闇の勢力との戦い、終結。
闇夜を照らす太陽となれ、ミッドナイトサンズ!
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【あらすじ】
アミュール・トーカーの正体は魔女アガサ・ハークネスのかつての弟子コリーナだった。コリーナは自分を見捨てた師に復讐すべく、虎視眈々と機会を伺ってきた。そしてアガサが教鞭を振るうストレンジ・アカデミーに通う学生に目を付け、彼女をアガサの目の前で“闇”に落とし、師が如何に無力かを見せつけようというのだ。
ゾーイにヒーローたちが自分たちの手で全滅する未来を見せ、絶望させようとしている中、ヴァルトの世界に囚われて打つ手がないミッドナイトサンズ、そしてアガサはこの状況を打開できるのだろうか...。
【無力な者と繋がる心を持つ者】
アミュール・トーカーとなり果てたコリーナは憎き師であるアガサを殺さず、アガサの眼前でゾーイを鏡の向こうにある自分の世界に攫う。そこに広がるのはミッドナイトサンズやストレンジ・アカデミーの教師たちが敗れ、屍を晒す世界。地上は荒廃し、空は漆黒に染まるその光景は幼いゾーイを絶望に追いやるには十分なものだった。闇の存在である出自を偽り、人間たちに混じって暮らしてもアミュール・トーカーと大差ない存在なのではないか、ゾーイの心の光に陰りが生じてしまう。
かつての弟子の凶行により心を壊されようとする生徒を救おうと語りかけるアガサだが、アミュール・トーカーとなり果てたコリーナに阻まれる。過去に犯した過ちが再現されようとするのをアガサ1人では防げない。
だが、生徒を救おうとしているのはアガサだけではない。ゾーイが見た幻の中で起きた沢山の人間の、魂の死を感じ取り苦しむクシャラが原因を探るべく幻の世界の自分の死体に憑依し、駆け付けたのだ。アミュール・トーカーの攻撃に晒されるアガサらをスピリットライダーに変身し、地獄の鎖で応戦する。しかし、アミュール・トーカーの師への怨念が齎すパワーは凄まじく、復讐の精霊であっても彼女を止めることは叶わず、闇の魔術で消し飛ばされてしまう。普通ならここで詰みだろう。ゴーストライダーでも勝てない程に、コリーナの闇は深く、強大なのだから。
それでもヒーローというものは、悪には決して負けないのだ。それが力の無い子供を狙うというのなら尚更だ。消滅する寸前にクシャラが語った召喚儀式をアガサとゾーイ、そして生き残っていたニコの手で執り行う。クシャラたちミッドナイトサンズはヴァルトの世界に取り残され、鏡の世界には近づけない。だが、この鏡の世界はゾーイが体験した過去と、これから体験する“であろう”未来を映すマジックアイテム。つまり、ゾーイが望む未来を映す鏡でもあるのだ。ヒーローの登場を強く望むゾーイの意志をアガサとニコが魔術で強化し、鏡に訴えかける。
闇の存在との戦いで一番重要なものは力の強さでも強力な武器ではない、心の強さだ。直接対抗できる力がなくとも立ち向かうことができる、他人を信じることができる芯の強さを持つ者が暗闇を照らすことができるのだ。
ゾーイの願いを聞き入れた鏡に映るのは歴史が変わった未来、地上に現れたアミュール・トーカーを迎え撃つミッドナイトサンズだ。ダークディメンションで得たアーマーに身を包む彼らの攻撃はアミュール・トーカーとその僕たちを圧倒。孤独に生き、復讐心のみを糧にしてきたアミュール・トーカーも抵抗を続けるものの、もはや彼女にヒーローたちの猛攻を退けることは不可能だった。
アミュール・トーカーがゾーイに近付いたのは、少女に自分と近しいものを感じたから、闇の存在の正体を隠して生きてきた無力な子供である彼女ならば御しやすく、アガサへの当てつけとして適任だと考えてのことだった。だが、ゾーイはコリーナとは違う。その違いを見破ることが出来なかった彼女は追い詰められ、遂には憎き師の刃にかかることになる。
闇の存在である自らの正体を突きつけられながらも仲間のために戦うことができたゾーイや、杖を失いながらも生徒を護るべく戦意を奮い立たせたニコ、力が衰えながらも己の罪と向き合おうと戦ったアガサ。そして師を信じることができず、闇に魅入られていったコリーナ。この「ミッドナイトサンズ」誌はそんな彼女らの活躍をメインに描き、心の強さの重要性を問うストーリーだった。心の影に忍び寄る闇と向き合い、如何に照らすのか。そんな問いかけがされているようだ。初代ミッドナイトサンズとは趣きがだいぶ違うメンバーや作風に戸惑うことはあったが、テーマは一貫として「人々を脅かす闇への抵抗」だったこともあり最終的には楽しむことができた。
ミッドナイトサンズは今回で最終号となったが、また彼らの活躍が見たいものだ。