[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ]

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アメコミ:GHOST RIDERS:HEAVEN’S ON FIRE(2009)#6

これで全てが終わる!

ゴーストライダーvsザドキエル、最終決戦!

 

前回はこちらから↓

 

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[あらすじ]

ジョニー・ブレイズ、スタントショーのライダーとして無類の実力を持つ彼は病に倒れた養父を救うために、地獄の悪魔と契約した。養父の命は悪魔の手で弄ばれ、ジョニー自身も悪魔の手で“復讐の精霊”を宿す怪人と成り果てた。

あれから多くのものを得て、同時に多くのものを失った。愛する妻ロクサーヌと2人の子供たちクレッグとエマ。家族は悪魔たちとの戦いで命を落とし、それでもジョニーは戦うことから逃げられなかった。

復讐のための戦い。自分の生きる道を歪めた者たちへの制裁。それも、ザドキエルを打ち倒すことで全てが終わろうとしていた。しかし…。

ダニー・ケッチと共に天界に乗り込んだジョニーだが、ザドキエルの強大な力に成す術なく沈む。数多の“復讐の精霊”の力を取り込んだ「神」を倒すことはできないのだろうか。

[Meet Again]

ダニウェル・ウェイとジェイソン・アーロンの両ライターが描いてきた第6期ゴーストライダー誌。その終着点であり、ゴーストライダーの物語の1つの完結となる「ヘヴンズ・オン・ファイア」で遂にゴーストライダーザドキエルの直接対決が冒頭から描かれたが、結果はザドキエルの完勝。ジョニーとダニーも荒ぶる「神」の猛威の前に倒れ伏してしまう。

当時読んだ管理人はこの展開に衝撃を覚えたものだが、この結果は当然の帰結だろう。ザドキエルはダニーが得た“復讐の精霊”の力を奪い、己の力へと還元した。その結果、今やザドキエルの力は天上の神々をも超えるものとなった。歴戦の猛者である天使の軍隊でも討つことができなかった「神」をどうしてヒトが討てるのか。変身が解けてしまったジョニーたちを見下ろすザドキエルも自らを「神」と名乗り、ひれ伏せようとするのも頷ける。

しかし、ジョニーたちにはまだ勝機は残されている。ザドキエルは自分たちを追い詰めても殺そうとはしないから、正確に言えばできないのだ。彼が得た“復讐の精霊”の呪いはザドキエルでもコントロールすることは困難を極めた。復讐の力を引き出すにはヒトの感情を贄とすることを思いついた「神」だが、彼にはヒトのような感情は持ち合わせていない。故にジョニーとダニーが抱く自分への憎しみの感情を、己の力の源泉としたのだ。そのためにはジョニーたちには生きてもらわなければならない。ただ只管に己に復讐心を抱く家畜として。つくづく「神」の傲岸さには反吐が出る。

ジョニーもザドキエルの弱点を指摘するものの、図星を突かれて激昂した「神」の猛攻を受けてしまう。意識が朦朧とするジョニーだが、そんな彼の前に死んだ筈のロクサーヌと2人の子供たちが現れる。ジョニーがいる場所は天界、死者の魂が安らぎを得る場なのだからロクサーヌたちがいてもおかしくはない。

亡き家族の魂に後悔の叫びと懺悔を漏らす夫をロクサーヌは制する。彼女たちはジョニーの泣き言を聞くためでも、呪詛の言葉を吐きに現れたのでもない。ジョニーに勝って欲しい、復讐を完遂して欲しい、「家族」がいつでも見守っていると応援するためだ。この暖かい優しい感情はザドキエルが持ち得ない、ヒトが最も強大な力を発揮する源だ。

ロクサーヌたちはジョニーたちへの応援のために「家族」を連れて来ていた。彼らもまた、ジョニーがここに来ることを待っている。皆の思いを受け、腐るダニーを立ち上がらせ、ジョニーは再び「神」の元へ向かう。

ザドキエルは所詮「神」の真似事をしているだけに過ぎない。己の力を碌に制御できないだけでなく、予言を妄信し成就することを阻止せんと卑下するヒトを利用することも厭わない「神」などいようものか。立ち上がった兄弟を前に「地球上に蔓延る37億の人間たちを消し去ってみせようか」と騙る様は最早、張子の虎としか表現できない。己の国を失うことを恐れるあまりに虚勢を張る天使など恐れるに足らず。

彼の本質を「視た」ジョニーが“復讐の精霊”の在り方を歪めた天使に裁きを下す!

