彼女の名はクシャラ、またの名をスピリットライダー!
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【あらすじ】
あるファミレスで友人たちと談笑していたクシャラの元を、“ソーサラー・スプリーム”ドクターストレンジと“ゴーストライダー”ジョニー・ブレイズが訪ねてきた。
ジョニーは地獄の王となっていた時期、地獄の瘴気に充てられた彼はアベンジャーズと戦い後輩ライダーであるロビー・レイエスを殺しかけ、また地上では弟であるダニー・ケッチと激闘を繰り広げた。
そんな悪夢のような出来事を経て、再びゴーストライダーが暴走する未来を夢で見てしまったジョニーは何とかして欲しいとクシャラに頼ったのだ。
クシャラはジョニーが暴走するのは彼の過去の記憶に関連していると踏み、魔術を使いジョニーと共に過去に飛ぶ。そこで2人を待ち受けるものとは。
【スピリットライダー】
本作はネイティブアメリカンであり、祈祷を始めとした魔術を振るい、悪魔と契約しゴーストライダーとなったという属性盛り盛りな女ソーサラー・スプリーム、クシャラの活躍を描いたワンショットだ。ソーサラーズ・スプリームで初登場を飾ってから出番がなかった彼女だったが、再びスポットライトが当たり表舞台に立ったのだ。それに合わせてか名前も「デーモンライダー」から「スピリットライダー」へと変更。心機一転というわけだ。
クシャラの初登場回はこちらから↓
そんな彼女が初代ゴーストライダーであるジョニー・ブレイズと対面し、共に冒険する。感慨深いものがある。
【在りし日の記憶。戻ってこない大切なモノ】
クシャラとジョニーが降り立ったのは、ジョニーにとって最初の苦痛の記憶がある過去。実父であるバートン・ブレイズが活躍する興行団とアメリカ中を回っていた幼い頃の記憶、そして父を事故で失った記憶。
そして次に降り立ったのは実母であるナオミ・ケイルが住まうアリゾナの記憶。ジョニーが過ごすことが出来なかった、本当の母との存在しない記憶。
もう会うことが出来ない肉親たちとの再会を喜ぶジョニーだが、クシャラはそんなジョニーに危機感を覚える。
ジョニーの両親たちも大人に成長したジョニーを迎え入れるが、ここにずっといろ、と甘い言葉を掛けてくる。両親を疑わないジョニーは怪物へと変異する彼らに疑うこともなく、逆に両親の言葉に耳を貸すなと言うクシャラに反抗してしまう。
ジョニーにとっては彼らは大切な存在だ。妻ロクサーヌや2人の子供たち同様、もう二度と会うことは出来ない。彼らはもうこの世にはいないから。
そんな彼らと楽しく過ごせる、もう一度やり直せるとジョニーは考えてしまったのだ。
このままではジョニーは過去に囚われ、正気を保てなくなる。ジョニーを止めようとするクシャラだが、初代ゴーストライダーの力は凄まじく、ソーサラー・スプリームの魔術攻撃を掻い潜り猛攻を掛ける。
劣勢に立たされたクシャラ、そこに地を砕いて現れた魔神、“復讐の精霊”が現れた。
ジョニーに悪夢を見せ、彼の記憶に介入したモノの正体は“復讐の精霊”ザラソスだった。彼は度重なるゴーストライダーの暴走に(何度目かの)嫌気がさし始めていたジョニに、自分、ゴーストライダーの呪いからは逃げられないぞと警告していたのだ。
ザラソスの乱暴なやり方がジョニーが自身にかけられた呪いに現実逃避してしまいクシャラの手も振り払ってしまったのは、ザラソスにとっては想定外だったのだろう…、ちょっと考えれば悪手なのは分かると思うが。
【復讐の精霊が見せるモノ】
オリジナル・ゴーストライダーであるザラソスが現れたことでジョニーの記憶の世界は崩壊。この崩壊にクシャラも巻き込まれ、彼女自身がゴーストライダーの力を得た記憶に飛ばされる。
ネイティブアメリカンの間に伝わる伝説の悪魔バジリスク。
クシャラはバジリスクの怒りに触れた父の過ちから母を奪われ、母を取り戻すためにバジリスクと契約した。その事実からクシャラは無意識に目を反らし続けてきた。その事実を認めれば、愛する家族を恨む自分も悪魔に膝まづくしかなかった自分の弱さも認めることになるから。
だが、ジョニー・ブレイズが家族への愛からくる盲信から暴走する様とそんな彼に激怒するザラソスの姿から、クシャラも自身の弱さと罪に目を向ける。
過去は無かったことにはできない。父も母もいなくなった者は元には戻らない。だが、せめて一矢報いる。今度は伝説の悪魔が膝まづく番だ。
バジリスクを倒し、心を取り戻したクシャラのお陰でジョニーもまた、ストレンジが待つ現代に戻ることができた。
自らに潜む呪いから逃げることは出来ない、けど向き合うことは出来る。
考えを改めたジョニーに見送られ、クシャラも過去の世界に帰っていく。時空を行き来するスピリットライダー、彼女にとってもジョニーと旅した時間は有意義なものだっただろう。
最後は強引な展開で幕を降ろした本作、だがスピリットライダーの戦いはまだ終わらない。彼女の戦いは次の舞台に移っていく…。