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アメコミ:PUNISHER(2009)#14

復讐鬼の相手もまた、復讐鬼。

パニッシャーが垣間見るはヘルズガードとモンスターたちの因縁。

 

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

モンスター・メトロポリスへ侵攻し、多くのモンスターたちの命とブラッドジェムを奪った侍たちの首領、ロベルト・ヘルズガード。憎き敵への復讐の意志を抱くパニッシャーは、敵の詳細を知るべく地上にいる協力者をモンスター・メトロポリスに招く。

そこでパニッシャーたちが知ったのは、数世紀にも渡るハンターとモンスターとの因縁だった。

パニッシャーが招いた協力者は、H.A.M.M.E.Rの追撃から逃げおおせたヘンリーだった。
今のフランクが頼れるのは、一度は突き放したこの男しかいない。
【怨念】

ヘンリー・ルッソというパニッシャーにとっては心強い味方が加入したモンスター・メトロポリス。モンスターたちからすればヘンリーは忌むべき人間であるが、今はそんなことは言っていられない。ヘンリーは類まれなる情報収集能力を駆使、パニッシャーの“椅子の男”として、彼を支えてきた。変わり果てた姿になった相棒に驚きながらも、生きてくれていたことに喜ぶヘンリーは間違いなく本シリーズでの癒しだろう。

さて、そんなヘンリーを迎えて始まった今回の内容は、血で血を洗うような凄惨かつ豪快なバトルで盛り上げた前号と打って変わり、今回は敵の正体を暴く静かなもの。しかし、ヘンリーが見つけた情報にはヘルズガードがモンスターを憎む理由がまざまざと記されていた。

1898年、ドイツはシュヴァルツヴァルトこと黒い森にある小さな村にヘルズガードは妻子と共に貴族として過ごしていた。雪が降りしきる夜、馬車に乗って愛する家族が待つ家に帰ろうとしていたヘルズガードは、そこで無残な姿で殺されていた住人を発見する。何人もの住人が横たわり、彼らの死体はまるで何かの獣に喰われていたようだった。

雪が降る夜の村で起きた連続殺人。
老若男女問わず、皆殺しにされた現場にヘルズガードは凍りつく。

ただ事ではないと判断したヘルズガードは、すぐさまに妻子が待つ家に駆けこむが、家の中はテーブルや棚といった家財が全て破壊され、荒らされていた。まるで巨大な“何か”が暴れたかのようだ。妻子と家族の安否を心配し、彼らの名前を叫ぶヘルズガード。だが、そこには物言わぬ骸となった家族の姿が。打ちひしがれるヘルズガードだが、そこに“何か”の正体である狼人間が現れる。そう、住人と家族を食い殺したのはこの狼人間だったのだ。襲い掛かったきた狼人間にヘルズガード咄嗟にナイフを手に取って応戦する。そうして、ナイフは狼人間の心臓を貫いた。

狼人間の弱点の1つに銀が上げられるが、ヘルズガードが刺してしまったナイフもまた銀でできていた。そして狼人間は人間の姿へと戻っていく。それはヘルズガードが愛する妻のそれだった。妻を手にかけてしまった現実にヘルズガードは涙を流し、息を引き取った妻への贖罪を語る。そして、同時に自分たちの幸せな日常を奪ったモンスターへの激しい憎悪の炎を燃え上がらせていた。

それからのヘルズガードの人生はモンスターへの復讐に捧げられていた。モンスターハンターを生業とするブラッドストーン家の家督であるユリシーズ・ブラッドストーンとの出会いを皮切りに、あらゆるモンスターたちを狩ることに喜びを見出すようになっていた。

全ては愛する家族を奪ったことへの復讐のために。

ユリシーズと共同で対モンスター用のパワードスーツを開発し、別の世界の技術を取り入れて強くなるためにゲートを開発したのも、そのためだ。だが、ヘルズガードの目論見は吸血鬼の王であるドラキュラの手で頓挫してしまう。地獄の1つであるリンボへと繋がったゲートに放り込まれ、生きながらも死んだ身となったヘルズガード。だが、ヘルズガードは意地と執念が成せる業か、自我を保ち、復讐の機会を狙っていたのだ。顔の肉が削げ落ち骸骨になろうが、髪が抜け落ち醜悪な姿になろうとも、それが70年も経とうとも関係ないのだ。ヘルズガードはモンスターへの絶えることのない怨念を糧に、生き永らえていたのだ。

 

そうして月日は流れ、遠く離れた地にある日本に巨大なモンスターたちが頻繫に現れるようになった。日本を拠点とするヤマトを筆頭に科学者たちは科学の粋を結集させ、巨大スーパーロボットを開発し、さらには自分たちの体を戦闘用に改造し、侍を名乗っていく。それもこれもリンボから連れてきたヘルズガードが培った技術のお陰だ。

かくして日本に巣食うモンスターたちは、侍とヘルズガードの手で駆逐された。次に狙いを定めたのが、ニューヨークの地下にあるモンスターハンターメトロポリスだったということだったのだ。

ヘルズガードが齎した技術は、モンスターと戦う力を与えた。
ロボットがどっかで見たことあるデザインな気がするが、多分気のせいだ(すっとぼけ)。

 

ヘルズガードの過去の記録を知ったパニッシャーとモンスターたち。ヘルズガードにはヘルズガードなりの戦う理由があることは分かった。しかし、だからといって黙って殺されるわけにはいかない。ヘルズガードの家族が失われた原因に、現代のモンスターたちは何も関係ないのだ。憤るウェアウルフ・バイ・ナイトを諌めながらもリビングマミーも怒りを隠せない。そして、ヘルズガードへの復讐心を抱くパニッシャーもまた、同様だ。だが、パニッシャーとヘルズガードはよく似ていると思う。絶えることのない復讐の意志は異形の姿となっても残り続けてきた。では、2人の復讐鬼に違う点があるなら、それは一体何なのか。答えはいずれ分かるだろう…。

優秀な椅子の男が怨敵が根城にしている古城の場所を突き止めた。
後は、向かうだけだ。