[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

アメコミ、アメトイに関して語るブログです。MARVELのダークヒーローやクライムファイター中心。

アメコミ:PUNISHER:SILENT NIGHT #1

メリークリスマス。聖なる夜でも私刑執行人に休みはない。

大人向けのレーベルでキル・ゼム・オール!

 

 

【あらすじ】

犯罪と戦いが頻発する街、ニューヨーク。この街に今年も雪を連れてクリスマスがやってきた。しんしんと降り続ける雪に染まる街には子供たちや恋人たちの楽しそうな声が上がる。今夜だけでも楽しい夜を過ごしたい。そんな想いがあるのは無理もない。

しかしそんな時でも、いやさこんな時だからこそ悪の魔の手は迫るものだ。浮かれる街並みを尻目に悪事に手を染める者たちと、彼らを始末するパニッシャーの戦いに休みはない。拷問した男から児童の誘拐を企てていることを知ったパニッシャーは、サンタクロース、の格好をした誘拐の下手人と共にターゲットである児童たちが住む孤児院に向かうのだった。

サンタクロース、に扮した誘拐の下手人をぶん殴り強制連行。
クリスマスでもパニッシャーの活動は平常運転だ。ちびっ子が見ているが気にしない。
【サイレント・ナイト】

さて、クリスマスは家族や恋人と暖かい家で過ごしたり、(わざわざくそ寒い)屋外で体を温め合って大切な人との想い出を作る日だろう。子供たちにとっては良い子にしていた分、サンタクロースからクリスマスプレゼントを貰える特別な日だろう。

そんな特別な日に血に濡れた私刑執行人パニッシャーが、悪党相手に大暴れするのが今作「マーベルナイツ:パニッシャー:サイレント・ナイト」だ。場違い感が凄いがこの意外性が受けたのか、今作以外にもパニッシャーに焦点を当てたクリスマス回が幾つか存在するのだから面白い。何よりもパニッシャーことフランク・キャッスルが私刑執行人となった経緯を思い返すと、クリスマスでも戦い続ける様と子供たちを守る為に奮闘する様は哀しくもありカッコよく見える。

サンタクロースに扮して孤児院に突撃をかけるパニッシャー
流石に相方に止められるが、それにしてもやけに似合ってる。

孤児院には情報通りに子供たちがサンタクロースの来訪を待っていた(来たのは目付きが鋭すぎる大男と目がヤバすぎる男の2人だったが)。異様なサンタクロース二人組に警戒心を剝き出しにする子供たちだったが、パニッシャーの提案した「皆で雪だるまを一杯作って孤児院の前に飾ろう」という提案を受けて取り敢えずサンタたちを受け入れてくれた。フランクとしては少々強引でも、子供たちの警戒をほぐそうとしていたのかもしれない。

だが、警戒心を抱いたのは子供たちだけではなかった。孤児院を運営する牧師やオーナー、そしてやたらと多いガードマンたちだ。実は牧師以外の面々は今回企てていた誘拐事件に加担しており、子供たちを売り渡して利益を得ようとしていたのだ。その為にサンタクロースに扮して街に降りていた下手人を使って身寄りのない子供たちを孤児院という名の牢獄に招き寄せていた。ゲスい。

下手人自身はあまり乗り気ではなく(子供たちに接する態度から優しさが見える)、自分を顎で使うオーナーたちに復讐する為にパニッシャーに協力した。そんな男の意思を知ってか知らずか、元より関係ないがパニッシャーはガードマンたちを1人また1人と始末していく。子供たちが見ていないところで、音を立てずに命を奪っていくパニッシャーの姿に大人たちは戦慄する。オーナーの本性と凄惨な殺しの現場を知った牧師が詰め寄るが、パニッシャーは異を介さない。自分が戦わなければ子供たちは守れない。この現実は変わらないのだから。

怒り狂うオーナーを下手人に任せて、パニッシャーは孤児院に迫るバイヤーたちを迎え撃つ。

子供たちと牧師を離れた小屋に非難させてパニッシャーは1人戦場へ。
神に使える牧師に元クリスチャンであるパニッシャーが銃を手渡す一面が印象深い。

後はもうパニッシャーの独壇場だ。真っ暗な夜、深く積もった雪景色の中でパニッシャーが放つ弾丸の嵐が悪党たちを打ち倒していく。昼間の内に子供たちと作った雪だるまの中に仕込んでいた爆弾を起爆させて一網打尽にし、残った敵もそりで追い詰めて凍り付いた湖に叩き落す。悲鳴と爆音が無くなり、後には静寂が戻る。いつも通りのことをいつも通りにこなす、それだけだ。

雪だるま爆弾でドカン、残った敵はマシンガンで蜂の巣に。
神は悪党の横暴を許さないし、こいつ(マシンガン)も許さない。

 

パニッシャーことフランク・キャッスルは愛する妻と息子と娘を一度に失った男だ。そんな彼が子供たちの為に戦い、子供たちを傷付けようとする大人たちに怒りの制裁を加えていく様はやはり哀しくもありカッコいい。パニッシャーがいくら戦っても彼の思いが子供たちに伝わっているわけではないという点もポイント。子供たちからすればパニッシャーは恐ろしい存在でしかないだろうからだ。

今回組んだ下手人もオーナーの手で殺され、そのオーナーも始末した。ウォーゾーンと化した孤児院には死体だけが転がる。長い夜が明けて朝日に照らされる牧師と子供たちの顔は決して明るいものではない。そんな彼らにパニッシャーはどんな感情を抱いただろうか…。