[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:PUNISHER(2009)#16

パニッシャーVSヘルズガード、決着!

最後に立っている復讐鬼はどっちだ!?

 

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

モンスターとハンターたちの戦いはまもなく終わろうとしていた。ハンターの根城に突入し、多くのサムライとゾンビを血祭に上げたパニッシャーは囚われていたモービウスとマンフィビアンを救出する。後は仇敵であるヘルズガードを倒すだけ。だがヘルズガードは強く、怪物の体を得たパニッシャーでも苦戦を強いられる。

それでも諦めるわけにはいかない。必ず復讐は果たす。パニッシャーとヘルズガード、復讐心に囚われる両者の意地と意地のぶつかり合いに倒れたモンスターたちにも闘志を燃やす...。

ヘルズガードは子供たちの命を奪った。絶対に許せない相手だ。
窮地に陥るパニッシャーの援護に入ったマンフィビアンだったが…。
【AVENGE】

パニッシャーとヘルズガードの死闘はヘルズガードが優勢だ。対モンスター用の専用パワードスーツに身を包んだベテランハンターにパニッシャーの拳は当たらず避けられてしまう。更にブラッドジェムを使ってスーツの機能をブーストしたヘルズガードにはフランケンシュタインの怪物となったパニッシャーは大苦戦。いくら怪物の体を得たといってもパニッシャーは生身のまま、ヘルズガードが放つ一撃は確実にパニッシャーの肉体を傷つけていき、パニッシャーの攻撃は有効打にはならない。それでも戦うことを止めないパニッシャーをヘルズガードは「お前は誤った」と嘲笑う。モンスターは絶対的な「悪」であり、人間のために戦う自分にこそ「義」があるのだと嘯くヘルズガード。かつて家族をモンスターの手で奪われ、憎悪と怨嗟の意志で戦ってきた男は勝ち誇る。

しかし、ヘルズガードが語る善悪の概念は独りよがりなものだ。ヘルズガードの家族の命を奪われたのは70年以上も前の話。現代に生きるモンスターたちには関係ない話だ。そんな男のために子供たちは殺された、そしてパニッシャーもそこに加わろうというのか、そんな理不尽な話は許されない。怒りに燃えるマンフィビアンはパニッシャーたちの戦いに割って入り、ヘルズガードに立ち向かう。だがマンフィビアンは手負いの身、ヘルズガードには手も足も出ず打ちのめされてしまう。それでも闘志は衰えない、そして後に続く者に意志を託す。復讐を果たせ、そしてあのクソ野郎に報復を、と。

銃口を突きつけられたマンフィビアンは、パニッシャーに己の意志を託した。
そんなマンフィビアンを撃ち殺し、彼らモンスターたちの死は無意味なものだと侮辱するヘルズガードにパニッシャーの怒りの火は燃え上がる。

たとえ身体が引きちぎられようとも、血反吐を吐こうともパニッシャーは戦いは止めない。それは生前の頃と何も変わらない戦闘スタイルだ。妻子を奪われた痛みと哀しみ、そして怒りの感情がパニッシャーを突き動かす。パニッシャーの戦いは復讐心に基づく血みどろの戦い、そこに“仇討ち”の考えは無いのではないかと管理人は思う。本当に妻子を殺した犯人だけを復讐をするだけなら、とっくにパニッシャーは“フランク・キャッスル“に戻っていた筈だ。なのにそうしなかったのは仇討ちではなく、弱い者たちを虐げる「悪」そのものに対して憎悪の感情を向けたからだろう。だからモンスターたちはパニッシャーに力を貸して欲しいと頼み、後を託すのだ。パニッシャーが憎む「悪」とモンスターたちが憎む「悪」は同じものだから。

モンスターたちの意志を蔑み、頭を吹き飛ばし息絶えたマンフィビアンをリンボに繋いだゲートに放り投げるヘルズガードは、まさにパニッシャーたちが憎む「悪」そのものだ。ヘルズガードはかつてはフランク同様に弱い存在であったが、力を付けるに連れて復讐心は歪み、他者を傷つけるだけの怨霊になり果てたのだ。そんな男にこれ以上好きにさせるわけにはいかない。マンフィビアンの意志を受け継いだパニッシャーはヘルズガードごとリンボに飛び込み、決戦に挑む。

地獄の炎に包まれ、火山が噴火するリンボはまるで2人の殺意を表しているかのよう。
赤々とした辺獄で復讐鬼たちの殴り合いが繰り広げられる。

ボロボロになりながらも挑むパニッシャーをヘルズガードは再び嘲笑する。人間の身でありながらモンスターたちの味方をする愚か者、本来ならば敵対する筈の悪しきモンスターに生き返らされたお前などモンスターにも劣る、と。だが、本当の「悪」は果たしてどちらだろうか。戦いに敗北したのが悪ならば、パニッシャーに追い詰められ、そして不死身の肉体を持つマンフィビアンの逆襲を受けパワードスーツを破壊されてブラッドジェムを奪還されたヘルズガードこそ、「悪」だろう。

 

武器を失ったヘルズガードにはもはや戦う力は残されていない。無様に命乞いをしながらも己が掲げた「義」は人間たちのためだったと涙ながらに語るヘルズガードに、殺意を乗せて爪を向けるマンフィビアンだったが、パニッシャーが止めに入る。ヘルズガードの境遇を知り、そして抱いた憎悪の念を理解できるパニッシャーにはこのミイラ同然の身体になりながらも戦い続けた男を始末することはできなかった。

そんなヘルズガードを「化け物め」と一蹴するマンフィビアンと、残っていたサムライたちを蹴散らしてリンボに駆け付けたモービウスの手を借りて地上に帰還するパニッシャー。こうして1人の復讐鬼が起こした70年以上に渡って続いた戦いは、もう一人の復讐鬼が与えた慈悲によって終わりを迎えた。しかし、地上に帰還したそのもう一人の復讐鬼には別の戦いが控えていたのだった...。

パニッシャーが与えた慈悲は同情から来るものか、それとも...。
異形と成り果てても戦うことを止めなかった姿は、パニッシャーが辿る未来を暗示しているのかもしれない。