[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDER: DANNY KETCH(2008)#1

蒼炎のゴーストライダーが如何にして生まれたのか。そのベールが暴かれる!

 

 

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[あらすじ]

ブルックリン。かつてのこの街の治安は悲惨なものだった。悪党がしのぎを削り、怒号と銃声が飛び交う街。そんな街で暮らす人々は悲痛の涙を流す者や、傍観の感情から頭を垂れる者に血を流す者と様々だった。

そんな無法地帯に彗星の如く現れた髑髏のバイカー、ゴーストライダー。地獄の炎を纏い、鎖を振るい、並みいる悪党共を血祭りに上げてきた彼は永き旅路の果てに己の出生の秘密を知り、そして故郷に帰ってきた。そこで彼を待ち受けていたのは、相も変わらず終わりの見えない復讐の戦い。

そんな毎日に疲れを感じていたダニー・ケッチは、己を注視する存在に気付いていなかった…。

夜が訪れたブルックリンは未だに危険な街だ。そんな街にある一件のバーで起きた乱闘騒ぎ。その騒動の渦中にダニーはいた。そして、その様子を一羽のカラスが覗いていた。この鳥はダニーの過去を知っている様子だが、果たして敵か味方か…。

[How Mighty Are Fallen]

“復讐の精霊”ゴーストライダー。地獄の悪魔と契約し、魂を明け渡したことで誕生した異色のダークヒーロー。彼の存在は多種多様の超人たちが跋扈するマーベルユニバースにおいて、唯一無二といって差し支えない強大なインパクトを残した。そして、彼は歴史上において1人だけではなく無数に存在した。そのうちの1人が二代目ゴーストライダー、ダニー・ケッチだ。

今シリーズはそんなダニーを主役としたミニシリーズ。ジェイソン・アーロンが描いたジョニー・ブレイズとザドキエルの先兵と化したダニーとの戦いにおいて、ダニーが何故ザドキエルに傅いたのかの理由と背景は明かされなかったが、今シリーズにて漸く明かされる。時系列はダニーが己に憑依していた“復讐の精霊”の正体がノーブル・ケイルだと知り、彼の力を利用しようと企む地獄王ブラックハートを撃退、ジョニーをはじめとした仲間たちと別れた後となる。

先述のバーでの騒動は酔いつぶれた荒くれものたちとダニーが起こしたもの、正確に言えばダニーが喧嘩を吹っ掛けたものだった。元々は気の弱い臆病な青年だったダニーだが、復讐のロードを駆け抜けているうちに何時しか好戦的な様子を見せるようになっていた。悪党が拳を振り上げれば返す刀で蹴りを入れ、ナイフを見せればギラギラした目で笑みを浮かべる。こういった危うい一面はジョニーにも似たところがあるが、やはり似た者兄弟。しかし、ダニーが粗暴な振る舞いを見せる裏で抱える思いはその様とは真逆の弱い感情だった。

終わりの見えない復讐のロードを奔る切っ掛けとなった姉バーバラや母との死別。自分が救いを見出した“復讐の精霊”の正体と己の血に刻まれた忌まわしき呪い。それらは重い十字架となって容赦なくダニーを圧し潰そうとしていた。こんなことをいつまで繰り返すのか、もう逃げ出してしまいたい。その一心でダニーは自身の血に流れる悪魔の呪いを浄化すべく、超常現象の専門家であるマリー・レボウに救いの手を伸ばした。しかし、今度は今までとは逆に、彼女に「力」を取り戻したいと泣きながら懇願してしまう。一度でも「復讐」の虜となれば簡単には抜け出せない。自らの意志で捨てながらも、再び求めてしまうのも無理もない。どこか自分と似た「もの」を感じさせる女と出会えば尚更だろう。

ダニーがバーで出会った女、ショバ・ミルザはダニーの心の奥にしまっていた葛藤を見抜いた。彼女に己の浅はかさを指摘されたダニーは、子供のようにマリーに泣きついてしまう。このダメ男め。そんな男だからこそ惹かれる女もいるんだよな、ステイシー婦警?

 

姿を消したミルザを追って夜の街並みを愛車を走らせるダニー。だが、彼は気付いていなかった。自分に救いを齎すのは女たちではないことを。「贈り物」をくれたのは人語を解する一羽のカラス、レイヴンだ。

レイヴンが授けたのはダニーが求めた「力」。再びライダーへ変身できたことに喜ぶダニーだが、纏う炎の色は「赤」ではなく「黒」。これはいったい…。

その炎はダニーが変身したゴーストライダーが不完全であることを如実に表している。常人を遥かに超える耐久力と戦闘力はあるものの、ペナンス・ステアといった必殺技を発動できないのだ。おまけにライダーの姿を維持できる時間も短いときた。ギャングに絡まれ、迎え撃つライダーをレイヴンはじっと見つめていた。

彼が自身の計画に必要な「駒」足りうるのか、“復讐の精霊”の真価と共に見極めるために。

歓喜に震え、「力」を振るうダニー。そんな彼をレイヴンはあくまでも冷静にかつ尊大に観察していた。ダニーは新たに得た「力」を使いこなすことができるのか。