ホブゴブリンを追え!
攫われたダニーの母を救うべく奔走するゴーストライダーだが…。
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【あらすじ】
人間は神に救いを求め、悪魔は人間に血を求める。
教会を襲撃したホブゴブリンはダニーの母を攫い、ゴーストライダーやスパイダーマンからの追撃を振り切ってしまう。眼前で罪なき人が危険な目に合う事態にゴーストライダーは激怒し、ゴブリンを殺すつもりで追跡を開始する。だが、例え相手が悪人であろうとも殺人を良しとはしないスパイダーマンや、依然としてライダーを危険視するジョニーには非難されてしまう。こんな状態で母を取り戻すことができるのだろうか...。
【復讐の意志】
ダニーとライダーにとって最も恐れていたことになった。2人が恐れていたこと、それは身近にいる家族が危険な事態に直面すること。これまでもヴィランの手でダニーに近しい者が殺され、傷つけられたことはあったが家族には危害は加えられていなかった。復讐の精霊としての強大な力を振るい戦うダニーとライダーにとって家族は何よりも大事で、守らなければならない存在だ。それはダニーが復讐の精霊を憑依させたあの事件で倒れ、そして殺された姉を思えばこそ。あの時の悲劇は繰り返させない。2人はバーバラの墓前でそう誓ったのだ。
だが、その誓いも崩れようとしていた。リンボの悪魔への生贄を求めるホブゴブリンに母は攫われてしまった。ゴブリンを追うライダーだが姿を見失ってしまい、焦りからか闇雲に探そうとしてしまう。大切な者を奪った憎き敵に死を、ホブゴブリンの殺害の意志を固めるライダーはヘルサイクルを走らせる。
そんなゴーストライダーの姿はヒーローのそれかどうか、判別は難しい。少なくとも殺人を良しとはしないスパイダーマンや、復讐の精霊を危険視するジョニーにはそうは思えなかったようだ。スパイダーマンには手を組めないと見切りを付けられてしまい、ジョニーからも落ち着くよう諭されてしまう。復讐の精霊が力を振るうのは殺人のためではなく、罪なき人々の怒りと哀しみを罪人にぶつける代行のためだ。かつてライダーがパニッシャーに問いかけた戦う目的、復讐か殺人か、がそのままライダーにも返ってきたのだ。ホブゴブリンへの怒りは収まらない、だがホブゴブリンに最も復讐したいのはダニーの方だ。そう判断したライダーは変身を解き、一旦ダニーにゴブリンを追うのを任せることに。
ライダーからバトンを渡されたダニーは、ジョニーの制止も聞かずにバイクを走らせる。チンピラやギャングが集うバーに殴り込んでゴブリンのアジトを聞き出そうとするダニーには、昔の気弱だった頃の面影はない。急がなければ母は殺されてしまう、強迫観念に迫られるダニーをジョニーには止められない。ゴブリンらしき悪党が街中の教会を根城にしていることを聞き出した2人は、途中で合流したスパイダーマンと共にホブゴブリンの下へ向かう。罪なき人を救うために、そして復讐するために。
ダニーの意志と覚悟は身体に流れる血と身体を動かす肉を燃やし、ゴーストライダーへと姿を変える。ダニーとライダーの繋がりが強くなるほどにライダーは強くなる。その力は今まさに母を殺そうとしていたホブゴブリンを止めるには充分なものだった。儀式を邪魔されたと怒りを見せ、抵抗するゴブリンだがその怒りの炎もライダーの炎には遠く及ばない。ゴブリンにトドメを刺そうするライダーだが、そこをスパイダーマンに止められてしまう。自分の前で殺人はダメだ、そう叫ぶスパイダーマンだがライダーは引かない。ライダーの意思は変えられないことを悟ったスパイダーマンはダニーの母を連れてジョニーと共に教会を脱出する。
スパイダーマンが頑なに殺人をさせないようにしたのは、ピーターがかつて味わった悲劇からのトラウマからくるものだ。例え悪党であっても殺すことはできない。ホブゴブリンの正体を知っているのだから尚更だ。そんなスパイダーマンも最終的には己の信念を譲り、ライダーの意思を尊重した。ライダーが戦う理由は殺人ではないことを理解してくれたから。
ライダー諸共にホブゴブリンを包んだヘルファイアの爆発は教会を吹き飛ばし、更地に変える。だが、ここまでやってもホブゴブリンは死ななかった。悪魔をその身に宿す男は簡単には死なないのだ。しかし、それはライダーも同じだ。ライダーが放った鎖の一撃とスパイダーマンのウェブが、そしてジョニーのショットガンから放たれたヘルファイアがしぶとく襲い掛かったホブゴブリンを打ち倒す。今度こそ本当にホブゴブリンは倒れたのだった。
復讐を果たしたライダーにはもう戦う理由はない。倒れたゴブリンを運ぶスパイダーマンを止めることはしなかった。だが、母に迫り来る悪鬼の魔手は退けられたわけではなかった...。