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アメコミ:REVENGE OF THE COSMIC GHOST RIDER(2019)#1

コズミック・ゴーストライダーの逆襲!

再び宇宙に上がったフランク・キャッスルが監獄で、海賊船で大暴れ!

 

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【あらすじ】

地球から遠く離れた宇宙の向こう、幾億もの星々の輝きが照らす暗闇にポツリと浮かぶ機械仕掛けの衛星があった。この衛星はシャイア帝国が管理する監獄であり、ここに収監されるのは帝国領土の星々で狼藉を働いた無法者ばかり。

そんな悪鬼悪党が顔を並べる地で、1人の男が収容された。男は地球出身の人間であり、ドクロのシンボルマークが描かれたシャツを着用した老人だ。男の罪状は殺人、それも多くの帝国の民を殺したこと。牢の中には身内を男に殺された者もおり、早速お礼参りと言わんばかりに暴行を働く。しかし、こんな目に遭いながらも男の口元には常に笑みが浮かんでいた。次の獲物が見つかった、と。

悪党に全身の骨をぐしゃぐしゃに曲げられたにもかかわらず、何事もなかったかのように立ち上がった男は地獄の炎を燃え上がらせて殺意をぶつける。男の名はフランク・キャッスル、またの名をコズミック・ゴーストライダー。地獄から蘇った彼は、再び悪党を狩る旅を始めていたのだ。

【Revenge】

さて、今号の内容を語る前にここに至るまでのあらましを簡潔に述べていこう。

「サノス・ウィンズ」で初登場以降、2つのミニシリーズで主役を張り、遂には「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーとなったコズミック・ゴーストライダー。しかし、ライダーはサノス復活を企てる死の女神ヘラに服従するよう強要され、スター・ロードに引導を渡された末にその魂は地獄へと落ちていった。しかし、ライダーの魂は当時の地獄王「キング・オブ・ヘル」ジョニー・ブレイズに救われる。だが、今度はジョニーの目的を果たすための駒として利用するために地上へと送られ、結果的に生き返ることになった(そこでライダーはアベンジャーズと戦わされ、話の流れでジョニーに反旗を翻すのだがそれは別の機会に語ろう)。

数奇な事件を経験し、ライダーは再び宇宙へと帰っていった。今号はそんなライダーが活躍する様子を描いたミニシリーズ。歴史を歪め、大切な者が生きる未来を掴むことができなかった男は、誰かのためではなく自分の意志で戦うことを決めた。ライダーがターゲットに見据えたのはサノスが死んで以降、宇宙の裏社会で勢力を広めていた「コズミック・キング」とその一派。コズミック・キングは宇宙のあちこちでシンパを増やし、彼の影響はクリー帝国とスクラル帝国に並ぶ力を持つシャイア帝国にも及んでいた。ライダーがシャイア帝国の領土で殺した者たちはそのシンパたち。しかし、法と規律に厳しい帝国内で大量殺戮をしてしまったためにグラディエーター率いる「インペリアル・ガード」に捕まり、連行されてしまったのだ。

ライダーに変身せずとも火炎放射器ガトリングガンでゴミ共を掃除していくフランク。彼は元々は最強の私刑執行人「パニッシャー」なのだから当然の結果と言えるが。…事前に彼らがコズミック・キングの手先だとグラディエーターに報告すれば捕まることもなかったような気がするが。

自身の犯した「悪行」を悪びれもせず、喜々として殺戮を繰り広げるライダー。てめえらのようなゴミ共が生きて良いわきゃねえだろ、と監獄で大暴れするライダーを止める手段は悪党たちにも、そして看守たちにもない。“復讐の精霊”の鎖で罪人の体を引き裂き、ギャラクタス由来のコズミックパワーで衛星に穴をぶち開ける様は実に豪快で管理人の心を震わせてくれる。だが、少々やり過ぎたようだ。ライダーの暴走は銀河系を行き交う「怪物」を招き寄せてしまったのだ。

「怪物」は衛星内の全ての生物に襲い掛かり、生命力を奪う。その対象はライダーも例外ではない。また死んでる、と思っていたら非常事態を察知した看守の手で衛星は「怪物」を巻き込んで自爆してしまう。?「脱出できなかった人、残念でした」

折角蘇り、久しぶりの個人誌が始まったのに早々に死んでしまったコズミック・ゴーストライダー。しかし、あまりにも死に過ぎて「死」そのものに耐性が付いたのか、体のパーツが残っていればそこから再生できる異常な程の生命力を獲得していた。ますます化け物じみてきたと引きそうになるが、ライダー自身は全く気にする様子はない。悠久の時を生き、気が触れてしまった男にはこんなものは些末な問題なのかもしれない。

衛星跡地で資源とライダーの「頭部」を回収した海賊船内で蘇ったライダーは、船員たちを1人ずつ抹殺していく。彼らもまたコズミック・キングの配下たち。宇宙のゴミ処理も楽じゃないのだ。

海賊船には知る人ぞ知るキャラクターであるキャミも乗船していた。彼女もまた、数奇な運命を経て地球から宇宙に上がっていた。普段通りの日常を送る彼女の裏で繰り広げられる殺戮劇は完全にホラー作品のそれ。

キャミ以外の船員たちを抹殺したライダーの魔手は、遂に彼女にも降りかかる。暗い閉鎖空間で現れた髑髏の怪人に恐怖するキャミは脱出艇に急ぐものの、それらは全てライダーの手で破壊されていた後。キャミの目の前で宇宙船そのものをバラバラに破壊することで、追い打ちをかけるライダーのなんと恐ろしいことか。悪党にかける慈悲など持ち合わせていない、逃げ出すキャミを鎖で縛り上げてペナンス・ステアを発動させるライダー。しかし、ライダーは彼女を「善人」だと判断して開放してしまう。

