プロウラーvsレディ・エレクトロ!
凶悪な女ヴィランを退けることができるのか⁉
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[あらすじ]
かつての監獄島「アルカトラズ島」でホビー・ブラウンが目にしたものは、ジャッカルから与えられた命令を果たすことを躊躇わせるには十分なものだった。
二代目マダム・ウェブことジュリア・カーペンターを生かし、尚且つジャッカルの機嫌を損ねないように穏便に事を収めようとしたために、ジュリアからの反発を招いてしまう。
薬を服用していなかったことで体組織が崩壊し、「苦痛」に悶え弱っていくプロウラーに、レディ・エレクトロの魔の手が迫っていた…。
ジャッカルからプロウラーを連れ戻すように命じられたレディ・エレクトロは、初代マダム・ウェブを拷問した末にアルカトラズ島までやってきた。因縁深き女ヴィランは「獲物」を前に余裕の表情を浮かべる。ここでお前なんぞにやられる訳にはいかない!
[プロウラーvsレディ・エレクトロ]
ジャッカルの元で活動することを薬という「命綱」で強制されているからと、ニューUの恐ろしさを知りながらもそれに目を背けててかの男の命令に従ってきたホビー。スパイダーマンと共に戦う相棒の影も形もない有り様だったが、ジュリアから拒絶されたことで、ホビーは己の過ちを受け入れた。
ニューUのテクノロジーで黄泉がえったヴィランたちは、ジャッカルが与える薬のお陰で普段は穏やかに暮らしている。しかし、それは薬の効果が齎す幻に過ぎず、彼らの多くが凶悪な悪党であることに変わりはない。ひとたび薬の効力が切れれば奴らはその本性を顕わにしてしまう。ヴィランたちの監視役を任されていたホビーはその事実をよく知っていた。
知りながらも、ジャッカルに仕えるのは彼の心の弱さ、いやさ彼なりの強さのためだと思う。毒を以て毒を制す、この言葉をホビー・ブラウンは体現する男の1人。例えニューUが世間に公表できない暗部を秘めた組織だとしても、彼らの持つ技術に世界をより良くする可能性があるのもまた紛れもない事実。己の立ち位置に悩む男はスパイダーマンに事実を伝えて、パーカー・インダストリーズと提携を結ぼうとすることで、アイデンティティを確立したかったのかもしれない(ジャッカルの真意を知ればそうは思わないだろうが)。
そんなホビーが抱いた僅かな希望も、レディ・エレクトロと化したフランシーン・フライの手で打ち砕かれた。「もう一度殺してやるよ!」蘇生後も凶悪な本性を隠そうとしないフランシーンは物騒な叫びを上げながら電撃を放つ。興味本位でマックス・ディロンからエレクトロの能力を奪い、その力を振るうことを躊躇わない女を前に、ホビーは逃げることしかできない。
組織崩壊が進むホビーには、正面からエレクトロと戦う術はないから。だが、ホビーは決してただ逃げている訳ではない。彼が這這の体で島内を彷徨うのは、彼女に勝つ手段を探るためだ。
忍ばせていた活性剤を打ち込み、ボロボロの身体を押しながら動き続けるプロウラー。弱り果てながらも希望を捨てない「獲物」を甚振るレディ・エレクトロだが、彼女はホビーの思惑に気付いていない。
スーツに隠していた活性剤を打ち、捕まればガントレットに仕込んでいた目くらましでレディ・エレクトロの視界を奪い、スーツをも囮にしてとどこまでも足掻き続けるホビー。そんな彼に業を煮やしたフランシーンにはいよいよ余裕が無くなり、怒りのままに無差別な放電攻撃を放つ。薄暗い刑務所内はフランシーンの電撃で黄色く発光し、ホビーが隠れる場は徐々に失われていく。
だが、もう隠れる必要はない。逃げながらもあの恐ろしい電気人間を倒す算段は立てた。身の回りにあるものを全て駆使して活路を見出す姿は、伊達に科学者を目指した訳ではない知性を感じさせる。
ホビーを追うフランシーンが入り込んだのは、島内に残されていた売店。売店にあるレジと水が入ったペットボトル、そしてライターを使うことで即席の爆弾に仕立て上げたのだ。大量の水を被ったフランシーンは自身が放つ電撃によって、感電して意識を失ってしまう。プロウラーはエレクトロに勝ったのだ。
己のアイデンティティに悩み、進べき道を誤りかけた「放浪者」は自らの手で悪党を打ち倒したことで、己が真に進むロードを知る。
ただ己のやりたいこと、したいと思うことをやる。誰かのために戦うのではなく、自分の意思で戦う。進み続けることこそが自分の仕事なのだ。例えレディ・エレクトロとの戦いで組織崩壊が早まり、心臓が止まりそうになっても関係ない。今は一刻も早くニューUのアジトに戻って身体を癒さなければならない。逸る気持ちに反して身体は言う事を効かなくなるが、幸いにもアルカトラズ島にはホビーに協力してくれる人物がいた。
戻ってきたジュリアの手を借りて、アルカトラズ島を脱出するホビー。目指す先はニューUのアジト。そこでホビーを待ち受けるものは…。
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