ニュー・ファンタスティック・フォーとファンタスティック・フォーの共同戦線!
力を合わせて悪魔の野望を打ち砕け!
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【あらすじ】
メフィストが地獄の底から召喚した魂の番人、サタナインの巨体に気圧され逃げ惑うラスベガスの住人たち。
ニュー・ファンタスティック・フォーと意識を取り戻したヒューマントーチを加えたファンタスティック・フォーの2大チームがサタナインを対処しようとするがメフィストに妨害され思うように動けない。
巨大な悪魔たちの野望を挫く最後の望みは、ジョン神父だけ。
【サタナイン&メフィストvsダブル・ファンタスティック・フォー】
ニュー・ファンタスティック・フォー最終号となる本作、トリを飾るのはメフィストとサタナインvsニュー・ファンタスティック・フォーとオリジナルであるファンタスティック・フォーの二大チームの激闘という贅沢な一戦。
ヒーローたちは先ずはデカい的であるサタナインに狙いを定めるが、そこをメフィストがガード、更にサタナインの力で人間たちの恐怖を駆り立てパニック状態にさせヒーローたちの注意を反らし消耗させていく。ヒューマントーチの炎も効かず、グレイハルクの怪力も決定打にはなりえない、インビジブルウーマンも敵の攻撃を防ぐにで精一杯でヒーローたちは徐々に追い詰められてしまう。
知略に長けた悪魔たちがタッグを組めば、人間たちの力など及ばないというのか。「この戦いは正にエンターテインメント。存分に楽しもうじゃないか」と余裕を見せるメフィストにヒーローたちは成す術がない。
らちが開かないと踏んだウルヴァリンはジョン神父に救援を頼むが、肝心の奇跡の力が発動しない。詰んだか。
パニック状態の人々の対応に追われるスパイダーマンだが、ゴーストライダーとサタナインの攻防から事態の解決のヒントを掴む。
巨大な悪魔は人々の魂を操り、彼らはある方向を一心不乱に走らせていた。行き先は地獄。魂を堕落させ、そこから得た負のエネルギーでサタナインは強くなっていた。その力はジョン神父の奇跡の力も通用しない程に。
だが、サタナインの力の源はあくまでも逃げ惑う一人の恐れにある。人々がサタナインに恐れを抱かなければ無力化される。そして人々の心を動かすことができる人物がこちらにもいる。
【神父の一世一代の大演説】
悪魔の子として生を受けたジョン神父。善良な男で神に使える身ながら、彼が持つ力は悪魔由来の呪われた力だ。
しかし、結局の所、与えられた力をどう使うかはその人次第だ。
邪悪な悪魔の思い通りにはさせない。破壊されたファンタスティックカーの外部スピーカーを通してサタナインに叫ぶ。
「悪魔だなんて御大層なもん掲げるな!お前なんか不細工なソーセージだよ、日曜日に子供が作ったハロウィンの仮装みたいなな!歯もなんだそれは、フロスしてやろか!そんな成りで悪魔と名乗って恥ずかしくないのか?笑ってやるよ、BWAHAHAHA!」
…まさかの悪口。しかも容姿を容赦なく罵倒するという突然の奇行にサタナインも一瞬戸惑うが、ヒーローたちも住人たちには大受け、ラスベガスは大爆笑の渦に(ジョン神父はコメディアンとか向いていると思う)。これに激怒するサタナインだが、時すでに遅し。神父の演説で笑い続ける人々の中にサタナインを恐れる者はもういない。
先程までは効かなかったヒューマントーチの炎でダメージが通るほどに弱体化し、巨体はどんどん縮んでいく。
こうなってしまってはサタナインはぎゃんぎゃん喚く小悪魔だ。小人サイズまで縮小化された“元”巨大な悪魔を復讐の精霊が踏み潰す。これでサタナインは終わりだ。
サタナインが倒されたことで不利と判断し撤退するメフィスト(と何時の間にかフェードアウトしたアスモデウス)。
これで悪魔たちの野望は潰えた。ヒーローたちの力と機転で強大な悪意を退いたのだ。そしてヒーローと力を合わせて勝利に貢献したジョン神父、は何時の間にかどことも知れない地に飛ばされいた。やはり力のコントロールはまだ出来ないようだ。
そんな抜けてるジョン神父も己の残酷な運命に負けず、悪魔に立ち向かった。彼もまたヒーローだろう。
1991年に花火の如く現れて消えていった奇跡のヒーローチーム、ニュー・ファンタスティック・フォー。彼らの復活、という名の過去話を描いた本シリーズ。
令和の世には無かったおおらかな時代、その片鱗を思い出せる良いシリーズだった。