[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:FRANKEN‐CASTLE#20

フランケン・キャッスルvsダーク・ウルヴァリン、完結!

ウルヴァリンを交えた戦場で最後に立っているのは誰だ!?

 

前回はこちらから↓

 

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【あらすじ】

フランケン・キャッスルと化したパニッシャーとの死闘の末に追いつめられ、命を奪われようとしていたダケン。しかし、そこに我が子を救おうと駆け付けたウルヴァリンに救われる。しかし、忌み嫌う父に救われたことでプライドを傷つけられたダケンはウルヴァリンが差し伸べた手を振り払ってしまう。

激情に駆られ、パニッシャーの体内からブラッドジェムを奪い取ったダケンは増幅された殺意を周囲の一般人にも向け始める。このきかん坊を止めるにはやはり命を奪うしかない。

超人たちが起こした乱闘騒ぎに駆け付けた警官たちに襲い掛かるダケン。
これを止めるには伝家の宝刀“ひき逃げアタック”を繰り出さなければなるまい。
【Conclusion】

前号、そしてダーク・ウルヴァリン誌とで描かれたパニッシャーとダケン、2人の超人たちの死闘もいよいよクライマックス。戦いの最中に、パニッシャーをけん制しつつ息子を救おうとするウルヴァリンの乱入という予想外の出来事が起こったが、これにより2人の戦意は最高潮に達した。

パニッシャーにとってウルヴァリンはこれまで何度も敵対し、そして同じくらいに手を組んで脅威に立ち向かってきた相手だ。ウルヴァリンがどんな奴なのかは分かっているし、ダケンを救おうとするのは只々息子だから、というシンプルな理由だというのも理解している。しかし、ダケンは数え切れない程の命を奪ってきた悪漢だ。息子の悪行を知りつつもそこから目を背けるウルヴァリンの姿に、パニッシャーは憤りを覚えてしまう。自分もかつては二児の父であり、そして己の在り方を守るために蘇った子供たちを手にかけたパニッシャーとってはウルヴァリンのことを許せない気持ちと責められない気持ちで半々だったことだろう。憤りをダケンにぶつけたくのも無理はない。

そして、当のダケンにはこの展開は屈辱以外の何者でもなかった。ダケンは父親であるウルヴァリンを憎みながら育ってきた。自分と母を日本に捨て、のうのうと生きている父親に対して抱いた殺意はダケンの力となり、同時に彼が抱いてきた“渇き”の原因だった。そんな父親が自分を救いに来た。自分は憎い父親の手を借りなければ、目の前の敵一人を倒すこともできないのか。ささくれ立った心が焦燥と憎悪の感情に飲まれるのも当然だ。

そうしてダケンは、パニッシャーの戦闘力の源となっていたブラッドジェムを奪い取った。持ち主の感情を増幅し、力を高める魔石を取り込めば憎い父親もウザったいパニッシャーも纏めて始末することなんて簡単、とダケンは考えていたのだ。

ブラッドジェムが放つ輝きに充てられてか、ダケンの狂暴性はますます増していく。
身体能力と生命力が極限まで高まり、前述のひき逃げアタックをも耐えきり暴れまわる姿にヘンリーも絶句するしかない。

怒りの感情に飲まれ、半ば暴走気味に暴れ回るダケン。目をぎらつかせ、口元を邪悪に歪める姿に最早理性というものは感じられない。そして増幅された悪意はやがてダケンの体をも変異させ始める。ダケンに備わったヒーリングファクターが輝きを増すブラッドジェムを異物と感知したのか、拒絶反応を起こし始めたのだ。体中から発生する腫瘍を爪で切り落としながらも、暴れ回ることを止めないダケンの殺意はパニッシャーたちを殺さない限りは収まらないのか。

最早この狂犬を止め、周囲の人々を守るにはダケンの命を奪うしかない。最初からそのつもりだったパニッシャーは息子に刃を向けることを躊躇うウルヴァリンを説得し、共にダケンに挑む。子の親を憎む思いが暴走した時、件の親が子を救おうとする。何とも皮肉な話である。

ヘリコプターを乗っ取ったダケンに強襲するパニッシャーウルヴァリン
情けは、もうかけない。

前号にてダケンとヘルズガード、そしてパニッシャーは鏡合わせのような存在だと管理人は表現した。3人共に家族を奪われたことで復讐の鬼となり、大多数の命を奪い、終わることのない闘争を延々と続けてきた。しかし、ダケンたちとパニッシャーとでは違う点がある。それは彼らが続けてきた戦いに“終わり”があるかどうか、だ。

ダケンであればウルヴァリンを、ヘルズガードであればドラキュラを倒せば復讐を果たしたことになる。だが、パニッシャーの復讐に終着はないのだ。フランク・キャッスルが私刑執行人パニッシャーとなった時から、この世に悪党の存在が無くなるまでは“終わり”はない。蘇ろうとした家族を否定し、己の歩んできた道を貫いた男の非情にして苛烈な覚悟はダケンたちの力を上回る。

叩き落とされ、炎に包まれるヘリから脱出しようとしたダケンに追撃するパニッシャー
悪足掻きを続ける坊主に、今こそ借りを返す。消し飛びな。

暴走したヒーリングファクターは体内で起爆したグレネードの威力に負け、ダケンの体は悍ましい肉の塊と化した。辛うじて息があるダケンだが、身動きは取れない。ダケンの体内からブラッドジェムを取り除いたウルヴァリンは、パニッシャーに埋め込む。こんなモノは自分の息子にあってはいけない。息子にトドメを刺すことはできず、さりとて息子を殺そうとしたパニッシャーを責めることはしなかったウルヴァリンの顔は暗い。

姿を消したダケン、逃亡したパニッシャーを見てウルヴァリンもまた東京を後にする。この戦いがダケンとウルヴァリン、そしてパニッシャーに与えた傷は深い…。