[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:PUNISHER:IN THE BLOOD#4

囚われの身となり、屈辱を味わされるパニッシャー

ジグソーを倒す鍵を握るのは、ヘンリーだけだが…。

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

友人を信じたために、また騙された。ヘンリーに銃を向けたにも関わらず、引き金を引けなかったフランクを待っていたのは、ジグソーによる“マリア・キャッスル”を懐柔していく様を見させられる拷問だった。鎖に繋がれ、暗い密室に閉じ込められたフランクには手出しができず、只々、妻が宿敵の仕掛けた罠に堕ちていく様をモニターで見ることしかできなかった。フランクの胸中にはジグソーへの怒りと、マリアへの悔いが渦巻いていた。

一方、父が自分に向けられる愛情と宿敵への憎悪の2つの感情を目の当たりにしたヘンリーに、1つの決断を迫られることになる。父か友人か、迷うヘンリーが選ぶ道は…。

酒に酔い、ジグソーたちとの“お楽しみ”に興じるマリア。
こんなもん見せられたらフランクじゃなくてもブチ切れるわ(NTRでは抜けn)。
【Strike Back】

冒頭で割ととんでもない展開で始まった今号、青少年のなんかが心配になるが、ジグソーが“これ”をやったのには理由がある。その理由は端的に言えば、パニッシャーへの復讐だ。ジグソーことビリー・ルッソは自慢の美貌をパニッシャーに傷つけられ、継ぎ接ぎだらけの顔となった。それと同時にマフィアとして築き上げてきた名誉も財産も全て台無しになり、残っていたのは人生を奪ったパニッシャーへの憎悪の感情だけだった。以来、幾度となくジグソーはパニッシャーの前に現れ、戦いを挑んだがパニッシャーには敗れていった。

そうしてジグソーは気付いた。正面から挑むだけでなく、姦計を用いるべきなのだと。故にジグソーは誰の目に触れることなく、パニッシャーの動向を追い続け、宿敵の行動パターンと弱点を洗いざらい調べてきた。その中で元マイクロチップであるリーバーマンと袂を分かったこと、フランクが自らの手で妻子を焼き殺したことを知ったジグソーはこの2つの事件を、自分の復讐に利用することにした。一見では冷徹・鋭利な振る舞いを見せるフランクだが、その実とても情に篤い男。フランクの内面を知っていたジグソーにとっては、フランクを自分の思うままに行動させ、罠に嵌めることなど訳はなかったのだ。そうしたら、後は自分の顔を傷つけた宿敵に逆襲するだけだ。宿敵の妻を堕とし、かつての仲間と同じ牢屋に閉じ込め、苦痛を味あわせる。ジグソーの計画は順調に進んでいた。

ジグソーとスチュアート、そしてリーバーマン。3人からの悪意に晒されるパニッシャー
だが、リーバーマンパニッシャーに会わせたのはミスチョイスだったな。

鎖に繋げられながらも、ジグソーたち悪党への殺意を昂らせていたパニッシャー。そんな彼を嘲笑うジグソーだが、リーバーマンパニッシャーを糾弾する。そこまでして戦うのに、何故俺の家族を殺したのか、と。リーバーマンの家族もフランクの妻子と共に蘇る筈だったのだが、フランクの手で全て灰と化してしまった。燃え尽きていく家族の骸を抱き、膝を堕とすリーバーマンの中にはフランクへの憎しみしかなかった。故にリーバーマンもまた、ジグソーと同様に復讐を果たそうとした。独力ではフランクに勝てないのなら、たとえ外道に堕ちてでも奴を倒す。狂気に支配されたリーバーマンは、フランクが最も恐れる手段を取った。フランクの妻マリアをジグソーに売ったのだ。

真実を知ったフランクは躊躇うことなくリーバーマンを殺害した。最早リーバーマンは、フランクの“マイクロチップ”ではない。喉元をナイフで切られ、血に染まるリーバーマンを見下ろすフランクの目は冷たく、怒りの炎で燃えていた。かつてのパニッシャーの相棒は、悪魔に魂を売り、再び地獄に落ちたのだった。

リーバーマンが余計なことを口走ったために、ジグソーの計画は狂い始めた。パニッシャーは牢獄から脱出し、パニッシャーを亡き者にせんと逸るスチュアートと“マリア”の手綱を握ることが困難な状況に陥っていたのだ。そんなジグソーが頼り、護ろうとするのは当然、息子のヘンリーだ。ヘンリーの“有用性”を誰よりも認めているからこそ、ジグソーは彼をモニター室に残し、パニッシャーを追う。

しかし、当のヘンリーの心は既にジグソーから離れていた。父の本性を垣間見た今、やはりどうあっても友人を裏切ることは、ヘンリーにはできなかったのだ。ジグソーの目が離れた隙に倉庫内のシステムを乗っ取り、サポートする。それが今のヘンリーにできるせめてもの罪滅ぼしだった。そして、ヘンリーの行動が窮地に立たされていたパニッシャーの救いとなるのだった。

“マリア”の憎しみを受け、フランクは自ら殺されようとする。
だが、その女はマリアではない。マリアに成りすました殺人者なのだ。
真実を突き止めたヘンリーは友を救うために叫ぶが、その背後にスチュアートが迫っていた。

 

ジグソーが仕組んだ罠は一瞬にして崩壊した。リーバーマンが余計なことを言ったまでだったらまだ修正できたかもしれないが、ヘンリーが離れてしまったのは大きい。だからこそ、ヘンリーには自分の元に帰ってきてもらわなければならない。パニッシャーを倒すために。そして息子を護るために。

スチュアートの凶刃に襲われるヘンリーを救い出したジグソーは、躊躇うことなく相棒を撃ち殺した。ヘンリーはアンタが思っている程に優れてなんかいない、と血を流しながら言い放つスチュアートだったが、ジグソーはそれを否定しなかった。確かにスチュアートの言う通りだろう、だがそれがどうしたと言うのだ。息子を護るのは、いつだって父親だなのだ。息子を傷つける奴は誰であろうと許さない。傷つけていいのは、自分だけなのから。

目の前で起こった惨状に絶句するヘンリーを見下ろすジグソーの顔は、まさに悪魔のそれだ。ヘンリーを救うために急いでくれ、パニッシャー

“マリア”を殺し、残るはジグソーのみ。
父親同士の最後の戦いが始まろうとしていた。