山頂に聳えるハンターたちの根城に突入するパニッシャー!
冷たい風が吹きすさび、死人が闊歩する山脈は復讐の炎に包まれる!
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【あらすじ】
ヘンリー・ルッソが突き止めた仇敵ロベルト・ヘルズガードらハンターたちの根城はアメリカから遠く離れたヨーロッパ、アルプス山脈にある古城だった。おいそれとは近づけない険しい山々は身を隠すのにうってつけであったということか。
情報を得たパニッシャーはレギオン・オブ・モンスターズの協力を断り、ただ1人、ヘルズガードの打倒とモービウスの救出をするべく敵の本拠地へ向かう。己の業が招いた悪夢を背負いながら…。
【ウォーキング・デッド】
前号にてヘルズガードの出生と、モンスターを憎む理由を知ったパニッシャーはヘルズガードへの復讐心を募らせながらも、あるシンパシーを感じ取っていた。処刑人“パニッシャー”として活動を続けてきたフランク・キャッスルが戦う理由は、ヘルズガード同様“復讐心”から来るものだから。家族をモンスターに殺されたのか、マフィアに殺されたのかの違いはあるが、2人の男が歩んできた復讐のロードは非常に似通っている。家族を殺害した実行犯であろうがそうでなかろうが、自分にとっての“悪”は全てが抹殺対象であり、それは自らが異能を身に付けようとも、異形になろうとも決して変わらないからだ。そう直観で感じ取ったパニッシャーが見たものは、先述した通りの妻子を焼き殺した悪夢。
己が戦う理由のためならばどんなに非情なことでもやれる。ヘンリーにもモンスターたちにも打ち明けられない苦悩を抱えたまま、パニッシャーは1人でヘルズガードが座するアルプスへ向かう。自分もヘルズガードと大差ないクソ野郎なのだ、と自嘲しながら。
フランケンシュタインの怪物と化したパニッシャーがドラゴンを駆り、そして空を飛ぶトカゲの背にガトリングガンを乗せて古城に蔓延る侍たちを蹴散らす。何ともダイナミックな展開に脳が震え、思わず虚無りそうになるが、身体に流れるアドレナリンが沸騰するかのような高揚感を与えてくれる。
パニッシャーの襲撃に侍たちは成す術もなく、吹き飛ばされる。いくら身体を機械で置き換え強化しようとも、高性能な武器を装備しても彼らではパニッシャーの敵にはならない。しかし、慌てふためく侍たちを他所にヘルズガードは余裕な態度を崩さない。ヘルズガードにはパニッシャーが来ることは分かっていた。自分と同じ復讐鬼の目をした男は必ず自分の元にやってくる、ならば相応の準備をしなければならない。モービウスから奪い取ったブラッドジェムを機械の体に収納し、パワーアップしたヘルズガードはドラゴンを失い地上戦を展開するパニッシャーに向けて強力なビームを放つ。そのビームはブラッドジェム由来の超自然的なパワーを持ち、ヘルズガードの意思に従ってアルプスの分厚い雪の下に埋まっていたナチスやソビエトの兵士たちをゾンビとして蘇らせる。新鮮な血と肉を求め、狂乱状態のゾンビたちは死人であるパニッシャーに牙を向ける。だが、パニッシャーはこんなものでは怯まない。侍の次はゾンビか、上等だよ。
襲い来るゾンビたちを次々と銃弾で穴だらけにし、大型ナイフで切り伏せながら古城への進撃を続けるパニッシャー。恐ろしいゾンビたちがフランケンシュタインの怪物1人相手に手も足も出ない、この事態に古城に立て籠る侍たちは恐怖する。古城の正面の門まで近付いたパニッシャーに向けて大砲の一撃を加えるものの、そこにパニッシャーの姿はなく、あるのは破壊された門からわらわらと入ってくるゾンビの群れ。ゾンビに喰われていく侍たちは仲間を置いて城内へと逃げようとするものの、既に城内へ続く門扉は先回りしていたパニッシャーに塞がれてしまった。逃げ場を失った侍たちはパニッシャーに助けを求めるが、当然パニッシャーは聞く耳を持たない。生きたまま肉を食いちぎられ、貪られる痛みから絶叫を上げる侍たちにパニッシャーはただただ冷たく、怒りに満ちた目を向けるのみ。城内に残る侍の残党も残らず抹殺していくパニッシャーの姿は生前のそれとなんら変わらない。やはりパニッシャーの居場所は戦場にしかないか。