地球最強のヒーローチームと光の国からやってきた巨人、夢の共演!
[あらすじ]
地球から遠い宇宙の彼方、とある星に災いが降り注いでいた。宇宙魔人ギャラクタスという名の滅び。かのコスモイーターの襲来を迎え撃つものの力及ばず敗北し、今まさに母星を滅ぼされつつザラブ星人だったが、ギャラクタスはそんな彼の能力を評価する。
自分に仕えるか、このまま滅ぼされるか。二者択一の選択を突き付けられたザラブ星人は宇宙魔人に膝を付くことに。
一方、その頃地球では謎のエネルギー反応が発生していた。これを調査すべくウルトラ警備隊はハヤタ、イデ、フジの3人をエネルギーの発生源へ急行させる。そこで3人が目にしたものは…。
異なる世界に住む者たちが何故出会ったのか?ギャラクタスの目的はいったい何なのか。エネルギーの正体とは何か。初っ端からクライマックスだぜ!
[ファーストコンタクト]
読者の皆はマーベル版ウルトラマンをご存じだろうか?円谷プロとマーベルコミックスのコラボ作品として2020年から刊行された本作は、初代ウルトラマンの物語を下地にしつつも大胆かつ破綻のないアレンジを加えたことで大きな話題を呼んだ。何故にアメコミでウルトラマン?と疑問符がつく方も多いだろうが、アメリカでは特撮作品は人気コンテンツの1つであり、MCUの一定の成功で知名度を伸ばすマーベルと海外進出に意欲的な円谷プロのコラボは自然な流れだと言える(マーベル以外の出版社からゴジラやガメラ、同じ円谷プロの作品であればレッドマン、90年代にはウルトラマングレートのアメコミが発売していたりする)。
今作「ウルトラマンXアベンジャーズ」はそんなマーベル版ウルトラマンとアベンジャーズのクロスオーバー作品。マーベル版ウルトラマンは「ミステリー・オブ・ウルトラセブン」の続編、アベンジャーズは名言はされていないがアース616の世界からやってきたメンバーであることが示唆されていたりと予備知識が必要に感じるだろうが、そんなものがなくとも十分に楽しめるように工夫されているのが特徴だ(もちろん予備知識はあった方がより楽しめるだろう)。今作と同時に週刊コロコロコミックでは「ウルトラマン:アロング・ケイム・ア・スパイダーマン」も配信中なのでそちらもチェックだ。
次に作品で描かれた出来事のあらましを解説していく。
まずはザラブ星を襲ったギャラクタス。アース616とマーベル版ウルトラマンの世界は別アースの物語なので、基本的に両世界の住人が出会うことはない。では何故ギャラクタスがザラブ星に現れたのかは、ハヤタたちが発見したエネルギー(ポータル)から現れたスパイダーマン=マイルズ・モラレスが語ってくれた。
ギャラクタスはミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズが開発した装置で平行世界へと追放されていたのだ。アース616の地球を襲った宇宙魔人を撃退するためとはいえ、何とも思い切った手段を取ったもの。だが、ギャラクタスは地球を「食う」ことを諦めていなかった。そこでザラブ星人を自身の「ヘラルド」に仕立て上げ、別世界の地球を食おうと企んでいたのだ。マイルズたちアベンジャーズはギャラクタスの暴走を食い止めるために、彼の痕跡を追っていたのだ。
ポータルから現れたスパイダーマンを警戒するハヤタたちだが、突如現れたモンスターを共闘して倒したことで意気投合。マイルズの話を信じたハヤタたちは彼と共に地球に飛来した「先触れ」を倒すことに。
お次はウルトラ警備隊。
昭和ウルトラシリーズ、もとい初代ウルトラマンを視聴したことがある読者は何故ハヤタたちがウルトラ警備隊の制服を着ているのかと疑問に思うだろう。ウルトラ警備隊は、初代ウルトラマンの次回作であるウルトラセブンに登場した「怪獣やっつけ隊」なのだから。
マーベル版ウルトラマンでもハヤタたちは科学特捜隊に所属していたが、今作の科特隊は組織内に敵性宇宙人との繋がりを匂わすきな臭い組織であることが示唆されていた。これに反感を覚えたハヤタたちはモロボシ・ダンをはじめとしたメンバーと共に科特隊を脱退し、科特隊とは独自に怪獣たちから地球と市民を守るウルトラ警備隊を設立。同時に巨大ロボット「ジャック」を有する防衛チームMATと連携を取ることで、地球の守りを磐石にせんと動いていたのだ。文章にすると意味が分からない展開だが、こういうのもアメコミらしいだろう。
地球に降り立ったザラブ星人を迎え撃つスパイダーマンだが、巨大化したザラブ星人には立ち向かう術はない。ここはウルトラマンの出番だ!
光の巨人とコズミック・パワーで強化されたザラブ星人の戦いに、人類の叡智である巨大ロボットの援護と特撮を見ているような不思議な感覚に陥る管理人がいる。
形は違えども、初代ウルトラマン&帰ってきたウルトラマンvsザラブ星人という夢のようなドリームマッチに興奮するなという方が無理があるだろう。
ダブルウルトラマンを相手にしても不敵に笑い、得意の擬態能力でジャックをコピーして翻弄するザラブ星人。しかし、己の能力を過信した宇宙人は2人のウルトラマンの放つスペシウム光線で倒れるのだった。
ザラブ星人を倒すことには成功したものの、彼の主人の到来を防ぐことは叶わず、ギャラクタスを呼び出す信号を送られてしまった。確実に迫る脅威に緊張が走るウルトラ警備隊を前に、マイルズから遅れる形でポータルからやってきたアベンジャーズが現れる。簡単な自己紹介を済ませた面々はウルトラ警備隊基地にて、今後の対応を相談する。
しかし、地球を襲う脅威はギャラクタスだけではない。大怪獣に宇宙魔人、二つの脅威をヒーローたちは退けることができるのだろうか…。
かつてない強敵の存在にピリピリとした空気が漂う中、スパイダーマン=ピーター・パーカーはジャックを目にしてかつて共に戦った戦友を思い浮かべていた。
拓也「レオパルドンの操縦はさせてやらんぞ!」
…、東映とは既にコラボ済みという事実にハッとしてしまう(笑)。