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ドラマ:シー・ハルク:ザ・アトーニー 感想

この記事はドラマ作品「シー・ハルク:ザ・アトーニー」のネタバレを含みます!

ネタバレを踏みたくない人はブラウザバック推奨です!

 

 

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」はディズニープラスにて配信されているドラマ作品で、MCUシリーズの内の一本。

アトーニー=弁護士の名の通り、シーハルクことジェニファー・ウォルターズの本業は弁護士。普通の社会人としての生活を送る超人。それがジェニファーだ。

本作はハルクことブルース・バナーのほか、アボミネーションことエミル・ブロンスキーが14年ぶりに登場することから話題を呼んできた。

アボミネーションが初登場した「インクレディブル・ハルク」の感想はこちらから↓

 

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他にもタイタニアやリープ・フロッグ、レッキングクルー、マン・ブルといった知る人ぞ知る名脇役たちが次々に登場する点もポイントだ。

多数の作品を世に送り出し、様々なキャラクターが作品間の枠を超えてクロスオーバーするのが当たり前となってきたMCU。本作はでもその法則が当てはまるが、それと同時にコミック版でのジェニファーがどんなキャラクターなのかという「前知識」が必要な作品となっている。

 

主人公であるシーハルクことジェニファー・ウォルターズは普段は敏腕な弁護士として働いていたが、自分が弁護した殺人事件の件で犯人とその黒幕から恨みを買っていた。そんな中、黒幕が雇った刺客に撃たて重傷を負い、助かる為に従兄であるブルース・バナーの血液を輸血されたことで緑色の肌を持つスーパーヒーロー、シーハルクとなった。これがコミックでのジェニファーがシーハルクとなった経緯だ。

ではMCUではどうかというと、ブルースとの旅行中に惑星サカールからやってきた宇宙船と自分が運転する車と衝突しそうになり、横道にそれて車は横転。負傷するジェニファーとブルースだが、ブルースから流れた血に触れてしまったことで、ブルースの体内に流れる致死量のガンマ線を浴びたことで自身の細胞が変化してしまい、シーハルクとなった。

このようにコミックとMCUとで同じキャラクターながらもオリジンはだいぶ異なる。何故わざわざ比較するのかというと、先述した通り、この「シー・ハルク:ザ・アトーニー」を評価する為にはコミック版での彼女を知っておく必要があるからだ。

シーハルクにはハルク由来の怪力と生命力があるが、ハルクにはない能力がある。それが「第4の壁を乗り越える」こと。元々は劇場での舞台用語として使われていたという「第4の壁」、これをコミックの1キャラクターであるシーハルクが持つということは、「自分がコミックに登場するシーハルクという名前のキャラクターであり、自分を動かすライター等の制作陣や自分を見ている読者の存在を認識し、彼らに干渉できる」ということになる。同じような能力をデッドプールも持つが、彼が登場する前にこの能力を使って彼女はやりたい放題やってきた。

自分が気に食わない脚本を創ったライターに抗議する為に編集部にカチコミしたり、読者に向けて「シーハルクを読まないとスマッシュ(ぶっ潰す)する」と脅したりと、常識に捉われない作風で大暴れしてきた彼女。

そう、MCUでの彼女がこちら側(視聴者)に向かって語り掛けたり、弁護士としての日常からどんどん離れていくストーリーやナレーションに文句を言ったり、最終話での纏まりがない展開にキレて画面を越えて現実のスタジオにカチコミに行くのも、全てコミックでの彼女がやってきた奇行を再現しているだけに過ぎない。

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」は弁護士と検察官が熱い論争を展開するリベラルドラマでも、スーパーヒーローが活躍するアクション作品でもない。フェミニズムインフルエンサーなんかの頭が痛くなるような小難しい展開も茶番だ。先述した不条理展開を楽しむギャグ作品なのだ。アトーニーとは何だったのかって?しっかりファイギに弁論してただろ?

筆者は息が詰まりそうな位真面目な作品より、そうはならんやろ→なっとるやろがい!となるような不条理な作品の方が好きだ。個人的にはこの作品を世に送り出したマーベル・スタジオを高く評価したい。

最終話での展開やカメオ出演を果たしたネットフリックス版デアデビルのキャラクター性等でネット上では賛否両論が巻き起こっている本作(デアデビルにはもっとバイオレンスに戦って欲しかった…)。

本作はアメコミは決してスーパーヒーローものばかりではないぞ、というMCUからのメッセージとも取れる。タイトルでのちょっとしたお遊びなどの小ネタを拾って楽しむと、本作の見方が変わってくる、かもしれない、多分、きっと。