復讐の精霊の生誕50周年を祝うサバトの16幕!
3人のゴーストライダーの前に現れるヒッチハイカー。顔をフードで隠す男が齎すのは、新たな復讐の戦いか。
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【あらすじ】
ジョニーとタリアが行動を共にするようになってから暫く経ったある日、雪の中タリアの愛車を走らせるジョニーの前にヒッチハイカーが現れる。顔をフードで隠した男の異様な風体に何か違和感を覚えるジョニーだったが、車に乗せることにした。
この男はジョニーの敵なのか、それとも?男はジョニーだけでなくロビー・レイエス、そしてダニー・ケッチの前にも現れていたようだが…。
【Give Oneself Away】
前号にて弟ダニーをインファナル・ラボの魔の手から救い出すことに成功したジョニー。今回はその後のジョニーの動向を描いたエピソードであり、同時にジョニー・ブレイズとダニー・ケッチ、そしてロビー・レイエスの3人のゴーストライダーたちの活躍を描いたある種のセルフクロスオーバーイベントだ。この3人のライダーは未だに3人揃ったことはなく(集合絵や幻覚、平行世界などでは他のライダーたちとも肩を並べているが)、カバーが公開された時は否が応でも期待を寄せたものだ。
今回の物語はそんなライダーたちの前に現れたヒッチハイカーを各々のマシンに乗せる場面から始まる。彼らは一様に異様な雰囲気の男に警戒をしながらも自分たちの名を名乗り、マシンを走らせる。ひと気のない通りを走らせるジョニーたちだが、その時彼らの体に異変が起こる。各々のマシンを運転している者がいつの間にか件のヒッチハイカーに代わっているのだ。ジョニーたちが認識する間も与えられずに起こった不可思議な現象。ヒッチハイカーは戸惑う素振りも見せずにマシンを操り、一直線に進み続ける。
突然の事態に混乱するジョニーたちだが、彼らが戸惑う要因はもう一つあった。男が背負っていた大型のバッグから独特な異臭を放っているのだ。3人が恐る恐るバッグを開けると、そこには無数の数の「人間の顔の皮」が詰め込まれていた。
男はジョニーたちがバッグを開けたこと察したのか、運転しながらフードを取りゆっくりと顔を向ける。その顔は皮を剥がされ、肉と骨が剥き出しになったグロテスクなもの。ジョニーたちに手を伸ばす男だが、ジョニーたちの顔も…。
男の手で「化けの皮を剝がされた」ゴーストライダーたちはマシンの主導権を奪い、男が向かっていた地へ走らせる。目的は当然、復讐を果たすため。ゴーストライダーが戦うのは何時だって復讐のため、男はライダーに復讐の代行をしてもらうためにジョニーたちの前に現れたのだ。ライダーたちが向かった先に待つのは人間の皮を剥ぎ、それを古代の神への供物とするカルト集団チャーチ・オブ・フレイドのアジト。男の正体はカルト集団のために犠牲となった人間たちの怨念の集合体なのか。アジトで行われていた凄惨な場を目の当たりにしたライダーたちは、怒りを爆発させる。こんなクソッタレな悪行がまかり通ると思ったら、大間違いだ。
ヒッチハイカーの思惑通りカルト集団は全員、地獄の炎に包まれ、灰になった。これで復讐は果たされた。しかし、男のやり方は些か強引なものだったと思う。早急に復讐を果たしたいのは分かるが、そのためにジョニーたちから“復讐の精霊”を剝ぎ取ったのはやりすぎだ。顔の「皮」を剥がされ、苦しむジョニーたちの姿はまるで男が味わった痛みをジョニーたちにも味あわせてやりたかったように見える。ゴーストライダーたちを再びその身に宿し、「化けの皮を被る」ジョニーたちだが、男の悪意を感じたのか、その表情は男への怒りに満ちていた。
ゴーストライダーたちがそれぞれの時間軸で、それぞれの舞台で共通の敵に立ち向かい、悪党たちを打ちのめす。管理人は3人のライダーが勢揃いして共闘する王道な展開になるものだと思っていただけに、今回のエピソードはちょっとがっかり。だが同時に3人の復讐に終わりはなく、続きを匂わせる展開には興奮したものだ。そしていつにも増してグロく怖い展開にゾッとした。
ダニー・ケッチはデスライダーへと姿を変え、ロビー・レイエスは異世界の狭間を駆け抜け、そしてジョニー・ブレイズはタリアと共に悪魔退治に明け暮れる。過去と現在、そして未来と、3人のライダーが往く復讐のロードに終わりはない。