[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GHOST RIDER(1990)#7

サイコキラースケアクロウ登場!

復讐心に囚われた男たちが、それぞれが果たしたい復讐に向けて動き出す…。

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

ブルックリンの精神病棟から1人の犯罪者が脱走した。元軽業師で案山子のコスチュームを身に纏う殺人鬼スケアクロウことエベネザー・ラフトンは、自身を逮捕したキャプテンアメリカに対するリベンジと万人に巣食う“恐ろしいもの”を解き放つ為に殺人を侵す。老若男女問わずに命を奪うスケアクロウを止める為に、ダニーが彼の後を追う。

しかし、ダニー、そしてライダーにはある悩みがあった。そして彼らの悩みに付け入るように悲劇が起きようとしていた…。

ブルックリンで起きていた親子の惨殺事件の犯人はスケアクロウだった。
狂気に蝕まれたエベネザーの精神はどんどん歪んでいく。
【復讐の果てに】

復讐の精霊ゴーストライダーに変身する能力を持つダニー・ケッチは悩んでいた。

いやさ彼には人には言えない悩みが多すぎた。あの時、姉バーバラが撃たれたあの日の夜にダニーはゴーストライダーへの変身能力と、不思議な力を持つバイクを手に入れた。ゴーストライダーの力はダニーには制御できないものだった。罪のない誰かが血を流せば、ライダーはダニーの身体の主導権を奪って悪党を倒してきた。ダニーは何度もこの力を捨てようとするが、犯罪に塗れるブルックリンではそれは許されない。

一時期はこの力を前向きに受け入れようともしたが、毎晩のように戦い続けていれば精神も疲弊するものだ。力を捨てたくても捨てることは出来ない、母親にも恋人にも打つ開けられない悩みがダニーを追い詰めていく。

一方で、ゴーストライダーも悩みを抱えていた。

自分は何者なのか、何故人々の為に戦い復讐を求めるのか。あの夜、ダニー・ケッチの身体に宿り、復活を果たすまでの記憶も何も持たない彼は答えの出ない己の存在意義に苦悩する。ライダーの悩みもまた誰にも打ち明けられないもの。ライダーもダニーと同様に追い詰められていた。

「復讐を」「罰を与える」スラスラと言葉が出る自分に苦悩する。
私は何者なのだ?

ヒーローたちが悩みを抱えたまま戦うのに対して、今回のメインヴィランであるスケアクロウには一切の悩みはない。純粋なまでの殺意と狂気、“親”への愛憎をぶつけるようにスケアクロウは殺人を重ねる。復讐を、誰かに傷付けられたなら倍返しで痛みをぶつけてやる。復讐の精霊が自分自身に疑問を抱いてしまったら悪党を倒すことはできない。一度は捕らえたスケアクロウにまんまと逃げられてしまう。

スケアクロウの持ち味である軟体ボディを活かして排水溝から逃げ出す。
硬度0!スネークボディ!

そして、スケアクロウと同様に自身の復讐心に悩みなど持たないのは、以前ゴーストライダーと戦って苦い敗北を味わい、顔面が醜く焼け爛れてしまったブラックアウトだ。

ブラックアウトはデスウォッチの元を離れてから、ひたすらにライダーへの復讐を願い、行動を起こしてきた。そして件の墓場での抗争でライダーが現れたことを知り、生存者の情報からゴーストライダーこそがダニー・ケッチであることを知ってしまう。

ブラックアウトは意地が悪く、残忍な男だ。

ゴーストライダーへの直接的な攻撃では倒すことは難しい、ならば精神的に奴を追い詰めてやる、そう考えた彼はダニーにとって最も大事な存在を奪うことにしたのだ。自分は顔と人生を奪われた、お前にもそれ相応の対価を払ってもらう。なんて奴だ…。

意識が戻らず、真っ暗な病室に眠るバーバラに忍び寄るブラックアウト。そして…。

 

最愛の姉が何者かに殺された。

泣き崩れる母、悲しみに暮れる恋人や友人たちから姉の死を聞かされたダニーが抱いた感情は自身に対する激しい怒りだった。あの時に姉を引き留めていればこんなことにはならかった、ゴーストライダーの力を姉の為に役立てようと思ってもうまくいかなかった、いくら強い力を持っていても最愛の人を助けることもできなかった。

もはやダニーには悩みはない。復讐を。姉を奪った畜生に罰を与える、ダニーの怒りの炎がゴーストライダーの力を強くする。再びブルックリンに現れたスケアクロウを追い詰めていくライダーだが、彼の意識は未だに苦悩に満ちていた。

ダニーの怒りが何故自分にも伝わり、己を強くするのか。復讐とは、罰と何なのか。

ライダーの“眼”から逃れるように、自ら死を選んだスケアクロウを俯瞰するライダーの顔は暗い。

ダニー・ケッチ、ゴーストライダースケアクロウ、ブラックアウト。4人がそれぞれが果たすべき目的(復讐)を見つけ、各々のやり方でそれを果たそうと藻掻く姿は実にドラマチックだ。復讐心は誰の心にもある。ヒーローにもヴィランにも、善悪問わずに存在する悪意にどう向き合い、折り合いを付けるのか。

復讐の精霊としての自分に悩むゴーストライダーと、ゴーストライダーとして戦う決意を姉の墓前に誓うダニー・ケッチ。二つの魂が復讐を果たす時に何があるのか。

あの夜の舞台となった墓場に眠る姉を見送るダニー。
ダニーの苦難に満ちた戦いは、ここから始まるのだ。