足元から現れた無数のライダーたちがザドキエルを襲う様をジョニーたちは眺めていた。お前は「神」ではない。ヒトの意思を利用するモノは滅びるが定めだ。

復讐の戦いに決着が着いたのに遅れて、ケアテイカーを触媒に作り出したゲートを通り、地獄の悪鬼たちを率いてアントン・サタンが天界に現れる。ザドキエルがクーデターを起こした時点で天界の守備体制はズタズタ。サタンが率いる悪魔たちが進軍すれば、ザドキエルを討ち天界を手中に収めることも不可能ではないだろう。

だが、そこでサタンたちが目にした光景は、彼らの想像を超えるものだった。

瓦礫の山と化した黄金の都市は、地獄の炎に照らされ、かつての輝きを取り戻していた。ロクサーヌたちが連れてきた「家族」の正体は、歴代のゴーストライダーたちのことだったのだ!

[Heaven’s on Fire]

ザドキエルへ復讐心を抱くのはジョニーたちだけではない。ヨーカイ・ライダやモレック、バロン・スカルファイア、ショバ・ミルザ、かの天使の姦計のために己の人生を歪められ、命を落とした者たちは大勢いる。彼らだけでなく歴史上にも、また多くのライダーたちがザドキエルへ復讐を果たすチャンスを伺っていたのだ。ヘルドライバーやデビルリグ、アンデッドGマン、そしてナックルズ・O・ショーネシー、人種や国籍に生まれた時代を問わず多くのライダーたちが一堂に会するのは壮観の一言。

かの天使は地に伏せ、残ったのは無謀にも乗り込んできた悪鬼たちのみ。予言の成就なぞに興味はないが、ここに新たな神話の1ページを作ってやるぜ!

恐れず進軍する悪鬼たち相手に大立ち回りを演じるゴーストライダーたち。今の彼らを止めることは何人にも叶わない。ジョニーの援護にファントムライダーことカーター・スレイドが駆け付けているのが熱い(わざわざ髑髏風のマスクまで付けちゃって)。

こうして、聖書に記された予言は果たされた。ザドキエルの王国はゴーストライダーという悪魔憑きの手で滅ぼされ、悪鬼が滅んだ天界には「神」の手で再建される。

アントン・サタンには逃げられたもののこれで全ては丸く収まる、と言うわけにはいかない。ジョニーたちの功績を称え、歴代たちの魂を迎える「神」にジョニーは食ってかかる。ザドキエルの計画を黙認していたのなら、全てを仕組んでいたのは「神」なのではないか。ジョニーが疑うのも当然だろう。

「神」の言葉を聞き、ジョニーは弟と共に地上へ帰還する。天使がクソ野郎ならば「神」もまた然り。ザドキエルとの関与を否定する「神」の真意はヒトには分からない。

ザドキエルと地獄の悪鬼たちを打ち倒したその頃、地上でもそれぞれの戦いも決着を迎えていた。サラはディーコンを殺さなかった。彼女はケアテイカーとしての責務と「神」に仕える修道女の責任を同時に果たしたのだ。

 

こうして、戦いは終わった。悪しき堕天使は地獄に堕ち、堕天使の配下たちはある者は囚われの身となり、またある者は再起の機会を待つことに。予言が成就されたことで世界には再び調和が齎されたが、ジョニーたちの周囲は結局は何も変わってはいない。

復讐は果たしても“復讐の精霊”の呪いから解放されるわけではない、では何を得るための戦いだったのか。荒野の向こうに沈みゆく太陽を見ながら物思いに耽るダニーを見てか、ジョニーはレースの挑戦状を叩きつける。

難しいことは後で考えろ、今はただ奔るだけ。

ジョニー・ブレイズとダニー・ケッチ、2人のゴーストライダーが征く「復讐のロード」はまだまだ続くのだから。

 

 

 

復讐の戦いに終わりはない。新たなゴーストライダーの登場を見逃すな!