾーストはヘルサイクルの姿のままでジョニーたちに襲い掛かる。
エキゾーストはジョニーだけでなくゴーストライダーのコピー体。この悪魔を構成するのはジョニーだけでなくゴーストライダーことザラソスの要素もあるのだ。ザラソスは束縛を嫌い、己の力を自由に振るうことを望んだ。つまりエキゾーストもまたジョニーからの制御を拒み、自由を得ようと牙を向いたのだろう。
しかし、その望みは到底叶えられるものではない。エキゾーストはゴーストライダーとは違い、罪なき人々を傷つける存在だ。そんなモノを自由にさせるわけにはいかない。
ジョニーはゴーストライダーだけでなくエキゾーストにも歩み寄ろうとしたが、2人の悪魔の性質は似て異なるもの。エキゾーストは自分とライダーのコピーではあるが、その存在はあってはならないものだ。その現実に気付いたジョニーは迷わずに、廃棄を決めた。何とかエキゾーストに跨ったジョニーはスタントショーで培ったスキルを駆使して、この暴走バイクのコントロールに成功、そのまま重機に向かって突っ込む…。
スクラップと化したエキゾーストを重機を使って掘り出した穴に埋め、その場を後にするジョニーとタリア。ジョニーはエキゾーストの制御には失敗したが、自分に宿るゴーストライダーという悪魔の本質を再認識することができた。今回の戦いでライダーが一度も姿を現さなかったのも、ジョニーに自分とエキゾーストとの違いに気付いて欲しかったからなのかもしれない(エキゾーストに入れ込むジョニーに嫉妬して拗ねていたわけではない、多分)。
コピー体に対する執着を捨てたことでライダーも満足したのか、タリアの車を運転するジョニーの体に熱が奔る。早く次の獲物を狩らせろ、そう促すライダーを抑えるジョニーだが、2人が戦う相手は幾度も拳を交えた兄弟になるのか…。