ようこそ、悪夢の世界へ!
ゴーストライダーの秘密を知る悪魔はダニーとライダーに何を齎す?
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【あらすじ】
今日も今日とて悪夢を見るダニー。だが、その悪夢の内容はいつもとは違った。ダニーがいる場所はいつもの夥しい髑髏の山ではなく、見慣れない奇妙な世界だった。その世界の名はドリームワールド。人間が見る夢と直結するこの世界の支配者である悪魔ナイトメアがダニーに復讐の精霊の秘密を教えると囁く。
そして、この悪魔の囁きは現実世界でも影響を与える。アジトに向かうゾディアックを見つけ出し、追跡をかけるゴーストライダーだったが気付けば眼前に広がるのはドリームワールドに。しかも何故かダニーと分離した姿で。
ライダーを“ザラソス”と呼ぶナイトメア、彼の悪魔がゴーストライダーとダニーを自身の世界に呼び寄せたのはある理由があったのだ…。
【SLEEPE NO MORE】
燃え盛る骸骨頭にレザージャケットを纏い、これまた燃え盛るバイクで夜の街を駆け抜け、罪なき人々の無念を晴らすべく戦い続けるゴーストライダー。このゴーストライダーの別名がスピリット・オブ・ヴェンジェンス“復讐の精霊”だ。そしてこの復讐の精霊にはもう一つの名前がある。それがザラソス、幾世紀にも渡る人々の復讐心が凝縮した恐ろしい古代の魔人。
そのザラソスとかつて契約を結び、契約執行を迫るためにダニーの前に現れたのがドリームワールドの支配者であるナイトメアだ。ザラソス、ナイトメア。70年代のゴーストライダー誌の登場人物たちが表舞台に登場することで、この90年代の物語とリンクしていったのは後々のゴーストライダー誌にも大きな影響を与えたのは言うまでもないだろう。
依然としてゴーストライダーへの力に依存し、恋人や母親との隔たりを作ってしまう悪循環を続けるダニー・ケッチ。彼は自分がゴーストライダーの力を求めれば求めるほど悪夢を見るようになっていた。寝ても覚めても続く悪夢、人殺しと復讐の終わらない戦いはダニーの精神をどんどん追い詰めていた。その弱った精神に悪魔は簡単に付け入る。今回ナイトメアがダニーの前に現れたのもそれが原因だろう。
そんなダニーと突然の事態に困惑気味なライダーを前にナイトメアが語るゴーストライダーの秘密。それは先述したゴーストライダーのもう一つの名前ザラソスに関してだった。幾世紀もの昔、炎の魔人として人々から恐れられ、敬われたザラソスはその力を危険視し、同時に利用することを目論んだ地獄王メフィストと戦い敗北。ザラソスはメフィストの傀儡として操られることになり、ジョニー・ブレイズに憑依させられゴーストライダーとなった。やがて自我を取り戻したザラソスはジョニーの身体を乗っ取り、自由を得ようと地獄王への反逆を企てた。
その反逆に手を貸したのがナイトメアだった。とある事件にて瀕死のジョニーの夢の中に現れたナイトメアは、ザラソスにジョニーを見捨てて自分に協力すれば自由を与えると約束した。その口約束を鵜吞みにしたザラソスはジョニーを見殺しにして身体を乗っ取った。結果的にこの計画は失敗したが、ナイトメアは未だに諦めていなかったのだ。ゴーストライダーの強大な力を手に入れ、利用するために。
しかし、当のゴーストライダーはナイトメアの提案を拒否。自分は復讐の精霊、ザラソスではないと毅然とした態度で言い返す。自由などいらない、罪人のために罪なき人々が血を流すのなら、その無念を晴らすことこそが自分の使命。
ナイトメアは知らないことだったが、ナイトメア当人がザラソスと呼んだライダーには復活する前の記憶が一切なかった。故にいくらザラソスの偉業を語られてもピンとこないし、むしろそんな悪魔と自分が同一視されることに怒りを露にする。記憶がなく、自分のアイデンティティに悩むライダーだが、悪しき存在ではないと否定したのだ。そして同じく怒りを見せるのはダニーだ。自分が頼り、歩みを寄せていた存在が邪悪な存在だと聞かされたら怒るのは当然だ。
一方的に契約を破棄されたことで怒り心頭のナイトメアの猛攻を凌ぎきり、ダニーとライダーは再び合体。共に力を合わせてドリームワールドからの脱出を果たすのだった。
復讐の精霊、ザラソス。この古代の魔人の存在が後のダニーとライダーの行く末を決めるのはまだ先の話。ダニーとライダーはもう少しだけ悪夢という名のロードを走らなければならない。そして、もう邪魔者はいない。今度こそゾディアックへの復讐を果たす時だ。