復讐の精霊生誕50周年を祝うサバトの第19幕!
怒りと失望、後悔。自分と同じ境遇の者を救おうと足掻く女を“復讐の精霊”が導く!
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【あらすじ】
過去からずっと付き纏っていた“影”が動き出した。元FBIエージェントであるタリアは、自身の前に現れた怪物の幻影を見てそれを確信する。影、地獄王メフィストが再び地上に現れるために配下たちを使役して、人間たちの魂を大量に求めているのだ。
いったい何のために、誰がメフィストに与しているのか。逸るタリアに困惑しながらもジョニーもまた、“復讐の精霊”と共に彼女の往く道を示す。そこに待つのは…。
【Rite of Passage】
FBIエージェントでありながらも、悪魔や魔術に精通した魔術師でもあったタリア・ウォーロード。その力の根源は幼いながらもメフィストと契約したことにあった。異形の怪物から助けを求める自分を蔑み、愛情という名の呪いを押し付ける大人たちに怒りの感情を爆発させたタリア。その怒りにメフィストは応え、力を与えた。これによりタリアは大人たちの元を離れ、メフィストを崇拝する悪魔崇拝者たちと行動を共にするようになった。しかし、真っ当な精神を持つタリアは悪魔と、それを崇拝する彼らと自分自身を恐れるようになる。一度芽生えた憤怒の感情はすぐには消えず、されど冷静になれば“これ”は間違っていることに気付くのは当然だ。誰にも言えず、自身の胸にしまっていた後悔の感情はやがてタリアから大事な者たちを奪うことに繋がってしまう。
今のタリアを突き動かすのは後悔と無念、そして贖罪の意思だ。もうあんな思いはしたくない、自分のような思いをする者たちを救いたい。自分に救いの手はこなかったが、大人になった自分ならばその救いを与えられる筈。そんな純粋な想いに応えるために、彼女の前に再び悪魔が現れた。
十字路に現れた悪魔と契約することで名声を得たギタリスト。俗に言う「クロスロード伝説」を彷彿とさせるシーンは、タリアに名声という名の“チャンス”を与えているように感じる。ジョニーも“復讐の精霊”もまた、メフィストには借りがある。性懲りもなくよからぬことを企んでいるのなら何度でも挫くだけだ。
ゴーストタウンと化した街を進むジョニーとタリア。2人は周囲を警戒して進むが、突然襲い掛かってきた何者かの襲撃を受ける。自分たちを襲ってくるのなら容赦しない。武器を奪って拘束するジョニーだが、タリアはその襲撃者に歩み寄る。襲撃者はまだほんの子供だったのだ。ジョニーの拘束から逃れようと暴れる少年はメフィストを崇拝する者たちの手で洗脳され、望まぬままに殺人を重ねてメフィストへの供物へと捧げていた。涙を流しながら謝罪する少年を許すタリアを、ジョニーは黙って見守ることしかできなかった。
少年に洗脳を施し、自分たちの手足として使役した悪魔崇拝者たち。カルト・オブ・メフィストを自称する彼らは先述の少年だけでなく、街中の子供たちを攫い、教育をしてきた。そしてそのリーダーであるステファンと呼ばれる男は、かつてのタリアを悪魔憑きへの道へと引きずり込んだ張本人なのだ。もうこんなことは終わりにしなければならない。子供たちの目を覚まさせ、メフィストたちの計画を阻止するのだ。
“復讐の精霊”が与えたチャンスのために、タリアは子供たちを見つけ出し、救うことに成功した。子供たちもまた、本心ではこんなことはしたくなかったのだろう。子供は無力な存在であり、大人の言いつけを守らなければ自分の身を護ることもできない。そう悪魔崇拝者たちから吹き込まれていたのか。何とも胸糞な話だ。しかし、タリアの表情は暗いままだ。子供たちの中には、タリアの“救い”の手を振り払う者もいたからだ。それは良心の呵責か、それとも自暴自棄になっての愚行か。どちらにせよその姿にタリアは幼い頃の自分を重ねてしまっていたのだろう。
「ウェポン・オブ・ヴェンジェンス」でも大人の悪意のために子供が犠牲となってしまい心を痛めた管理人だが、今回はより直接的な描写だっただけに結構キツイものがあった。SAN値がゴリゴリ削れる…。しかし、同時にゴーストライダーが戦う理由をタリアの視点から見て、改めて示しているようにも感じた。罪なき者たちの無念を晴らし、復讐を代行する。彼らが流した血の重さは、必ず贖ってもらうぞメフィスト!