ウィザードを取り込み、暴走するカーネイジ。
血に濡れた赤黒き殺意を打ち砕け!
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【あらすじ】
ウィザードの支配から逃れたカーネイジはスーペリア・スパイダーマンだけでなくフライトフル・フォーにも牙を向き、クロウの命を奪った。シンビオートに貫かれたクロウの身体は大爆発を起こし、生じた衝撃波がスパイダーマンたち諸共に吹き飛ばした。
宿主であるマーカスから分離されたカーネイジ・シンビオートだったが、まだ死んではいなかった。ウィザードを取り込んで再び暴れ始めたカーネイジを相手にスーペリア・スパイダーマンは持てる知識を総動員して立ち向かう…。
【暴走の果てに】
カーネイジに取り込まれたウィザードは、カーネイジ・シンビオートの精神と同化した。カーネイジをはじめシンビオートは取り込んだ宿主の意識を操り、その欲望を増幅する力を持つ。ウィザードの脳裏に映るカーネイジの記憶。己の欲望のためにカーネイジを求め、そして自滅していった歴代の宿主たち。彼らの記憶を見させられるウィザードは彼らと自分は違うと否定しながらも、自身の欲望を満たすためにカーネイジと同調していく。一度はカーネイジを操ることができたのだから今度もできる筈だと考えたのだろうが、その考えもカーネイジ・シンビオートには見透かされていたとウィザードには気づけなかったのだ。
宿主が抗えば抗う程に、シンビオートは力を増し強くなる。ウィザードの息子に会いたいという欲望を煽りながらカーネイジはスパイダーマンと彼の私兵たちに襲い掛かるのだ。
こうなってしまっては、もはやカーネイジを直接打倒するのは不可能だ。
対カーネイジ用に準備した試作の火炎放射器も豪雨のためか故障、さらに部下の失言のためにウィザードの息子の所在を知られそうになるなど、オットーはどんどん追い込まれてしまう。俺の息子はどこだ、俺を助けてくれるのではないのかとオットーを詰め寄るカーネイジと化したウィザードに滅多打ちにされるオットーは降参したのか、遂に“家族”を連れてくると言い出す。勝ち誇こり、喜ぶウィザードだったが彼はオットーの仕掛けた最後の罠にはまっていたことに気付いていなかった。オットーが連れてきたのはウィザードの“家族”ではなく、カーネイジの“家族”。カーネイジの元の宿主であるクレタス・キャサディの体を連れてきたのだ。
自身の体から引き剝がされていくカーネイジ・シンビオートに驚きを隠せないウィザード。シンビオートを完全に失い、朦朧とするウィザードだがカーネイジ自身にとっても予想外の展開だった。このままでは終わらない、とカーネイジ・シンビオートはスパイダー・リングスにシンビオートを浴びせてオットーの注意を引き付けた隙に、クレタスと結合。拘束を解いて暴れ回る。往生際の悪さを見せるカーネイジにオットーもショックガンを構えるが、カーネイジは止まらない。遂にウィザードを喰おうとしたカーネイジだったが、突然起きた雷鳴と共に起きた衝撃波によって撃ち貫かれるのだった。
フライトフル・フォーの起こした騒動はスーペリア・スパイダーマンとその私兵部隊の活躍によって鎮圧された。首謀者であったウィザードは刑務所に送られ、カーネイジ・シンビオートもオットーの手で拘束された。クロウも死に、一人の男が息子に会いたいと願ったことに始まった事件は全ては終わったのだ。
「スーペリア・カーネイジ」誌はウィザードとクロウというマイナーなヴィランたちと、当時人気が低迷していたカーネイジの3人がチームアップしてオットー・オクタビアスと戦うという意欲作だった。カーネイジは新たにスーペリア・カーネイジという姿を与えられはしたが、そのデザインには賛否両論(どちらかと言うと否定意見の方が多いか)。終始暗い展開が進むし、そもそもカーネイジは若干飽きられていたりと、このミニシリーズは成功したとは言い難いだろう。
しかし、この作品が後々のエピソードに与えた影響は大きいだろう。シンビオートの脅威を目の当たりにしたオットーはその対抗策を講じるようになり、カーネイジもこれまでの定説だった「クレタス・キャサディ=カーネイジ」に一石を投じることになったのだから。