復讐の精霊生誕50周年を祝うサバトの第10幕!
自身の影エキゾースト、地獄の王子ブラックハート。悪しき者たちを打ち砕け!ゴーストライダー!
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【あらすじ】
シカゴの地の底で起きていた惨劇。地獄の王子ブラックハートの手下たちによる供宴。捕らえられた人間たちがサタンへの貢ぎ物へ、不条理かつ暴力的な仕打ちがジョニー・ブレイズの中に眠る復讐の精霊を呼び起こし、悪魔たちへの裁きが下ろうとしていた。
世界の調和を乱し、地上を手中に収めようとするブラックハート。奴に対抗できるのはジョニーとゴーストライダーだけ。最後に地上に立っているのはブラックハートか、それとも…?
【SHOWDOWN】
復讐の精霊ゴーストライダー、彼が世に放たれて50年を記念したこのアニバーサリーシリーズ。今回はそのアニバーサリーシリーズの節目と言える10号。そのためか1号から描かれてきた話の集大成、完結編と言える内容となっている。
ブラックハートと彼の眷属たちが起こした一連の事件。たくさんの人間を捕らえ、彼らを家畜としサタンへの供物とする。政界での重要人物や教会の神父といった者たちを次々に襲い、彼らに成り代わり地上の情勢をコントロールする。これらは全てゴーストライダーの“眼”が届かないように秘密裏に、かつ大胆に行ってきた。全てはブラックハートが地獄の王となり、ゴーストライダーへの復讐を果たすため。そのためなら世界の調和を乱すことも辞さない。ブラックハートの恐ろしさをまざまざと見せつけてくれる。
ゴーストライダーへの復讐。それはブラックハートにとっては至上の喜びだっただろう。これまでに散々煮え湯を飲まされてきた存在を遂に打ち倒せるのだから。そして復讐のやり方はサタン流の極悪なものでなければならない。ゴーストライダーとジョニー・ブレイズ、彼らの能力をコピーした“シャドウ・オブ・ヴェンジェンス”エキゾーストを生み出したのも彼らへの復讐の意思。ゴーストライダーの影であり、人々を傷つけることを喜びとするエキゾーストの存在こそがブラックハートなりの復讐なのだ。
シカゴで悪魔たち相手に無双するゴーストライダーの元に、エキゾーストを送り込んだのもブラックハートの差し金。今度こそ復讐の精霊を始末するために。
しかし、この復讐劇が一部の配下たちの離反を招いてしまう。地上に悪意をばら撒き、地獄の瘴気で満たす行為は地獄に余計な混乱を招くものだ。調和を是とするゼブと彼の賛同者たちがサタンに挑むが…。
犠牲になってきた人々の無念の意思がゴーストライダーの怒りに火を付け、彼の力をどんどん強くしていく。だがそれでもブラックハートの優位は揺るがない。サタンと呼ばれる悪魔は広大な領地と負の感情があればあるほど力が増す存在なのだ。いくらライダーが強くなってもブラックハートは更にその上を行く。ライダーだけではこの恐ろしい悪魔を倒すことは難しいだろう。ブラックハートの眷属であるエキゾーストが放つ噴煙がゴーストライダーを苦しめていく。
しかし、ゴーストライダーはひとりで戦っているのではない。復讐の精霊を身に宿すジョニー・ブレイズもまた悪魔たちの非道に怒りの炎を滾らせる。ブラックハートの邪な計画のために亡くなった家族の幻覚を見させられ、エキゾーストの種子を植え付けられ利用されたこの男の存在をブラックハートは軽視していた。悪魔は人間を簡単にひねりつぶせるが、その悪魔を打ち倒せるのもまた人間なのだ。
エキゾーストの放つガスを浴びて半狂乱となるタリアを正気に戻すことに成功したジョニーは、共にエキゾーストに立ち向かう。エキゾーストはゴーストライダーの影、ライダーで倒せない存在は自分が倒す。人間の力は舐めるとどうなるかを悪魔たちに見せつける時だ。
サタンが軽視し、侮っていた人間の力がそのサタンの野望を打ち砕く。
今シリーズでは人間たちはとにかく悪魔たちにやられっぱなしだっただけに、この展開は実に痛快だ。エキゾーストの猛攻を退き、ブラックハートの根城であるヘルズバックボーンに辿り着いたゴーストライダー。サタンの力だけでは二つの力に勝てるわけがなかったのだ。ゴーストライダーとジョニー・ブレイズが往く道を遮ることは誰にもできはしない。かくして地獄の王子が起こした事件も、遂に終わりを迎えることになったのだった。
ブラックハートは倒れたことでこれで一件落着、とはならない。サタンが倒れても奴が地上に蔓延させた瘴気はまだ残っている。その邪悪な気は罪なき人々を傷付けるものだ。地獄の置き土産は全て焼き尽くさなければならない。
大好物のコーヒー片手にしばしの休息を取り、英気を養った後はまた復讐のロードを走る。FBIを辞めたタリアやゼブを味方に付けたジョニーとゴーストライダーの戦いはまだ終わらない。