ハーツオブダークネス後編!再び地上に現れたブラックハートを倒すため3人のヒーローたちが再び集結する。
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【あらすじ】
かつて地獄の王子が現れ、大騒動が巻き起こった地クライスツ・クラウン。今その地に再び災いがもたらされた。
街全体が暗くおぞましい臭気に包まれ、街を歩く人々の目には生気がなくまるでゾンビのようだ。その街並みを駆ける者がいた。
ゴーストライダー。ヘルサイクルに乗らず自らの足で駆ける彼の腕には、少女から女性へと成長したルーシーが抱えられていた。
ルーシーの従姉妹ノーマと共に走るゴーストライダーらを追いかける異形の集団”コラプト”が迫る。奴らはブラックハートに操られて堕落してしまった元人間だ。
成長するにつれて不思議な力を身につけたルーシーはブラックハートに狙われていたのだ。ルーシーの身柄を渡すよう要求するコラプトを蹴散らすゴーストライダーだが、一瞬の油断をつかれてブラックハートの呪いを受けてしまい体を蝕まれ、変身が難しくなってしまった。
ノーマの助けもあり、コラプトを退けた彼らはブラックハートの目が届かない地下道へ逃げ込む。
その頃、ルーシーから助けを求めるテレパシーを受けクライスツ・クラウンへ再びやってきたローガンとフランクの姿があった。
【ブラックハートの再来】
前回の戦いでゴーストライダーたちに敗れ、メフィストの打倒を果たせなかったブラックハート。地獄の王子は正攻法では勝てないこと、ヒーローたちは簡単には自分に協力してくれないことを学んだ。
そこで今回は趣向を変え、先に街とそこに住む心の弱い住人たちを支配し奴隷化。そして不思議な力に目覚め、純粋な心を持つルーシーに自分が正気を失わないようにと伴侶(!?)とすべく目をつけた。
そして自分の邪魔をしたゴーストライダーたちに殺してでも協力させるために、大量のコラプトを生み出したのだ。
以前よりも乱暴なやり方をとっているが、メフィストの支配による狂気が強くなり、力が弱まってしまっているからだ。コラプトひとりを作るだけでも正気を失うものだからブラックハートに余裕はない。
それでもゴーストライダーらをじわじわと追い詰めていけるのだから、成長しているな。
一方でメフィストの方は相変わらずな余裕の態度。息子が自分への憎悪の感情を捨てていないこと、その憎しみの感情が息子の行動力の根幹にあること、そして息子が自分に代わり地上で仕事をこなしていることを嬉しく思っているのだ。
メフィストなりに息子の成長を喜んでいるが、どこまでいっても父の思いのまま、こんな屈辱はブラックハートには耐えられるわけがない。
そうしてルーシーのもとに集まったヒーローたちの居所を掴んだコラプトの手で、ルーシーと呪いに魂を侵されたゴーストライダーが連れ去られてしまう。
ルーシーをウェディングドレスに着せ替えさせたブラックハートは彼女の前に跪き、ルーシーに協力を申し出る。全てはブラックハートの思い通りになるのか…?
【心の闇を乗り越え、使命を果たせ】
ルーシーとゴーストライダーが連れ去られた場所をノーマから聞き出したウルヴァリンとパニッシャーはルーシーたちを救出すべく行動を起こす。
コラプトたちを蹴散らし、ブラックハートの元へ辿り着く。ルーシーを盾にしつつ、呪いにより満身創痍に陥り貼り付けにされたゴーストライダーを晒上げる。
「戦友が酷い目にあっているのに何とも思わないのか?他人の苦痛などどうでもいい、と。自分の心の闇を解放するためにヒーローになりすましているのか?」
ブラックハートの発言にウルヴァリンたちは僅かに動揺してしまう。その隙をブラックハートは見逃さなかった。ウルヴァリン、パニッシャーの2人もゴーストライダー同様に晒し、彼らを堕落させ支配しようとする。
3人の力の源である領域(トラウマ)となった記憶に侵入したブラックハートは3人も堕落させるために、トラウマを具現化した幻覚を見せ消耗させる。
ゴーストライダーは自身が覚醒した原因を作ったダニーの姉バーバラの墓を冒涜する様を、パニッシャーはヘルズキッチンで今まで処刑してきたギャングたちの幻覚に惑わされてしまう。
ただ一人、幻覚だと看破し2人にブラックハートに負けるな!戦え!と渇を入れるのはウルヴァリンだ。カナダの山奥での悪夢を見せられても動じないウルヴァリンの渇で正気に帰ったゴーストライダーたちは怒りの感情を爆発させてブラックハートに逆襲する。
彼らにとって記憶を覗かれ、尊厳を踏みにじられることは決して許されないことだ。またも往生際悪くルーシーを盾にしようとする悪魔を滅多打ちにする。
救出されたルーシーは3人に感謝するが、彼らは黙っていた。ノーマたちからコラプトも全て死滅したことを伝えられても口を開かず自問自答していた。
「ブラックハートが見せた暗く凶暴な領域こそが力の源。心の闇の領域を越えるたびに心は蝕まれる。一体何のために?」
しかし、彼らが奮闘してくれたおかげでルーシーは救われた。ヒーローの使命を果たし、罪なき者を守れた。それだけで戦う価値は十分あったのだろう。
【純粋なヒトに触れた悪魔の決断】
戦いが終わった。ブラックハートはまたしてもヒーローに負けた。自らの敗北を受け入れるしかなく、ひとり力なくうなだれる哀れな悪魔に寄り添うルーシーの姿があった。
彼女は自分だけでなく街も住人も全てを犯し災いを齎した悪魔を許したのだ。
涙を流す地獄の王子。その涙の意味とは。
メフィストはブラックハートの脆弱さを指摘し、自分の助けがあれば弱点を克服し更に強くなれると言う。自分の手足となり、服従すればヒーローたちなど敵ではない。
だが、ブラックハートはメフィストの提案を蹴る。呆れる父に息子は”純粋なヒト”の血が付着したナイフを取り出す。
「最初からこうすればよかった。罪なき者の血が必要だった。これで俺は運命を全うできる!」
前編であるハーツオブダークネスでの敗北を受け、成長を見せ、境界を心の闇を乗り越えてメフィストの打倒を果たしたブラックハート。
境界を越えながらも善性を保ち、罪なき者を、弱き者を守るべく奮闘したゴーストライダー、ウルヴァリン、パニッシャー。
前編”ハーツオブダークネス”と今回紹介した後編”ダークデザイン”で終始語られる"境界”。その境界を越えられるかどうかををヒーローとヴィラン、両者の立場で見せていたのが本作だ。
結果、どちらも使命を果たした。己の目的を達成するためならばヒーローもヴィランも、ヒトも悪魔も関係ない。ただ両者で違うのはその境界は善性と悪性で形づくられているかなのだろう。