ハルクvsスケアクロウ!
映画館に恐怖の嵐を巻き起こすモンスターバトル上映開始!
【あらすじ】
アメリカはカンザスにある映画館、エメラルド・シネマにやって来たブルース・バナー。何故自分がここにいるのかも分からずに映画館館長のスケアクロウことエベネザー・ラフトンに導かれるままに館内に案内されてしまう。
そこでは恐怖のロードショーが上映されていた…。
【不滅の存在vs恐れを喰らう者】
まず本作の説明をしよう。
本作はイモータル・ハルク誌のワンショットであり、紀元前8000年のオリジナルハルクの戦いを描いたパートと、現代のハルクがスケアクロウと戦うパートの二部構成となっている。今回紹介するにはその後半のパート。
当然のようにバナーが映画館に訪れる展開が始まる力技が素敵。
スケアクロウが観せる映画は魔術が施された射影機を使ったもので、内容は対象が主人公の死のホラームービー。街中から攫ってきた観客たちに悲惨な末路を辿る自分を強制的に見せ、発狂させる、その中で発生した恐怖を自らのエネルギーに変えて強化していたのだ。
そんな中やって来た“最強の恐怖”を内に宿すバナーはスケアクロウからすれば極上のエサだ。苦しみ、発狂していく人々を見せつけバナーを追い詰める。
限界に達したバナーは倒れてしまうが、それは“昼”が終わったに過ぎない。恐怖を吸収し余裕を見せる哀れな案山子に復讐をするために“夜”が現れる。
スケアクロウも予期していなかったハルクの出現。バナーが死ねばハルクは現れない、と踏んでいたのだろう。最強の存在が現れて魔術の効果も弱り、観客も散り散りに逃げ出してしまった。こうなってしまってはスケアクロウに勝ち目はない。
恐怖を取り込んだ王はモンスターなぞ恐れないと挑む彼だが…。
案の定返り討ちにあう。流れは完全にハルクのもの。射影機が映すのは恐怖に震えるスケアクロウ、エベネザーだ。逃げ惑うスケアクロウを追い詰めるハルクの姿は完全にホラー映画に登場するモンスターのそれ。
恐怖を喰らう怪物も、正真正銘の怪物には敵わなかったのだった。
ハルクの対戦相手が殺人鬼スケアクロウ。一見すると何故にスケアクロウ?と思ってしまうが、ブルース・バナーとエベネザー・ラフトン二人とも肉親から虐待を受け、精神が歪み、内にモンスターを住まわせたという共通点があることを踏まえるとそんなに場違いではないと思えてくる。
ハルクも一歩間違えたらスケアクロウになっていたのかもしれない。