[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GHOST RIDER(1990)#18

人の不幸を食い物にするのは許さない。

絶望に沈む者を救う術は復讐にあるのか?

 

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

スパイダーマンとジョニー・ブレイズと協力してホブゴブリンを倒し、攫われた母の救出に成功したダニーとゴーストライダー。ライダーたちの活躍を見て、暫くは監視の必要はないと判断したジョニーはダニーと別れ、家族の元へ帰っていった。だが、ダニーとゴーストライダーの戦いはまだ終わっていない。娘を失った悲しみから救いを求めた母に再び脅威が迫ろうとしていたのだ...。

ダニーとライダー、2人で1人のヒーローの活躍を讃え別れるジョニーを見送るダニー。
ダニーがジョニーと再び出会うのは暫く経ってからだ。
【SAVE】

前号、そして前々号にてホブゴブリンに攫われた母フランシスを奪い返すべく奔走し、無事に救出することに成功したダニーとライダー。母を危険に晒したホブゴブリンの抹殺も思いとどまり、殺人を犯すこともなく復讐を果たすこともできたことで、ジョニーにも取り敢えずは認めてもらえたことで煩わしかった監視の目も無くなった。これでダニーとライダーの物語は終わり、とはならない。姉であるバーバラの墓前で誓った“復讐の精霊”の使命を果たすために、犯罪が横行するブルックリンで戦い続けなければならないのだ。

そして、その戦いは再び母を危険に晒すことになってしまう。

ダニーはバーバラを失った悲しみに暮れながらも、ライダーと共に少しずつ前に進もうとしていた。しかし、共に走る相棒がいない母にはそれができない。故に母は悲しみから立ち直ることができず、塞ぎこむようになってしまった。かつての明るさも微塵も感じさせず失意と絶望に暮れる彼女は、やがて救いの道を“神”に求めるようになった。息子であるダニーに対しては何とか気丈に振る舞おうと努力する彼女だったが、既に母の精神は限界であったことをダニーは知ってしまった。その弱り切った心の隙間に悪の魔の手は忍び寄ってくるのだ。

バーバラの写真を抱え泣き崩れる母の元を訪ねてきたのは、先日のインチキ神父の一味。
ダニーは追い払おうとするが、母は息子を諫めてしまう。娘が生き返る幻想にとり憑かれてしまったのだ。

母は神に救いを求め、やがて街の外れにある教会に通うようになっていた。その教会の神父は死人を生き返らせることで、愛する者を失った悲しみから救うことができると吹聴してきたが、それはインチキであることは既にダニーに暴かれていたばかりだ。にもかかわらず神父は再び信者という名の生贄を集めようとしていた。ダニーの妨害やホブゴブリンの襲撃でミサを台無しにされながらも生き延びた牧師は、彼の主に命令されるままに行動を起こしたのだ。

夜の闇に包まれる教会に集うフランシスをはじめとした生贄たち。彼らは全員、神父が語るキレイごとに惑わされて集められた哀れな者たちだ。先日の一件で神父には死人を生き返らせることなどできないことが分かった筈なのに、ホイホイ着いてきてしまったのはそれだけ彼らも追い詰められて正気ではいられなかったからなのかもしれない。暗闇に包まれた教会の奥へ1人、また1人と信者たちが入っていく。そして夜空に木霊する絶叫と共に血が流れ、みんな帰ってこない。彼らは悪魔に魅入られた生贄なのだから。

そうしていよいよフランシスの番、となったところで母を止めるべくダニーが駆けつける。神父の欺瞞と正体と、彼が起こした惨状を目の当たりにして怒りに燃えるダニーはゴーストライダーへと変身する。

母が殺される寸前にライダーへ変身し、神父に襲い掛かる。
既に神父の配下には復讐を果たした。後はコイツだけだ。

ライダーに襲われながらも、自らの正当性を主張し続ける神父。彼は彼が主と仰ぐ男から異形の力を与えられ、その力を行使するために多くの血を必要とした。全ては主が完全な力を取り戻し、街に住む全ての人々に救いを与えるためなのだ、という。

だが、そんな救いは紛い物に過ぎない。神父が語る“救い”で救われる者は誰もいない、救われるのは自らのエゴのために力を振るう神父だけだろう。欺瞞に溢れ、そして自らの所業を悪びれもしない男にライダーとダニーの怒りは更に激しく燃え上がる。抵抗する神父が振るう悪魔の腕を払いのけ、ひたすらに拳を浴びせる。ライダーが放つ拳の一撃は簡単に硬い壁だろうがアスファルトだろうが穴を開ける程に強力、それを生身の人間相手に振るうのは偏にライダーが“復讐の精霊”だからだ。この拳の1つ1つが、神父のために犠牲となった者たちの怒りと無念を込めているのだ。

全てが終わり、ダニーの母を“救い”出すことができたライダー。
失意に暮れるフランシスに語りかけるライダーの言葉は優しかった。

悪夢のような事件の翌日、バーバラの私室を片付け始めるダニーとフランシス。娘を失った悲しみも、一度は抱いた希望が噓っぱちだったことに対する絶望は簡単には癒えない。それでも、少しずつでも、前に進むしかない。唯一の息子であるダニーが、母と共に歩んでいくだろう。

復讐の戦いは、犠牲者の怒りと悲しみと無念の思いを込めて戦うものだ。
ダニーとライダーの戦いは、そういうものなのだ。