[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

キャラクター:“復讐の精霊”ザラソスて何者?

我はザラソス、我は“力”なり!

というわけで、今回はゴーストライダー誌ではお馴染みのキャラクターであるザラソスについての解説をしていこうと思う。

当ブログでは管理人の最推しヒーローであるゴーストライダーの活躍を紹介しているが、ゴーストライダーの力の起源であるザラソスについてはあまり触れていなかった(理由をぶっちゃけると、後付け設定のオンパレードなキャラクターなだけに触れるのが面倒だった)。とはいえ、あまり触れていないのもどうかと思い始めてきたのでここで解説していこうというわけだ。

まずはザラソスの能力。「オリジナル・ゴーストライダー」とも呼ばれる彼は、ライダーと同じ炎に包まれた髑髏の怪人であり、姿もライダーのそれとよく似ている。ライダーが持つ能力も全て備え、さらには気候を操作したり岩盤を隆起させるといった森羅万象に干渉する魔術を行使することができる。ペナンス・ステアといった特殊な技は披露していないが、そんな「小技」に頼る必要がないくらいにザラソスは強いのだ。その強さはゴーストライダーとの一対一の戦いであれば完勝し、「ミッドナイトサンズ」の総攻撃をもいなし返り討ちにしてしまう程。

欠点を上げるなら自分の強大な能力を過信する傾向があるために足元を掬われることが多々あること、そしてよく言えば純粋悪く言えば単純な思考が災いしてサタンクラスの悪魔には知恵比べで負けてしまうこと。ナイトメアやリリスといった悪魔たちに言いくるめられるだけでなく、ロクサーヌ・ブレイズといったただの人間にまで乗せられてしまう辺りどうもオツムはよろしくない傾向がある(この場合はロクサーヌが凄いのかもしれないが)。

 

次にザラソスの生い立ち。太古の時代から生き続ける悪魔であるザラソスだが、彼は最初から悪魔だったわけではない。その正体は人間の神に対する信仰と畏敬が混ざり合った精神体。実写映画「ゴーストライダー2(原題:GHOST RIDER:Spirit of Vengence)」ではザラソスは悪魔へと堕天した天使として登場したが、コミックでは少々異なるのだ。

ある部族が信仰の対象として髑髏の像に呪術を施し、炎を纏う魔人と化したザラソス。部族の長は多くの生贄を“神”に与え、ザラソスは生贄の魂に刻まれた負の感情貪った結果、ザラソスの威光を掲げた部族は他の部族を制圧し強大な国家へと成長した。しかし、ザラソスの力に地獄の王であるサタンが警戒する。特にヒトの魂の強さに着目するメフィストにとってはザラソスの存在は脅威であり、同時に利用するに値するものだった。やがて部族の儀式に介入したメフィストの手でザラソスは倒され、彼の悪魔の所有物として囚われてしまうことになった。

部族の繁栄を願った“神”への儀式は、1人の男の恋心を弄んだ悪魔の姦計のために台無しになった。“神”は倒され、部族も歴史の闇へと消えていった。

そうして地獄に囚われてしまったザラソスは長い年月を経て、養父の延命をサタンに願ったジョニー・ブレイズの体にサタンの手で憑依させられる。ゴーストライダーとして戦い続けるジョニーの中で徐々に意識が目覚めていったザラソスは、自由を得るためにジョニーの体の乗っ取りを画策する。しかし、体を渡すまいと抵抗するジョニーとのいざこざの末にザラソスはソウルクリスタルに封じ込められてしまった。

ここまでが70年代のゴーストライダー誌で語られたザラソスのオリジンだ。ライダーが初登場した時はザラソスのザの字も出て来ず、彼が登場したのはゴーストライダー誌の終盤も終盤という存在からして既に後付けな悪魔。だが、このザラソスの存在が後々のエピソードに欠かせなくなるのだから面白い。

90年代になってゴーストライダーが再びマーベルユニバースに登場すると、ナイトメアやリリスといった悪魔たちがこぞってザラソスの力を求め、そしてザラソスの危険性を知るジョニーやドクターストレンジがライダーの前に立ちはだかった。

