[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER(2006)#26

ダニー・ケッチ、叛心⁉

神の信徒なった男が向かう先に待ち受けるものは…。

 

 

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【あらすじ】

アメリカはテネシー州、グレートスモーキー山脈。アパラチア山脈の一部をなす鬱蒼とした木々が覆う広大な山々に朝日が登り、山脈の名の由来となった青白い霧が晴れていく。そんな中1つのコテージに近づく複数の影が。彼らは神の神託を受けた青年に率いられ、真っ直ぐに目標の場所まで歩みを進める。

青年の名はダニー・ケッチ。かつてはブルックリンにて悪党を裁く“復讐の精霊”ゴーストライダーとして活動していた男。しかし、今の彼はザドキエルの信徒となっていた。彼が神から与えられた使命、それはザドキエルの計画の障害となる者の排除だった。

ダニーが率いるのはブラックアウトをはじめとしたかつての敵たち。一方で、ダニーたちよりも前に件のコテージへと向かう修道女の姿があった。

【The Second Coming of DANIEL KETCH】

ルシファーからザドキエル、倒すべき敵を倒してもまた新たな敵が現れるという終わりのない復讐劇を繰り広げてきたジョニー・ブレイズ。いまや彼の頭は自分や罪なき人々の人生を弄んだ天使への復讐心でいっぱい。奴を倒すことができるのならどんなことでもやってのける。そんな覚悟を込めた拳を地獄の炎で覆い、数え切れない敵を打ち倒してきた。だが、ジョニーが戦えば戦うほど“復讐の精霊”が護るべき罪なき人々が犠牲となり、仇敵の居所も掴めずにいた。

その仇敵がジョニーの弟を使い、ジョニーの前に立ちはだかる。ダニー・ケッチ。姉の死をきっかけに自身の血に流れる“復讐の精霊”の呪いを発現させ、ゴーストライダーへと変身する力を得た男。彼は悪党や怪物たち、果てにはリリスやザラソスさらにはブラックハートといった地獄の悪魔との永遠に続くとも思える戦いを繰り広げてきた。そして戦いの中でジョニー・ブレイズやマイケル・バディリーノといったライバルたちと出会い、自身に憑依した“復讐の精霊”の正体や出生の秘密を知った。全ての戦いを終えたダニーはジョニーたちと別れ、ブルックリンへと帰っていった。その筈だった。

しかし、どういう経緯があったのかダニーはザドキエルの信徒となり、ジョニー・ブレイズの敵となってしまったのだ(ダニーが変貌した理由は後々に語られる。当ブログでもそのうち解説するかも)。しかも姉の仇であるブラックアウトや一度倒したデス・ニンジャやドッグヘッドといったヴィランたちを従えている。当時リアルタイムでこのシリーズを追っていたら間違いなく唖然としてしまう展開だろう。ブラックアウトにも「ヒーローさまが悪党と手を組むとは世も末だな」と皮肉を言われて悲痛の面持ちを浮かべるダニー。ダニーたちが向かうコテージにいるのは、かつての仲間であり師とも呼べる男。その男をダニーたちは消そうとしていたのだ。

コテージに迫るドッグヘッドの頭をショットガンで吹き飛ばし、男は堂々の啖呵を切る。ケアテイカーを自称する男は千年も前から化け物と戦ってきた怪物退治の専門家。ケアテイカーは侵入者の顔を見て、何か思うところがあったようだが…。

 

人の進入を阻む木々に囲まれたコテージの中は、“復讐の精霊”の戦いの記録と化け物を撃退する罠が仕掛けられていた。罠にかかり顔面(目)に釘板が突き刺さって悲鳴を上げるオーブに、ケアテイカーの放つショットガンの直撃を受けて絶命するデス・ニンジャ。老いを感じさせない孤軍奮闘ぷりを見せるケアテイカーだが、彼が肉体的にはただの人間である以上追い込まれるのは時間の問題だった。吸血鬼の血を引くブラックアウトの能力で視界を奪われ、武器も失ってしまう。それでも闘志は消えないケアテイカーは傷を負いながらも戦おうとする。そこに遅れてダニーが姿を現す。ダニーは(玉をスライスされたことで)怒るブラックアウトを諫め、ケアテイカーに向き合う。

ダニーはザドキエルからケアテイカーの抹殺を依頼されていた。ケアテイカーの知識や功績は天界には高く評価されており、ザドキエルが計画を成就するにはどうしても排除しなければならない存在だったのだ。そしてダニーにとってもケアテイカーの存在は許せなかった。貴方が教えてくれたことは全て噓だった、とダニーは怒りを込めて糾弾する。

“復讐の精霊”の根源とその価値をケアテイカーはダニーたちに伝えた。その教えの通り、ダニーはゴーストライダーとして罪なき人々を救ってきた。しかしその結果は護るべき者は護れず、自分の足元には悪党や怪物の死体が転がるのみという地獄絵図が広がるだけだった。絶望に沈むダニーをザドキエルは「救済」した。ダニーに価値を与えてくれたのだ。神を盲信することで救いを得ようとする仲間に、ケアテイカーは…。

ダニーの目を覚まさせようとするケアテイカー。お前に隠していたことなど何もない。人間として、そしてゴーストライダーとしてあるがままに生きて欲しい。その言葉に言葉を無くすダニー。だが、彼の目に宿る狂気の炎がケアテイカーの言葉を遮断してしまう。

 

ザドキエルの配下となったダニーが再登場し、しかもかつての敵たちを従えてケアテイカーを襲う。これ程にショッキングな展開はないだろう。90年代のライダー誌を読んで育った少年たちの希望をぶち壊すジェイソン・アーロンは恐ろしいライターだよ…。しかし、同時に燃える展開だともいえる。ゆっくりと下地を作り上げられていく2人のゴーストライダーの対決の舞台。その舞台が整うのにはまだ少し時間がかかるが。

修道女、シスターサラはある理由からケアテイカーのコテージに向かっていた。そこで偶然出会ったバイカー。ジョニー・ブレイズもまた天使が動きだしたことを察知したのか、ケアテイカーの元へ向かっていたのだ。ケアテイカーの元にダニーが現れたのと同じく、サラの前に現れたジョニー。この出会いもまた“神”の導きか。