[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER(2022)#15

復讐の精霊の生誕50周年を祝うサバトの15幕!

愛する者を取り戻したい想いのままに突き進んだ先に待ち受けるものは…。

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

ダニーを救うべくインファナル・ラボへ潜入するジョニーとタリア。そこでラボは突然、爆発。スピリット・オブ・コラプションの炎が包んだラボは瓦礫と化し、後には瀕死のダニーの姿が。

ダニーの命を繋ぐには、復讐の精霊が必要。そう断じたタリアの助言に従い、ジョニーは復讐の精霊を開放してディーユゥ博士が向かった地獄の門へ飛び込む。果たしてジョニーはディーユゥ博士が奪った復讐の炎を奪還して、弟を救うことができるのだろうか…。

例え博士の復讐にどんなに正当性があろうが、関係ない。
弟を救おうとする兄の想いに呼応するかのように、ゴーストライダーも目覚める。
【Dragged Out of Hell】

1人の家族を奪った悪魔への復讐心から始まった戦いが終わる。

ダニーに宿るスピリット・オブ・コラプションとヘルファイア、2つの地獄の力をアーマーに宿らせたディーユゥ博士は地獄へ足を踏み入れる。元々はスピリット・オブ・コラプションの力のみ利用した筈だったが、ダニーからヘルファイアまで奪ったことでアーマーは“復讐の精霊”を宿し、ヘルマシン化。ゴーストライダーの力を持ちながらも科学の力で制御した対悪魔用の最強の殺戮兵器となったアーマー、博士が求めていた成果が博士自身も思いもよらない形で得られたのだ。

博士が起動させたアーマーは2つの地獄の力を宿した。
しかし、その代償に職員は死に、ダニーも瀕死の重傷を負ってしまった。

地獄に乗り込んだ博士は己の復讐心を満たすべく地獄の悪鬼たちを駆逐していく。眼前に映る悪鬼を手当たり次第に殺戮していく博士だが、広大な地獄の大地を当てもなく彷徨っているわけではない。博士が目指すのは弟の魂が囚われた地。博士の復讐を終わらせるためには、弟を救うしかないのだ。

この復讐には決して正義などない、管理人はそう思う。ディーユゥ博士が家族を救いたいという思いに嘘偽りはないこと、家族を奪った悪魔への尽きることのない怒りの感情は理解できる。しかしそんな彼女の野心のために、ダニーは死にかけ、数え切れない人間たちが犠牲になった(地上に残っていた悪魔たちは知らん)。博士自身も自分の行為が人の道から外れていることは分かっている筈なのに、彼女は止まらなかった。己のエゴのために利用できるモノは何でも利用してきた、全ては復讐のためだと“言い訳”してきた。

彼女の復讐には正当性はないと判断した“スピリット・オブ・コラプション”は、アーマーから離れようとする。復讐に、言い訳など無用。純然たる復讐のためでなければ“復讐の精霊”は力を貸してはくれない。ディーユゥ博士は弟を救おうとしているが、そのためにジョニーの弟を犠牲にしようとしているのだから尚更だろう。

自分から離れようとする“復讐の精霊”を抑え込み、博士は目的の地に辿り着く。
串刺しにされた夥しい数の死体の山は、正直怖い。

待ち望んでいた弟との再会を果たす博士。しかし、家族との再会に気が緩んだのかそれとも“スピリット・オブ・コラプション”の怒りに触れたからか、“スピリット・オブ・コラプション”は自らアーマーを操り、引き裂き、博士の元を去ってしまう。いくら人間の科学力が優れていても、悪魔の力を完全に支配下に置くことは不可能だったのだ。独り異界に取り残されてしまった博士だが、そこに串刺しにされていた弟が博士に語りかける。

弟は地獄から姉の悪行を全て見ていた。自分を救うことを建前に多くの者たちの命を奪ってきた姉の罪は全て弟が引き受けていたのだろう。地獄に落とされた者は悪魔の手で体を引き裂かれ、串刺しにされる。己が生前に犯した罪の重さによって、その罰は重くなるそうだが弟の姿は見るも無残なものだった。これだけ痛めつけられれば、独り残された姉に“復讐”したくもなるのは当然だろう。状況を理解出来ず信じられないものを見るかのような姉に、串刺しにされた体を引き抜き、歩み寄る弟の姿はまさに鬼そのものだ。“復讐の精霊”は弟の復讐心を認めた。やはり、己のエゴを満たすための復讐に待つのは破滅だけなのだ。

 

家族を奪った憎き敵に制裁を与え、家族を救おうと自分にできることを成す。それ自体は管理人は悪いことだとは思わない。しかし、そのための手段だけは間違ってはいけない。ディーユゥ博士はその手段を間違ったために死んだ。反対にジョニーはただひたすらに弟を救おうと駆け抜けた。2人の違いを上げるとするならば、“復讐の意義”が理解できていたか否かということだろう。

ダニーのスピリット・オブ・コラプションを取り戻すべく地獄を駆けるライダー。
そこに件の魂からやってきた。「家に帰ろう、連れていってやるから」

ブラックハートが地上に残した地獄の瘴気に充てられ、活性化した悪魔たち。そんな悪魔たちを始末する旅から始まったこの「奪われた家族を取り戻す」ための戦いは、こうして幕を閉じた。正直どう物語が着地するのか見当も付かなかったが、蓋を開けてみると落としどころがしっかりとした結末でよかったと思う。今回描かれた地獄の風景も、ディーユゥ博士に合わせてか何処となくアジアンな感じで新鮮だった。

まあ、相変わらずマーベルはダニー・ケッチの扱いに困っているような気もしなくもないが。デスライダー単体で取り敢えずワンショットを作ればいいんじゃないかな?買うぞ。

“スピリット・オブ・コラプション”を体に宿したジョニーは地獄から帰還。
魂を移す“熱い”ハグのお陰で、ダニーは無事に息を吹き返したのだった。