復讐の精霊生誕50周年を祝うサバトの外伝!
邪なる者を撃つは“復讐の精霊”ゴーストライダー、そして“ウェポンX”ウルヴァリン!
【あらすじ】
ニューヨークの辺境、草木も眠る丑三つ時、ジョニー・ブレイズはとある廃屋を訪れていた。そこでは数年前、身の毛のよだつ変死体が発見された地だったが、その事件を彷彿させる事件が再び起こったのだ。
廃屋内に足を踏み入れたジョニーだが、そこに訪れていたのはジョニーだけではなかった…。
【Sympathy for the Devil】
ジョニーとローガンが訪れた廃屋で起こった事件。その事件は警察では解決できない、奇怪なものだった。事件の現場には争った跡と、複数の人間が混ざり合ったような、まるで肉塊のオブジェとでも形容できる悍ましい変死体が残されていた。事件の犯人は捕まらず、迷宮入りしていた。しかし、何の因果か再び同様の事件が起きたことがニュースで報道されたのだ。この事件を追うのは“復讐の精霊”ゴーストライダーことジョニー・ブレイズ、そしてウルヴァリンことローガンの2人。2人は数年前もこの事件の犯人を追っていた。
数年前、1人の少年が女性に連れられてある学園を訪ねた。恵まれし子らの学園。ヒーローチームX-MENの本拠地であり、ミュータントを保護・教育する活動に取り組むミュータントの楽園。女性は孤児院で働いており、少年は科学では説明できない異能を持つ孤児だった。そこで女性は、少年を恵まれし子らの学園で引き取って貰えないかと、学園長であるチャールズ・エクゼビアに頼みに来たのだ。
当時は学園に身を寄せていたウルヴァリンは少年の奥にある異質な“ニオイ”を感じ取って警戒するが、チャールズは一先ず少年がミュータントなのかどうかを確認してから判断することにした。彼の強力なテレパス能力でなら、少年がミュータントなのかどうかは直ぐに分かる。果たして、チャールズがテレパスに反応したのは少年の深層心理に潜む超常の存在だった。少年はミュータントではなく、悪魔憑きだったのだ。
この少年を学園で引き取れば、子供たちだけでなくローガンをはじめとしたX-MENにも危険が及ぶことは明白だった。故に冷たく突き放すのは正解だったと言えるが、ローガンの表情は暗い。ローガンは、少年が助けを求めていたことを察していたからだ。同時に少年に潜む悪意が蠢いていることも感じ取っていた。
同じ頃、ニューヨークの郊外のサーカスではバイクのスタントショーが行われていた。何人ものお客が入り、歓声で迎えられたショーの主役は、バートン・ブレイズとクラッシュ・シンプソンの教えを受けて育ったライダー、ジョニー・ブレイズ。恒例の炎に包まれた18台のバスを飛び越えるショーを執り行うジョニー。しかし、その最中でジョニーに取り憑いていた“復讐の精霊”がローガンと同じように悪意を感じ取っていたのだった。
そして事件は起きた。孤児院に戻ってきた少年に取り憑いていた悪魔が、行動を起こしたのだ。手始めに少年の同室の子供たちを1人の例外なく、1つの肉塊へと変えてしまった。孤児院の教師たちが駆け付けた時には、少年の姿はどこにもなかった。
そして少年は次に、恵まれし子らの学園を襲う。突然の雷で停電を起こした学園に侵入する悪意。血が流れ、倒れ伏すコロッサスやストームたち。ウルヴァリンの眼前には獰猛な獣となった少年。こうなっては、やることは1つだけだ。
獣と化した少年との激しい攻防を繰り広げるローガン。しかし、獣はまるで少年を盾にするように姿を交互に変化し、ローガンを惑わす。ローガンは子供は切れない。躊躇うローガンの一瞬の隙を突いて、獣は少年と共に学園を飛び出す。ここで奴を逃がすわけにはいかない。バイクに跨り、獣の匂いを辿って追うローガンだが、そこで彼が目にしたのは炎上した車と先述したものと同じ変死体、そして骸骨頭の燃えるライダーだった…。
ゴーストライダーとウルヴァリン。2人のダークヒーローの競演は何度か描かれたが、今回のエピソードはゴーストライダーだけでなくウルヴァリンにも主眼を置いたエピソードとなっている。ぶっちゃけチャールズが少年をドクターストレンジや、ダイモン・ヘルストームとかの魔術や悪魔に詳しい人たちに紹介すれば、この事件の発生は防げたような気もしなくもないが、この血生臭く同時に血が熱くなる展開は大好物だ。
果たして少年に取り憑いた悪魔の正体は何なのか、そして少年をジョニーとローガンは救うことができるのか。今後の展開が楽しみなシリーズだ。