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アメコミ:FRANKEN‐CASTLE#21

犯罪者を狩り、“リスト”を埋めていくパニッシャー

フランケン・キャッスルと姿が変わってでも突き進んだ先に待つ結末とは…。

 

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

ダケンとの死闘を勝ち抜いたパニッシャー。彼はヘンリーの勧めで遠い離島へとやってきていた。激しい戦いの末にボロボロになっていた心と体を癒すために、犯罪者との戦いとは無縁の地であるモンスター・アイランド。渋々といった面持ちで島内を散策するパニッシャーだったが、突然消息を絶ってしまう。

フランク・キャッスルの身に何かあったのではないか。パニッシャーの容態を危惧するヘンリーとレギオン・オブ・モンスターズは彼の跡を追うが…。

パニッシャーが足を踏み入れたのは、怪物たちの楽園。
侍たちの脅威が去り、再び豊かになったこの孤島はフランクに安らぎを与えてくれるのか。
【離別】

モンスターたちの手でこの世に蘇ったフランク・キャッスル。彼はモンスターたちを守るために、そして憎き犯罪者たちを残らず抹殺するためにずっと戦い続けてきた。人ならざる者となっても、体内に異質な魔石を植え付けられても、フランクが元来から持つ怒りの炎は絶えず燃え滾ってきた。むしろその炎は逆境の中で更に勢いを増していくようだった。ヘルズガードにダケンと、パニッシャーの前に立ち塞がった悪党たちはその炎の前に全て倒された。しかし、その炎は肉体的にも精神的にも限界を迎えていたパニッシャーを疲弊させてしまった。十分な施術を施されないままに蘇ってしまったことで錯乱した精神を繋ぐために安定剤を服用し、今度はブラッドジェムのオカルトパワーで強化することでフランクは何とかパニッシャーとして命を永らえてきたのだ。

そろそろ休息をとらなければ本当に死んでしまうと、ヘンリーが考えるもの無理はない。戦いがない地で安らかな時を過ごし、十分に休んだらリストを埋める「作業」に戻る。これが一番理想的な考えだろうが、フランクはヘンリーの思惑を無視して通信機を壊し、行方をくらます。

パニッシャーの安否を確認するためにモンスター・アイランドに乗り込むモービウスにウェアウルフ・バイ・ナイト、リビングマミー、マンシング、マンフィビアンたちレギオン・オブ・モンスターズ。彼らにとってはパニッシャーは仲間であるのと同時に命の恩人なのだ。何も言わぬままモンスター・メトロポリスを離れたパニッシャーに頭を悩まされてはいたものの、捨て置くわけにはいかない。モンスターたちは侍たちとの戦いの末に結束を高め、生き残ろうとしていたのだろう。だが、レギオン・オブ・モンスターズに同行してモンスター・アイランドにやってきたエルサ・ブラッドストーンは彼らの思惑とは違った。モンスターハンターであり、同時にブラッドジェムの正式な持ち主である彼女はパニッシャーを危険視していた。

パニッシャーもダケンたちと同じく、ブラッドジェムの輝きに魅了され暴走しているのではないか、と。

はたして、エルサの予感は的中していた。パニッシャーが放つ殺意はモンスターたちにも向けられてしまっていたのだ…。

ブラッドジェムの力の賜物か、パニッシャーは生前の姿に戻っていた。
肉体と精神を全盛期の状態に戻したパニッシャーは、戦意を研ぎ澄ませていた。

あの頃と変わりなく、全ての罪人を殺す。フランケン・キャッスルとなっても変わらなかったケツイに、ブラッドジェムは応えた。パニッシャーを元の姿に戻し、その上で彼の戦闘力を高めていた。その影響かパニッシャーの頭の中はタガが外れたのか、増幅された殺意が促すのか、自身の前に立つあらゆる脅威を排除する思考に憑りつかれてしまっていたのだ。眼前に映る者は全て敵、自身の源となっていたブラッドジェムを奪おうとする者も全て敵、それは延いては世界から犯罪者を一掃することに繋がる。狂気に支配されたパニッシャーの眼光は怪しく光っていた。

全ては世界のために、そして亡き妻と子供たちのためだ。
倒したモンスターの血を拭うパニッシャーが正気ではないのは明らかだった。

こうなっては、パニッシャーを発見したレギオン・オブ・モンスターズを敵視するのは当然の結果だろう。あくまでもパニッシャーは自分たちの仲間だと接し、落ち着かせようとするマンフィビアンたちだが、彼らをパニッシャーは突き放す。そしてそんなパニッシャーからブラッドジェムを取り上げようと銃撃を放ったエルサの存在が決定的となり、パニッシャーもまたレギオン・オブ・モンスターズを排除しようとする。

共に死線をくぐり、仇敵を打倒し、確かに築いた絆をフランクは捨ててしまったのだ。勿論、エルサに黙ってブラッドジェムをパニッシャーに植え付けたモンスターたちも悪いし、ブラッドジェムを取り返そうと血気に逸るエルサを止められなかったモンスターたちも悪い。しかし、いずれも一線を越えてしまったフランクの行動を正当化する理由にはならないだろう。

エルサを守るために戦う道を選んだジャック、あくまでも「友よ」と呼びかけるリビングマミー。
しかし、彼らの思いとパニッシャーのそれはもはや平行線にあった。

 

パニッシャーの死と再生。衝撃的な展開の連続が続いた今シリーズだったが、まさか終着がこんな形になるとは思ってもいなかった。結局パニッシャーはどこまでも行っても、孤高であり、孤独なのだと思い知らされる。しかし同時にパニッシャーはフランク・キャッスルという1人の人間だ。仲間と呼べる者たちとの親交を大事にしたいと考えたのは嘘ではないし、リビングマミーに狂気に支配された自身の在り方を糾弾された際に思いとどまる様子を見せたのも、フランクの人間性を感じさせる。

結局ブラッドジェムをエルサたちに返したパニッシャーは仲間たちに背を向け、モンスター・アイランドを去っていく。自分の往く道と彼らの道はもう交わらない。袂を分かったパニッシャーを見送るモンスターたちのそれぞれの表情が印象深い。

こうして「フランケン・キャッスル」は終わった。しかし、「パニッシャー」の戦いは終わらない。犯罪者を残らず抹殺する、ケツイが陰ることは決してないのだから。

モンスターは地下へ潜り、自分は再び地上へ。
完全復活したパニッシャーがニューヨークに帰ってきたのだ。