90年代に語られたザラソスのエピソードはこちらから↓

 

lagia.hatenablog.com

 

その中でザラソスのオリジンに設定が加えられた。それがケアテイカーとの因縁、そしてザラソスの力が封じ込められたメダリオンの存在だ。

数千年も昔、部族に発見される以前のザラソスは「ブラッド」のメンバーだったケアテイカーと死闘を演じた。ケアテイカーは仲間の“復讐の精霊”の犠牲を引き換えにザラソスを撃退、その戦いで生じた彼の魔人の一部の力と“復讐の精霊”の力を「力のメダリオン」に封じ込めた。だが、件のメダリオンは人間には制御できない程のパワーを秘めており「ブラッド」はメダリオンを2つに分割。「ブラッド」が見出したある2つの家系にメダリオンを託し、管理させた。その家系を見守っていたのがケアテイカーであり、2つの家系の子孫がジョニー・ブレイズとダニー・ケッチの2人。

「力のメダリオン」はソウルクリスタルから復活を遂げたザラソスを打倒する手段として登場し、ザラソスもまたこのメダリオンに封じ込められた自身の力を取り戻すべくダニーたち「ミッドナイトサンズ」に戦いを挑んだのだった。

 

スペックは高いのになんだか負けてばかりで情けないザラソスだが、彼の立ち位置を考えるとこの扱いは仕方がないとも言える。ザラソスはヒーローたちが絶対に勝たないと話が進まないボスキャラクターであり、彼の敗北によって物語が成り立つなのだから(スー〇ーマ〇オシリーズのク〇パしかりソニ〇クシリーズのドクター・エッ〇マンしかり)。

そうして敗北を重ねるにつれて、ザラソスが戦う理由も次第に変化していく。与えられた使命を果たすべくひたすらにヒトの魂を貪ってきたザラソス。魂を喰らい、自身の力と変えていく姿に信仰と畏怖を以て崇拝された彼だったが、メフィストリリスといった強大な権力者に利用されていく中で何者にも縛られずにあるがままに生きることを望むようになったのだ。己の意思で生き、己の使命を果たす。「自由」を求めて戦うザラソスだが、彼自身が持つ力がザラソスの自由を阻む。

だが、それでもザラソスは己の望みを果たすことを諦めらめられなかった。故に彼は2000年以降、再び自分の宿主となったジョニーに対して彼が往くべき“復讐の精霊”のロードを指し示す。体を乗っ取ることが叶わないのならば、宿主を自分が望むように動かすよう方針を変えたのだった。

ジョニーの夢の中で、或いはジョニーが見る鏡に現れるザラソス。“復讐の精霊”の使命から逃げようとすると待ったをかけるザラソスに、ジョニーのフラストレーションは溜まるばかりだが次第にジョニーも諦めたのかこれを受け入れてしまった。馴れって恐ろしい。逆に“復讐の精霊”の使命に前向きな宿主の1人であるアレハンドラ・ジョーンズに対しては、こういった「荒療治」は行ってなかったりする。

 

こういった背景があるために、ザラソスは地獄の悪魔や天界の天使といった自分を利用しようと企む者たちや、宿主の行動にちょっかいをかける存在を嫌う。メフィストから地獄王の立場を喜々として奪ったり、ジョニーに言い寄るタリア・ウォーロードを締め上げたりとここ数年はちょっと(?)面倒くさい一面も顔を出すようになった。20221211223900

「ジョニーにお前は必要ない。奴に必要なのは我だけだ!」タリアに釘を刺すザラソスだが、結局言いくるめられてしまう。案外お人好しな悪魔なのかもしれない。

 

ヒトの手で生み出され、ヒトの意思で生きる道を定められ、悪魔や天使に己の在り方を弄ばれてきたザラソス。そんな中でもザラソスは懸命に己の使命を果たさんと戦い続ける。真の自由をその手に掴むまで、ザラソスと彼の宿主の戦いに終わりはないのだ。