[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:GHOST RIDER(2006)#12

地獄の悪魔への復讐を果たす度に流される罪なき者の血。

復讐の意義を見失うジョニーの次の相手は、最恐の復讐鬼となった緑の怪物!

 

前回はこちらから↓

 

lagia.hatenablog.com

【あらすじ】

アメリカのどこかの空港。そこで夜のフライトに向けて離陸を開始する旅客機が一機。しかし旅客機のコパイロットの1人が突然豹変し、パイロットを殺害してしまう。コパイロットにはルシファーが憑依していたのだ。ルシファーは何十人もの人々を乗せて、恐怖のフライト旅行を始めようとするが、そこにゴーストライダーが駆け付ける。

ルシファーへの復讐の炎を滾らせるライダー。怒りを込めた一撃がルシファーを襲うが…。

ゴーストライダーを旅客機で轢き殺そうとするルシファーだが、“復讐の精霊”には通じない。
いい加減にくたばれ、ルシファー。
【Apocalypse Soon】

これまで長く続いてきたゴーストライダーと地獄王ルシファーとの戦い。彼らが戦う度に数え切れないほどの命が失われてきた。しかし、それでもジョニーと“復讐の精霊”は戦うことを止めるわけにはいかなかった。ルシファーを放置すれば地上に生きるもの全てがルシファーとなり、地上と地獄の境界が乱れ、混沌と化す。それに何よりも奴は自分たちを騙し、コケにした憎き敵。存在を許されない絶対悪を倒すことは、ゴーストライダーの本懐だ。

ルシファーは倒しても倒しても現れる。666人もの死体に憑依し、次々に襲い掛かる地獄王との死闘はジョニーを追い詰めるには十分なものだった。即ち、手段を選ばず、確実にぶち殺さなければならないとジョニーは考えてしまったのだ。旅客機を鎖で真っ二つに引き裂き、地面に叩きつける様は豪快で、燃え盛るコクピットから這い出てきたルシファーにダメージを与えていた。更に追い打ちで、予め用意していたジェット燃料トラックをルシファーに突っ込ませ、爆発炎上。これには、流石の地獄王もひとたまりもない。憑依した死体の体は燃え、崩れ落ちていく。これでまた一人、ルシファーが地上から消えた。

しかし、ルシファーの口元には笑みが。逃げる手段を失い、もうすぐ体は灰となるにも関わらずルシファーはライダーを嘲笑する。自分が何をやったのか分かっているのか、と。

ジョニーが破壊した旅客機は炎上し、そこには逃げ遅れた乗客を助けようとする消防隊が。
なんということだ。罪なき者たちを助けるか、悪魔を制裁するか、どうすればいい。

前号にてルシファーは“復讐の精霊”を自分と変わらない存在だと嘯いた。取るに足らない人間など、所詮は贄に過ぎない。そんな者たちが何人くたばろうが知ったことではない。“復讐の精霊”はそんな悪魔たちと同じ存在。そしてそんな“復讐の精霊”を身に宿すジョニーもまた、ルシファーと大差ない存在なのか。罪なき者たちを救うことよりも、目の前の悪魔を抹殺することを優先するジョニー。一瞬の躊躇はあったが、ジョニーの精神がこれまでの戦いで摩耗し、擦り切れ、悪魔のそれに近づいていることを証明しているかのようだ。ルシファーにトドメを刺すべく歩み寄るライダーだが、胸に抱いた憎悪の感情の“ツケ”を支払うことになる…。

ルシファーが捨て台詞を吐いた直後に旅客機は大爆発。
無数の罪なき者たちの命が炎の中に消えていく。

 

救えた筈の命を、護るべき命をジョニーは奪ってしまった。不可抗力と言えばそれまでだろうが、こんなミスは許されない。“復讐の精霊”が奪う命は罪人のものだけ。自身が引き起こした惨劇に耐え兼ね、空港を後にしひたすらにバイクを走らせたジョニー。自分が戦えば、またこんな悲劇を起こしてしまうのではないか、ならば復讐とは何のためにあるのか。復讐の意義を見失い、失意に暮れるジョニー。そんなジョニーに“復讐の精霊”が語りかける。

復讐あるのみ。どんな代償を払ってでも使命を果たすべく突き進む。全ての悪が滅ぶまで。
ザラソスから言わせれば彼らが死んだのは、ジョニーの甘さが齎した結果のようだ。

罪人のエゴのために罪なき者の血が流れた時、ゴーストライダーは現れ、復讐を代行する。それがゴーストライダーの原点だ。しかし、今回のエピソードではライダーのために罪なき者の血が流れてしまった。“復讐の意義”を見つめ直す必要があるのかもしれない。そして、その機会は直ぐに訪れた。

ニューヨークから押し寄せてくる車の波に、ニュースで報道される“ハルクの帰還”。ハルクはイルミナティの策略で地球を追放されたが、復讐を果たすために地球へと戻ってきたというのだ。月ではブラックボルトを、ニューヨークでハルクバスター・アーマーを装備したアイアンマンを倒したハルクを止めることが誰にも出来ないでいた。だが、ジョニーの関心はそこにはない。ニューヨークには取り残された市民たちが大勢いるのだ。彼らを救わなければ。今度こそ罪なき者たちを護ってみせる。だが、そこで再び“復讐の精霊”が待ったをかける。護りに往くでのはなく、復讐をするために向かうのだ、と。

強制変身させ、ゴーストライダーの姿でニューヨークに向かわせようとするザラソス。
ジョニーの言う人助けより、戦うことで護られる命の方が遥かに多いのだ。

“復讐の精霊”の意思のもとにゴーストライダーへと姿を変えるジョニー。肉が燃え、炎に包まれていく姿には哀愁が漂う。結局は戦うことしかできないのか、まだ復讐の意義だって見出していないのに。諦めの感情がジョニーを支配するが、それでもまだ負けるわけにはいかなかった。“復讐の精霊”の言うことが本当に正しいのか、知らなけらばならない。

ヘルサイクルを走らせ、猛スピードでニューヨークへ向かうゴーストライダー。逃げ惑う車の渋滞の中を突っ切り、軍隊の封鎖戦を突破し、ブルックリン橋を大ジャンプで飛び、駆け抜けていく。“復讐の精霊”を待ち受けるのは、緑の怪物。ゴーストライダーとハルク、過去に何度もぶつかり合った2大モンスターの死闘の開始を告げるゴングが鳴ろうとしていた。