[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:MIDNIGHT SONS:BLOOD HUNT(2024)#3

ブレイドの声なき「助け」に応じ、事件解決に動くミッドナイトサンズ。

そこで彼らが目にするのは…。

 

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lagia.hatenablog.com

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[あらすじ]

闇の魔術書ダークホールドを読み解く術を持つヴィクトリア・モンテ―シが見た悪夢、そこに映る光景は現実に起こったことだったのか。アメリカはスプリングフィールドにある病院で起きた怪事件。そこに居合わせたナースが体験した恐怖は、ブレイドの身に起きた異変の予兆を示していたのでないか。

ミッドナイトサンズと共に遥々アメリカまでやってきたチュリップは、選ぶべき道を選択する時が来たことを察していた。ブレイドを討つことで世界に平穏を取り戻すのか、仲間である彼が帰ってくることを信じるべきなのか。己の取るべき道を見出すことができない彼女に、ダニーが声をかけるが…。

病院を訪れた自分たちを襲ったブレイドはジョニー・ブレイズの手で退治された。しかし、苦境に立っていた自分を救ってくれた恩人に裏切られたと感じたチュリップは塞ぎこんでしまう。見かねたダニーは“復讐の精霊”と共に彼女を元気付けようとする。

[暗闇の中で信じるもの]

ヴィクトリアの見た悪夢に導かれるまま、イラクからアメリカまで世界中を駆けまわるミッドナイトサンズ。ダークフォース・ディメンションが齎す暗闇に覆われた地球上を移動し、「闇」の発生源を突き止めることができたのは彼らが「闇夜の息子たち」だからこそだろう。かくしてアメリカはスプリングフィールドの病院まで辿り着いたミッドナイトサンズを出迎えるのは、人間に擬態したヴァンパイアとブレイド当人。

危惧していた予感が的中してしまったのでないか、チュリップは豹変したブレイドを見てそう考えていた。彼女はブレイドと共に「始祖」アダナを討つべく助け合ったパートナー。だが、強大な力を持つ「始祖」を滅ぼすために自らも「始祖」に近付かんとするブレイドを、チュリップは心配していた。彼の心優しきヒトとしての一面も、邪悪なフリークスの本能で書き換えられてしまうようだったから。ミッドナイトサンズを襲うブレイドの表情は、チュリップが知るブレイドのそれではなかったのだから致し方ないだろう。

それでも、ブレイドのかつての同志であるダニー・ケッチだけは真っ直ぐに、彼を信じていた。ダニーは最初からブレイドがこんなことをする筈がないと断言していた。その信頼は過去に死闘を演じた者同士にしか築けない絆がなせるもの。自分とは異なるものの、近しい「闇」を抱きそれと戦い続ける男だからこそ、ブレイドの叫びも感じ取ることができたのだ。

ブレイドはアンタの助けを待っている。ペナンス・ステアでチュリップの記憶を視たダニーだからこそ、適切な助言をすることができる。道に迷っている者に、正しき道を指し示すのもゴーストライダーの役目だ。

病院内にはダークフォース・ディメンションと繋がるゲートが隠されていた。一般人であるナースでは知りようもない事実を突き止めたヴィクトリアは、ジョニーたちと共に病院に巣くう怪異の「駆除」に乗り出す。怪異を消し去ることで、現世とダークフォース・ディメンションを繋ぐゲートも消滅する。何とも力技な解決法だが、その方が分かりやすいというものだ。

病院の地下火葬場へと場所を移したミッドナイトサンズは、ナースが過去に体験した恐怖を知る。彼女が怪異と直面したのは、ちょうどハロウィンの夜。現世と闇の世界の境界が曖昧になった隙をつく形で、ダークフォース・ディメンションは地上へと進出していたのだ。