ライダーの魔眼で見たキャミの記憶は多くの者たちの血で濡れているものの。その魂の本質は汚れてはいなかった。ライダーにキャミは殺せない。汚れなき者の命を奪うのは主義に反するから。鎖の拘束から彼女を解放して立ち去ろうとするライダーだが、そこにキャミが喰ってかかる。突然やってきて好き放題暴れた末に宇宙空間に1人置き去りにするつもりか、と。

自分も連れていけとせがむキャミにライダーが断れる筈もない。暴力的ながらも確かな芯の強さを持つ少女との旅路がライダーに齎すものは…。一方、ライダーの挑戦を受けてコズミック・キングも動き出していた。

宇宙を統べるために暗躍するコズミック・キングは障害となるライダーを始末すべく、メフィストの元を訪ねる。キングの要件はただ1つ、フランク・キャッスルの魂を寄越すこと。

 

 

無法振りと無軌道さに磨きがかかり、パワーアップして帰ってきたコズミック・ゴーストライダー。彼の命を狙うコズミック・キングと、彼の所有者であるメフィストと強大な力を持つ巨悪の登場とフランク・キャッスルの物語は勢いを増していった。だが、ライダーの前に最初に立ちはだかったのはそんな悪党たちではない。それは同じ名を持つ、もう一人の自分。

今号のライダーから見て「過去」の自分との対峙で締めとなる。

ジョニーに反旗を翻して自由を取り戻したライダーは、宇宙に戻る前にある場所に立ち寄っていた。マリア・キャッスル、最愛の妻の眠る墓地。ライダーがまだパニッシャーだった頃、戦う原動力となった愛する者が眠る地は、ライダーにとっては忘れることはできない場所だ。

風が吹きすさび雨が降りしきる真夜中の墓地、妻の墓標の前で崩れ落ちる悪魔憑きというにくいシチュエーション。そこで現れたのはライダーがアベンジャーズと交戦した情報を嗅ぎ付けたパニッシャー。これほど喜劇であり、同時に悲劇の言葉が当てはまる場面もそうないだろう。

ライダーはパニッシャーが自分を覚えていることに驚きを隠せない様子だが、冷静に考えればこれは当然の帰結だ。マーベルユニバースの歴史を改変したライダーだが、ウォッチャーが介入したのはフランクの妻子が殺される一瞬だけ。それ以外の歪められた歴史は全て「正史」となったのだから。そしてライダーと対峙するパニッシャーは、抑えきれない殺意を漲らせながら武器を向ける。

パニッシャーはこれまでに何度もゴーストライダーと対峙し、彼の悪魔憑きの恐ろしさを身をもって体感してきた。肉体的にはただの人間であるフランク・キャッスルがライダーに勝てるとすれば、「神」の祝福を受けた遺物か対悪魔用のマジックアイテムだけだ。にもかかわらずフランクは敢えてそれらを使わずに、ライダーに戦いを挑んだ。

パニッシャーとしてこれまで使ってきた「普通」の武器を使ってライダーを襲うフランクだが、いずれもライダーの致命傷には至らない。それどころかライダーには戦うつもりはなく、頻りにフランクに手を引くよう叫ぶだけだ。ライダーからすれば「過去」の自分と戦う理由はない、それどころか顔を合わせようとも思っていなかっただろうだから。

万が一にもフランクが自分を覚えていたら間違いなく突きつけられる疑問から、ライダーは逃げたかった。だから戦おうとはしなかった。しかし、そんな中途半端な在り方を「過去」の自分が許す筈もない。だからフランクは「未来」の自分に問う。何故、俺たちの妻子を救わなかったのか、と。

「未来」の自分から見れば「過去」の自分のなんと愚かなことか。「過去」の自分から見れば「未来」の自分は卑怯者としか思えない。お前は知らない。変えようと足掻いても変えられない運命もあることを。お前は忘れてしまった。俺たちが何のために戦っているのかを。

コズミック・ゴーストライダーパニッシャーゴーストライダーの要素を足して2で割らなずに誕生したキャラクター。しかしながら、その実2人の復讐鬼の「復讐の意義」は異なると管理人は思う。ゴーストライダーは罪なき人々が流した血の重さを贖うために戦うが、パニッシャーは殺された妻子の血の代償を払わせるために戦う。ライダーは「過去」の自分からの叫びに対して俺たちもまた罰せられる存在だからと答えたが、その答えがライダーが抱える業の重さを現していると思う。妻子を救いたくてもできない、邪魔をしたウォッチャーに報復しても何の解決にもならない。それを知ってか知らずかフランクは激高し、「未来」の自分に向けて言い放つ。2度とここへ近寄るな、と。

俺とお前は違うし、お前は俺とは違う。「未来」のフランクは「過去」の自分の言いつけ通り、2度とマリアの元に現れない決意を秘めて宇宙へと帰っていった。「過去」のフランクには「未来」の自分の姿は宇宙の闇に消えるのを見送ることしかできなかった。これが今生の別れとなる、そうなって欲しいと管理人は願う。

家族を救うことを諦めたライダーは、新しい相棒を迎えて宇宙を旅する。一方で、残されたフランクは家族を救うチャンスを与えられた時、どうするのか。それは当ブログを読んでくれている読者には語るに及ばずだろう。「過去」のフランクが魔道に堕ちたのも、「未来」の自分との対峙があってこそだったのかもしれない…。

 

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