ゾンビとして蘇った死体はナースが見た幻などではない。今やこの病院自体が闇の世界の入口と化しており、そこにいる者たちは生死を問わず影響を受けてしまう。いずれはナースたちも彼らと同じ様へと変わってしまうだろう。ブレイドの身体を操っていたヴァルネは、ダークフォース・ディメンションの力を取り込みパワーアップを図ったが、その姿はブレイドの原型を残しつつもグロテスクな姿へと変貌していた。ヴィクトリアたちはドクタードゥームとは別の方法で、事件の糸口を掴んでいたということだろう。

ナースの語った過去と思念を触媒に病院に潜む怪異の源を、ダークホールドの魔術で召喚するヴィクトリア。その正体は遺体保冷庫に保管されていた死体に憑りついた化け物。こいつを滅ぼすことで、悪夢は終わるのだ。

ひとけのない夜の病院内を徘徊する赤黒きモンスターは、その身をグロテスクに巨大化させながら、生者を求めて彷徨う。その様子はさながらホラー映画のワンシーンのよう。ミッドナイトサンズから普段通りにするよう忠告されたナースに音もなく忍び寄るのも恐怖を誘う。

ナースに襲い掛かるモンスターを返り討ちにするミッドナイトサンズは、ヴィクトリアが登場した「Darkhold: Pages from the Book of Sins 」でのワンシーンを彷彿とさせてくれるのだから、管理人もハラハラしながら読みながらもどこか安心感を感じていたものだ。

ジョニーのヘルファイア・ショットガンで撃たれ、ゴーストライダーの鎖で捕縛されて身動きを取れなくなったモンスターをヴィクトリアの魔術で内側から爆散させる。身体を構成するワーム状のパーツが飛び散る様がグロイ。閲覧注意ものだなこれは。

こうして、ミッドナイトサンズの手で病院に潜む怪異は滅ぼされ、世界を覆うダークフォース・ディメンションのゲートも閉じることに成功した。ゴーストライダーの追撃を受け、完全に消滅したことで闇の気配は完全に消え失せた。

しかし、ヴィクトリアたちの表情からは達成感も安堵も感じさせない深刻なオーラを漂わせていた。世界に蔓延るダークフォース・ディメンションの影響は未だ消えていないことを感じ取っていたこと、そしてチュリップが姿を消していたからだ。

 

クロスオーバーイベント「ブラッドハント」では、本編に関連したミニシリーズがいくつか刊行された。この「ミッドナイトサンズ:ブラッドハント」もその1つ。だが、本誌は他のミニシリーズとは少々趣きが異なるように管理人は感じていた。「ドラキュラ:ブラッドハント」や「ブラッドハンターズ」、他タイイン誌が本編と密接にリンクしたストーリー構成なのに対し、ミッドナイトサンズだけは第5期ブレイド誌の続編だったからだろう。ヴィクトリア・モンテ―シという他誌では扱いきれない懐かしいキャラクターが登場したのも、その独自性に拍車をかけている(ブラッドハント誌じゃなくてダークホールド誌を読んでいる気分だった)。

とはいえ、本作が他シリーズと浮いた存在なのかと言えばそうではない。ヴァルネに身体を乗っ取れたブレイドや彼の身を案じるチュリップが明確に助けを求めたのは、アベンジャーズでもドラキュラ伯爵でも、ましてやブリエルでもなく他でもないミッドナイトサンズだったから。

彼らとの出会いと交流を経て、チュリップは光のささない暗闇の中でも仲間を信じる心を知った。最恐のダークヒーローチームの再登場だけでも嬉しい管理人だったが、後々の展開を想像するとこの出会いも必要なものだったと思うのだ。

後日、ミッドナイトサンズと別れたチュリップはタイへと赴いていた。そこに住む男、ブレイドから連絡を受けたからだ。ヴァルネの憑依から解放されたブレイドは身体と精神を癒すために療養していた。

チュリップやミッドナイトサンズが自分を助けるために奔走していたことに礼を伝えるブレイドの目には、次の狩りのターゲットが見えていた…。

 

ブラッドハントが終わってもブレイドの戦いは終わらない!
次シリーズ「BLADE:RED BAND」は2024年12月から刊行予定!さらにスタイリッシュに、バイオレンスになったブレイドを見逃すな!